固定残業代と退勤管理
お世話になります。人事を担当している者です、よろしくお願いします。
当社では、就業時間を9時から18時までとしており残業が許可される場合を除いて8時半より早く出勤打刻をしてはいけないし、6時半までに退勤打刻をしなければいけないとしています。その時間以外に会社で業務をしてもそれは自主的なものとの取扱をしています。
ただ、なぜ実際の仕事をしている時間通り打刻してはいけないのか明確な説明が欲しいとの声も出てきています。
ちなみに、当社の新卒初任給は基本給13万円、業務手当4万円(残業代)、通勤費等3万円、としており業務手当は基本給と連動しています。
ただ、業務手当が何時間分の残業代なのか、手当の全額が残業代なのかも含めて明確には伝えることができておりません。
会社が定めた時間以外での打刻は認めていませんが、時間外での業務はハイシーズンでは頻繁にあります。しかしながら、そのために業務手当を残業代としてつけているとし、残業の申請は事実上ありません。
ですが、今の考え方では多少無理があるのかなと思っています。
労使ともにある程度納得の出来る方法や説明が出来ないものかと悩んでいます。
ご指導をお願い致します。
投稿日:2016/05/13 01:23 ID:QA-0066024
- sr太郎さん
- 広島県/販売・小売(企業規模 31~50人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
まず固定残業代については、何時間分の時間外労働に該当するのかが明示されていなければ、時間外割増賃金として充当する事は出来ません。それ故、現行の業務手当では残業代と認められず、残業時間については別途支給しなければなりませんので、早急に就業規則において取扱いを明示されると共に、給与明細でも相当時間の記載をすることが必要です。
そして、仮に残業申請をさせない為に打刻時間を制限しているとすれば、意図的な賃金不払いとして労働基準法違反を問われる事になります。労働時間は現実に基づいて正しく記録しなければなりません。
一方、始業時刻前(終業時刻後)に仕事も特に無いにもかかわらず勝手に早く出社(遅く退社)している分については、労働時間として取り扱いする必要はございませんので、その場合出社(退社)と同時に打刻させる必要はございません。勿論、その間に仕事をしていれば労働時間となりえますので、そうした場合は残業申請をきちんとさせるか、あるいは注意して辞めさせるか、会社としましていずれか取扱いをはっきりさせる事が求められます。
投稿日:2016/05/13 10:43 ID:QA-0066028
相談者より
ありがとうございます。
大変参考になりました。
投稿日:2016/05/13 23:04 ID:QA-0066037大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
業務手当には具体的根拠がなく違法性も窺える。早急な労使間協議を。
▼ 労基法では、「看做し労働制」はあっても、「看做し残業制」というのはありません。みなし労働時間の場合も、裁量的労働制以外の通常労働の下では、労働の一部が事業場外で行われ、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定し難いと判断される場合に限られます。
▼ 更に、これには労使協定が必要であり、法定労働時間を越える時間で協定を締結した場合には労働基準監督署への提出が義務付けられています。労使協定には、「看做した時間」と「実際の労働時間」間の齟齬の有無をチェックし、看做し労働時間>実態労働時間なら、問題ありませんが、逆に、看做し労働時間<実態労働時間の場合には、超えたj間に対する金額を支払う義務が発生することになります。
▼ かくして、時間外労働時間の把握と正確な割増賃金の支払いは、労基法の重要な定めとなっています。その観点からは、御社の業務手当(実際は看做し時間外労働時間に対する割増加算込み賃金)には、具体的根拠がなく、説明もつかないという事態になっています。当然、労使協定もない筈なので、違法性も窺えます。
▼ ここは、労使双方で、看做し労働時間制に関する共同研究を行い、本来あるべき制度に改訂すべきだと考えます。尚、「通勤費等3万円」というのも、大いに引っ掛かりますので、併せ、ご検討されることを期待致します。
投稿日:2016/05/13 13:20 ID:QA-0066031
相談者より
ありがとうございます。
具体的なご指摘参考になりました。
投稿日:2016/05/13 23:07 ID:QA-0066038大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
まず、残業は社員が勝手にするものではありません。会社の命令、少なくとも許可によってするものですので、残業許可制度を徹底すれば問題はありません。
会社には、労働時間把握義務がありますので、場合によっては、説明会などを開催してよく理解してもらうことです。
残業管理を適正に行っていれば、打刻時間=労働時間ではありません。打刻時間にこだわりすぎると、変な誤解を生みますので、事前許可制度を徹底していくべきでしょう。
業務手当を固定残業代とするのであれば、それが何時間分なのか、規定等で明記する必要があります。明確でなければ、固定残業代とは認められません。
投稿日:2016/05/13 14:41 ID:QA-0066033
相談者より
分かりました。
とても参考になりました。
ありがとうございます。
投稿日:2016/05/13 23:09 ID:QA-0066039大変参考になった
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