残業をすることができない社員への「みなし残業代」の取り扱い
お世話になります。
当社は就業規則において「みなし残業」を規程しています。
(「月間○○時間残業したとみなす。その分として○○手当を支払う。」)
このたび傷病から復帰する社員がおり、産業医より残業をさせないよう指導がありました。
育児休職からの復職で短時間勤務または残業なしを希望する社員については
上記手当を支払わない旨を定めていますが、
傷病から復帰する社員については定めがありません。
実質的に残業ができませんので、本人同意のもと、本手当を外した形で復帰させたいのですが、
法的に問題はありますでしょうか。
ご指導いただきたく、お願いいたします。
投稿日:2014/01/20 11:27 ID:QA-0057491
- ぽぴけさん
- 東京都/教育(企業規模 1001~3000人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
「 みなし労働時間制 」 の対象外とする措置が必要
本来、 法律には、 「 みなし残業 」 という表現はありません。 実際には、 「 労基法 」 に定められている、 「 事業場外みなし労働時間制 」、 「 企画型・専門型裁量労働時間制 」 を導入している場合か、 所定労働時間を超えて勤務するものとする 「 みなし労働時間制 」 の場合のいずれかが考えられます。 「 看做す 」 というのは、 実態が定めと違っても、 看做した内容と同じ法律関係が確定したものとする擬制制度です。 ご質問の、 傷病休職からの復職者に就いては、 産業医の指導を勘案すれば、 擬制制度を適用するには無理があります。 依って、 本人同意の取得、 今後の同種の事案対応のため、 就業規則の変更措置により、 適用外とすることが求められると考えます。
投稿日:2014/01/20 12:39 ID:QA-0057492
相談者より
ご回答ありがとうございます。
仰る通り、育児の規程を当てはめるのは難しいと思いますので、本人同意を得ることを前提に考えていますが、逆にいうと、本人同意があれば問題ないということでよろしいでしょうか。
またその場合、念のため、書面で確認しておく必要
はありますでしょうか。
規則変更は近々の検討課題として考えております。
投稿日:2014/01/20 12:43 ID:QA-0057493参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
「 みなし労働時間制 」 の対象外とする措置が必要 P2
就業規則は労使間のルールブックですから、 規則に記載がなくても、 本人同意 ( 書面確認 ) あれば、 何でもありという訳にはいきません。 ルール先行が原則です。 然し、 今回の事案では、 時間外労務提供がないことが明らかなので、 ルールは後追いでも、 実態的には、 問題は生じないと判断します。 なお、 書面確認は、 鉄則みたいものですから、 必ず、 取得しておいて下さい。
投稿日:2014/01/20 13:33 ID:QA-0057495
相談者より
ありがとうございます。
投稿日:2014/01/20 13:35 ID:QA-0057496大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
就業規則と同意の関係
就業規則に達しない労働契約はその部分について無効とされるとされ、その部分については
就業規則に定める基準によるとされています。(労働契約法12条)
ですから、たとえ同意があったとしても無効とされる可能性がありますので、
規定も速やかに改定する必要があります。
投稿日:2014/01/20 16:19 ID:QA-0057497
相談者より
ありがとうございます。
投稿日:2014/02/04 18:29 ID:QA-0057677参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
御相談の件ですが、「みなし残業」に基く固定残業代というのは残業ゼロでも毎月決まって支給されるものですので、原則としましては支給が求められるものと考えられます。
御社の場合、適用除外規定が育児休職からの復帰の場合しかないという事ですと、それ以外の場合は除外されないものと解釈されますので、全く勤務しないのであればともかく、就労している以上就業規則で定められている以上直ちに手当支給を外す事は困難といえます。
但し、現実問題としまして残業を命じる事が出来ない方に残業代支給というのでは他の従業員との間で公平を欠きますので、当人の同意を得ると共に就業規則の変更を行った上で手当支給無とされるのが妥当な方策といえるでしょう。
投稿日:2014/01/20 22:31 ID:QA-0057502
相談者より
ありがとうございます。
投稿日:2014/02/04 18:29 ID:QA-0057678参考になった
プロフェッショナルからの回答
手当を支給しない期間を定めるなど運用ルールの明確化を
休職から復帰した社員の方のみなし残業については、
通常残業をしなくても支給されるものであり、手当を外すことは不利益変更となります。
ただし、監督署によっては判断にばらつきがあり、
①みなし残業手当を全く減じてはいけない、という意見と、
②本人の同意があれば残業をしないことを前提に減じても問題ない、という意見がございます。
②につきましては、社員の方の現状から、日常的にみなし残業時間程度
残業している状況であれば、本人の同意のもと、支給無しとしても問題はないでしょう。
ただし、基本給に対してみなし残業手当の割合が多く、あまりにも支給額が
少なくなってしまう場合には、監督署からも指摘される可能性がありますのでご注意ください。
残業があまり発生しない状況であれば、業務量は変わらないのに
給与が減額されてしまうことになりますので、状況をみてご判断頂ければと思います。
尚、産業医の意見をもとに、手当を支給しない期間を事前に定めておくなど、
就業規則改定の際に運用ルールを明確された方が、
同様の事例が今後起きた際にも対応できるかと思います。
投稿日:2014/02/04 09:13 ID:QA-0057674
相談者より
ありがとうございます。
投稿日:2014/02/04 18:30 ID:QA-0057679参考になった
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