契約社員就業規則の「解雇」と「契約解除」について
初めて投稿させていただきます。
現在、契約社員の就業規則を作成中です。
弊社の場合、無期雇用と有期雇用であることを除き、
待遇面で正社員と契約社員に大差がないというのが実態です。
その為、正社員の就業規則をモデルに契約社員の就業規則を作成
しておりましたところ、正社員でいうところの「解雇」は、
契約社員の場合「契約解除」という表現でことが足りる
のではないか、という指摘が別の社員よりの方よりあがりました
(人事担当ではありません)。通常の「解雇」以外の「懲戒解雇」
についても同様です。
指摘された方の意識としては、「解雇」という表現はできれば
避けたいので、それに代用する表現があればそちらを使用したい、
というものがあるようです。
個人的には、「懲戒解雇」には「契約解除」のことばの
持つ意味と重みが違う(=趣旨が異なる)ように思いますし、
契約社員であっても労基法でいう「解雇の予告」「解雇予告手当」
は対象となるので、解雇(特に「懲戒解雇」)という表現
を用いた方が意味としてはしっくりくるように思いますが、
指摘した方のおっしゃる内容も理解できるので、どちらが
正しいのか判断ができず思案にくれています。
どなたかご教示いただけると幸いです。宜しくお願い申し上げます。
投稿日:2006/11/01 11:18 ID:QA-0006480
- *****さん
- 東京都/その他業種(企業規模 31~50人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
就業規則の「解雇」と「契約解除」について
■「解雇」という言葉の持つ響きをなるべく回避したいというお気持ちは分かりますが、法律にも関わることであり、一概にその議論に乗るわけにはいきません。そこで「解雇」についての知識を整理しておきましょう。
■解雇とは、事業または事業所に使用され、賃金を支払われる労働者が、労働契約を解除されることを言います。然し、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は無効とされます(労基法第18条2)。労働契約が満了した時や、自ら退職を申し出た時は解雇に該当には該当しません。
■法律的には、解雇という呼び名は単に普通解雇を指す場合と、解雇全般を指す場合がありますが、 解雇の種類は次の3つに分類される。
▽懲戒解雇⇒著しく重大な違反(犯罪行為、着服・横領、経歴詐称、業務の妨害等)をした場合に行なわれる懲罰として行なわれる解雇をいいます。解雇事由は就業規則に列記されたものでなければなりません。
▽普通解雇⇒単に解雇と呼ぶ場合もあり、就業規則による解雇事由をもって行なわれる契約解除(解雇)のことを言います。
▽整理解雇⇒普通解雇に属するものですが、過去の裁判の判例により現れてきた慣例であり、倒産などの回避を目的とするための人員整理として行なわれる解雇のことです。尚、整理解雇の実施には裁判の判例で慣例となった「整理解雇の四要件」を満たすことが必要とされています。
■法律規定外の慣習として、諭旨解雇が存在あります。これは懲戒解雇に相当しますが、本人が懲戒事実に関して深く反省しているのでこれを承諾するという意味であり、その上で使用者側の懲戒解雇を実施するに当たってのデメリットや労働者側の不利益の被り方を低くする処置として行なう解雇です。しかし解雇が(自己都合)退職よりも経済的な面での処遇がよくなることが多く制裁の意味をなさないため、諭旨解雇ではなく本人が自発的に行なう諭旨退職にすることが多く見受けられます。
■以上を踏まえてみると、「雇用契約解除」という表現は、極めて大雑把かつ曖昧なので、実際の社内ルールを策定には不向きであることがお分かりになると思います。
投稿日:2006/11/01 14:16 ID:QA-0006485
相談者より
川勝研究所 様
詳細にわたりご説明いただき、まことにありがとうございました。
会社側は、とかく「契約社員」「パート」等、いわゆる非正規労働者に対し、正社員と区別した対応をとりがちであると思います
(上記指摘者も、パートに有休の付与は必要ないものであるとの認識を持っておりました)。
しかしながら、今回の件は、ややもすると自分自身もそういった方向に傾いてしまう可能性について、気付かせてくれたように思います。
基本的な知識について、改めて復習の必要性があると振り返るきっかけとなりました。
ありがとうございました。
投稿日:2006/11/01 15:02 ID:QA-0032663大変参考になった
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