特殊な事由で短期間勤務に終わった派遣労働者への派遣料の支払い
いつも参考にさせていただいています。
弊社は取引先の工場で請負業務として自動車部品の加工・検査をしています。
弊社では派遣社員が数名勤務していますが、本日(月曜日)、派遣会社から電話で連絡があり、派遣社員Aの派遣を取りやめたいとの申し出がありました。理由を聞くと、休みの日の土曜日に万引きをして警察に通報され、今日は田舎から急きょ出てきた親御さんとともに警察に行っているとのことでした。Aは先週途中から弊社の請負工程で勤務し始め3日を経過したところでした。その間、Aには実質的な業務はほとんどさせず、安全衛生・環境や工程内の見学など今後仕事を始めるにあたっての教育を監督者が行っていました。派遣会社からの連絡を受け、代替の方を派遣していただくよう申し出をしましたが、今日時点では用意できないとのことでした。
前提条件といたしまして、双方で交わした契約書では、①派遣および受け入れにあたり、それぞれ派遣法その他関係法令を順守する。②(派遣労働者の交替)の条文があり、a)派遣労働者が就業にあたり、遵守すべき甲(弊社)の業務処理方法、就業規則等に従わない場合、または業務処理の能率が著しく低く労働者派遣の目的を達しない場合、甲は乙(派遣会社)にその理由を示し、派遣労働者の交替を要請することができる。b)前項の場合でも・・・改善が見込める場合には乙は甲の了承を得て、当該派遣労働者に対する指導、改善を図ることができる。c)派遣労働者の傷病その他、やむを得ぬ理由がある場合、乙は甲の了承を得て派遣労働者の交替をすることができる。となっています。今回の事例に直接あてはまる個所は見当たりませんが、弊社の就業規則には当然公序良俗に反しないという記述がございます。
そこで相談ですが、
(1)派遣会社から先週3日間の支払いを請求された場合、弊社はそれに応じなければならないでしょうか。(派遣の実績は確かにございますが、今後弊社で勤務していただくことを前提に監督者が教育していた中で、先方の一方的で特殊な事由により勤務の継続ができなくなったことを考えますと、その必要がないようにも思います。)
(2)代替の方の派遣ができない理由として、先方は今すぐは人が確保できないとしていますが、今後も無い袖は振れない、と主張されたときは契約不履行として何らかの措置をとることは可能でしょうか。
(3)あるいは、代替の方も要求しないが、(1)の請求も破棄していただく とした場合に弊社として留意すべき点がございましたらご教示いただけませんでしょうか。
以上 ご指導いただきますようお願いいたします。
投稿日:2014/06/10 01:51 ID:QA-0059161
- 労務不成一日さん
- 静岡県/石油・ゴム・ガラス・セメント・セラミック(企業規模 51~100人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、派遣に関する会社間での問題に関しましては原則派遣契約で示された内容に従って処理することになります。そして、派遣社員に関しましては原則雇用契約を結んでいる派遣元の就業規則のみが適用され、派遣先である御社の規則は適用されません。
その上で、各々回答いたしますと‥
⑴ 文面を拝見する限りですと、契約上3日間の支払いを拒む理由は見当たりませんので、支払いは行わなければならないものといえます。
⑵ 派遣契約内容にもよりますが、重大な契約不履行そのものに該当しますので、特に免責等の定めが無ければ損害賠償請求を派遣元に対して行う事は可能といえます。
⑶ ⑴⑵から帰結されますようにむしろ逆の対応となります、つまり、支払請求には応じなければなりませんが、別途代替派遣がなされない場合に損害賠償請求を行うことが可能と考えられます。
但し、損害賠償等の訴訟となりますと、今後の関係継続は困難になってきますので、余程いい加減な派遣会社でない限り、極力話し合いを行って柔軟な対応での解決を図られることをお勧めいたします。
投稿日:2014/06/10 09:48 ID:QA-0059162
相談者より
ご回答ありがとうございました。参考にさせていただきます。
投稿日:2014/06/10 23:51 ID:QA-0059182参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
双方損失負担で解決の上、仕切り直しが妥当
派遣社員の欠勤 ( 不就労 ) に対しては当然、 代替要員の派遣を要求することはできますし、 派遣元にはそれに応じる義務があります。 良識の期間内に代替要員の派遣が行わなければ、 派遣契約の不完全履行に該当し、 契約の解除、 損害賠償の請求ができます。 但し、 履行された部分に就いては、 それ自体が独立して経済価値がある場合にのみ、 支払いの義務があります。 堅苦しい説明になりましたが、 結局、 すべてが契約条件通り運ばない事態は常に起きうることなので、 通常、契約書末尾にある 「 記載のない問題や疑義が生じた場合は、その都度協議して円滑に解決する 」 いう精神に沿って、 派遣元と協議しなければならない個別事項だと思います。 実損失が過大でなければ、 ( 3 ) 案のように、 双方損失負担で解決の上、 仕切り直しが妥当な選択だと思います。
投稿日:2014/06/10 12:38 ID:QA-0059170
相談者より
ご回答ありがとうございました。大変参考になりました。
投稿日:2014/06/10 23:52 ID:QA-0059183大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
話し合い
本件、ご納得いかないお気持ちは十二分に理解できますが、まずは契約優先で、たとえそれが教育で終わってしまい、実働になっていなかったとしても、派遣労働発生分は支払う必要があります。それを拒むのではなく、別途損害賠償で埋めるという流れが正しいと思いますが、残念ながら、派遣社員が欠勤し、その穴埋めができないことは十分あり得ることで、かなり難しいかと思います。
法律論ではなく、まず派遣会社と話し合い、どれほど損害だったかということを正確に、かつ冷静に伝え、説得することを目指してはどうでしょう。権利ではなく、要請であり説得です。そうしたスタンスでの交渉が成功すれば、該当派遣料金を話し合いによって無しにするといった結論もあり得るかと思います。
投稿日:2014/06/10 23:38 ID:QA-0059180
相談者より
ご回答ありがとうございました。参考にさせていただきます。
投稿日:2014/06/10 23:53 ID:QA-0059184大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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