私傷病で休職している労働者の復職について
初めて書き込みます。
地方中小企業にて、社会保険事務関係・労務関係を担当している事務員です。
私傷病で休職している労働者の復職について、質問させてください。
私の勤め先では、私傷病による休職制度があります。
従前は身体的な傷病ばかりでしたので、医師からの「復職可能」の診断書のみで復職を許可しておりましたが、数年前、精神的なものを理由とした休職も1~2件出ましたので、それに対しての対策として、復職の申出があった時点で本人から、
「復職にあたり、御社が私の復職の可否を診断するために必要な情報(病状・治療状況・復職に際して必要な措置等)を得るために、私の主治医に対して意見聴取や面談等を行うことを承諾いたします。」
という承諾書を提出してもらい、主治医に対して、私が作成した「復職チェックリスト」の記載を依頼し、その結果を持って復職の可否を判断する仕組みにしたいと思っております。
とある講習会にて、医師や本人の考える「復職可能(何らかの配慮があれば就労できる)」と、会社の考える「復職可能(休業前とほぼ遜色なく通常の勤務ができる)」に乖離があったために問題となった事例の説明を聞き、このような対策が必要ではないかと思い至った次第です。
Q1.本人の同意が得られれば、チェックリストの記載依頼は問題ないでしょうか?
チェックリストには、
「復職の条件として休職以前と同様の勤務が可能であることを前提としている関係上、当人が復職可能な健康状態にあるのかどうかについて、懸念がございます。
つきましては、当人の復職にあたり、主治医である◎◎先生のご意見を賜りたく存じます。
当人からは、弊社が復職の可否を診断するために必要な情報(病状・治療状況・復職に際して必要と思われる措置等)を得るために、直接ご意見をお伺いすることについての承諾は得ておりますので、別紙チェックリストに所要事項をご記入の上、●月●日必着で同封の封筒にて弊社までご返送頂ければ幸いです。
① 当該社員の意思を反映することなく、診断に基づく事実を正確にご記入下さい。
② 復職の可否は、ご記載頂いた内容を参考に弊社が決定いたします。
③ 本チェックリストは、当人の復職の可否を判断する目的にのみ使用いたします。(目的外の利用はいたしません。)」
という但し書きをつけます。
Q2.チェックリストが診断書扱いとなり、発行手数料等が生じる場合、その費用は全額本人負担を想定していますが、会社側が負担しなければならないものでしょうか?(就業規則には「休職時の処遇は個別に文書で通知する」としており、その通知文内に「復職可能となった場合には、医師の診断書を添えて届け出ること。なお、発行に際して要する経費は全て自己負担とする。」と明記しております。通知文の最後には「本書に記載された条件を了承の上、休職いたします」という一文と、記載した年月日・本人の記名捺印を頂いています。)
Q3.チェックリストの項目は、
1.就労時間について
(1)所定時間内労働はできるか、短縮勤務等の配慮が必要か
(2)所定時間外労働(1日上限4時間・1給与月上限30時間)は可能か、それとも何らかの配慮(1日1時間まで、など)が必要か
2.就労日数について
1年単位の変形労働制で、ほぼ4週6休体制で1日8時間勤務してもらうが、何らかの配慮が必要か、不要か
※4ヶ月程度ある閑散期は、週休2日・1日7.5時間勤務のため、1日8時間・1週40時間以内という条件は満たしています。
3.通勤について
自分で運転して通勤することが可能か、何らかの配慮が必要か
4.勤務内容について
(1)具体的な業務内容を明記し、その勤務内容に何らかの配慮が必要か、不要か
(2)内部及び外部と、正常なコミュニケーションは図れるか、何らかの配慮が必要か、不要か
(3)単独での車移動は可能か、同乗者を付き添わせるなどの配慮が必要か
5.その他
上記項目以外で配慮が必要な事項など、懸念される事項はあるか
というものを予定していますが、この内容は適切でしょうか?
長文申し訳ありません。
お力添えの程、よろしくお願いいたします。
投稿日:2013/05/18 09:22 ID:QA-0054586
- まゆり1975さん
- 北海道/その他業種(企業規模 11~30人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
「 産業医 」 の意見を
心療的疾病が問題化するにつれて、 白黒判定の難しいグレーゾーン領域が増加、拡大し、 復職可否判定面での判断も多様化、 乖離と感じられるに至ったものと思います。 私傷病による労務提供の不能は、 労働契約の解消 ( 解雇 ) 事由となりますが、 休職制度は 、解雇に対し、 一定の猶予期間を与えているものです。 以上を踏まえて回答します。 《 ご質問 1 》 ⇒ 本人の同意を得た上での措置なので、 格別の問題はないと思います。 「 復職の可否は御社が決定 」 というのは重要なポイントですが、 ここで重要なことは、 主治医の判断を鵜呑みにせずに産業医の判定を仰ぐことです。 「 主治医 」 と 「産業医 」 の意見が異なる場合は、 原則として、 「 産業医 」 の意見を尊重すべきです ( 労働安全衛生法第13条の3、4 )。 《 ご質問 2 》 ⇒ 既述の通り、 解雇に対する猶予の解除に関する事項なので、 本人負担とされるのが筋だと考えます。 勿論、 会社が負担してあげても、 労働法、税法上問題はありません。 《 ご質問 3 》 ⇒ 本人の予定従事業務は分りませんので、 項目毎の是非は判断し兼ねますが、 ここまでシッカリ網羅されておれば十分だと思考致します。
投稿日:2013/05/18 14:04 ID:QA-0054590
相談者より
ご回答ありがとうございました。
大変参考になりました。
産業医について、ご指摘ありがとうございます。
地方中小ですので、現在のところ産業医はおりません。(健診等でお世話になっている医療機関はありますが、精神的な疾患の場合、専門医でなければ難しい判断もあろうかと思いますので、主治医の意見を参考に、復職の可否を決定する予定です。)
やはり問題ありでしょうか?
休職⇒復職の仕組みは、事業所規模から鑑みると、若干行き過ぎかとも思いましたが、無理に復職しようとすることでご本人の病状悪化も懸念されますし、事業所の立場から言えば、戦力としてあてにできない人材の復帰は過大な負担となりますから、きちんとしておきたいと考えております。(以前の精神的疾患での休職事例では「就労可能」との医師の診断書のみで復職を許可したものの、本人は病状悪化で結局退職となったうえ、上司や同僚にも大きな負担を与えてしまいました。)
投稿日:2013/05/18 16:56 ID:QA-0054592大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
休職者の復職につて
Q1.Q2について
・第三者情報提供であるので本人の同意が必要ですが、さらに通達では労働者本人から提出をうけることが望ましいとしています。費用負担も本人負担をお考えのようですので、チェックリストの授受は本人経由の方がよろしいと思います。
・主治医の診断書が会社として納得できないケースのみ、チェックリスト等を考えた方がよろしいと思います。
・主治医の診断については、業務遂行までは考慮していないとか、本人、家族の希望を考慮する傾向があると厚生労働省でも指針を出しています。
・50人未満であれば、地域産業保健センターの産業医相談が無料で受けられますので、その活用もお勧めします。ただし、主治医と産業医で見解が分かれた場合にどちらが正しいという法律や判例はありません。ケースバイケースで会社が判断することになります。
Q3について
・この項目内容は、主治医に対しては適切ではないと思われます。主治医は業務内容、職場環境はわからないからです。
全体として
・過去のご経験から、医師の診断を鵜呑みにはせず、会社が復職を判断するということはよろしいと思います。医師の診断書と会社の見解に乖離があった場合に、一律にチェックリストといいよりは、本人同意のもと、具体的なところを聞いてみる、あるいは産業医に診断してもらう。業務遂行が不完全な場合には、休職にするような規定にしておく。方がよろしいのではないかというのが見解です。
投稿日:2013/05/18 20:59 ID:QA-0054593
相談者より
ご回答ありがとうございました。
Q1.Q2について
>チェックリストの授受は本人経由の方がよろしいと思います。
とのご回答ですが、会社としては、本人が自分に都合の悪いことが書かれているからと提出せずに隠してしまうようなケースも想定し、主治医と会社間でのやり取りにしたいと考えております。
>主治医の診断書が会社として納得できないケースのみ、チェックリスト等を考えた方がよろしいと思います。
診断書を求めた場合単に「就労可能」とのみ記載してくる医師が非常に多く、具体的に必要な措置(短時間勤務を要する等)の記載が全く見られません。
よって、チェックリストの導入を義務付けようと思っております。
・50人未満であれば、地域産業保健センターの産
Q3について
>この項目内容は、主治医に対しては適切ではないと思われます。主治医は業務内容、職場環境はわからないからです。
この件については、個々に業務内容が異なるため、具体例は省略しましたが、きちんと内容と環境を記載した上で意見を求めますので、問題ないと考えております。
全体として
>医師の診断書と会社の見解に乖離があった場合に、一律にチェックリストといいよりは、本人同意のもと、具体的なところを聞いてみる、あるいは産業医に診断してもらう。業務遂行が不完全な場合には、休職にするような規定にしておく。方がよろしいのではないかというのが見解です。
実務では、個人は復職したい・会社はまだ復職に疑問を感じるというのが実情です。
なので、個人に具体的なことを聞いてもあてになりません。(大丈夫・元通り働けるの一点張り。)
本人立会いの下、主治医に意見を聞くことも考えましたが、主治医が本人に配慮して、本人に都合のいいことしか言わないのではないかという不安があります。
また、中小では人材が常にギリギリで動いていますので、いつまでも休職を認めるわけには行かないのが現実です。(勤め先では、精神的疾患による休職は暦月で1ヶ月までしか認めておりません。)
投稿日:2013/05/20 08:01 ID:QA-0054599大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
御相談内容について回答させて頂きますと‥
Q1.当人の病状を出来る限り正確に把握し就労の可否等に関しまして適切な判断を行うことは労働安全衛生法及び労働契約法上の安全配慮義務を果たす上でも重要な措置といえます。こうした法令に基く必要な措置は原則としまして個人情報保護よりも優先しますし、本人の同意を得て文面のようなチェックリストの提出をお願いすることは全く問題ございません。
Q2.診断書の費用等につきまして会社が負担しなければならないといった法的定めはございません。従いまして、御社就業規則の診断書費用の取り扱いに準じまして労働者の自己負担で差し支えないものといえます。但し、何らかの事情で費用負担する方が事を進めやすい場合(例えば、当人がチェックリスト提出に消極的だが費用負担してもらえるのであれば提出に同意するという場合等)ですと、自己負担にこだわりすぎず状況に応じて柔軟に対応されるのが望ましいでしょう。
Q3.特に不適切な内容は見当たりませんが、主治医は通常産業医ではございませんので、一般的な医師が書き易いように出来る限り簡潔にされた方がよろしいでしょう。その際、業務に関わる作業内容が分からなければ判断が出来ませんので、まず順序としまして4.勤務内容についての(1)の説明を最初に記載されるべきです。
また、「所定時間内(外)労働」「変形労働時間」といった労働法制上の分かりにくい用語を使うのではなく、単に1日や週単位の労働時間、残業の有無やそのおよその時間数、週の休日数といった具体的な数字のみを挙げた方がよいでしょう。一般の医師が見ておよそどれ位の時間働くのかが分かれば十分といえますし、回答も当該医師の見地から可能な内容だけで十分です。より細かな点に関しましては、別途産業医の意見を聴かれた上で最終的な判断をされるのが妥当といえるでしょう。
投稿日:2013/05/18 22:57 ID:QA-0054594
相談者より
ご回答ありがとうございます。
変形労働うんぬんは、当該チェックリストには載せておりません。
今回ご回答を頂くにあたり、「40時間制が守られていないのでは?」とのご指摘が寄せられることを考慮して書き添えたものです。
また、選択肢は原則三択(問題ない・配慮があれば可・問題あり)にして、具体的な指示(勤務時間の短縮が必要・1日おきに休日が必要など)を記載してもらうコメント欄を設ける形としております。
その他にも色々ご指摘いただいたことを踏まえ、検討していきたいと思います。
投稿日:2013/05/20 08:09 ID:QA-0054600大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
期待結果は分らないが、地域産業保健センターの活用を
「 主治医 」 と 「 産業医 」 とでは、 立場や判断基準が異なります。 「 産業医 」 は、 日常生活ができるレベルではなく、 ストレスがかかる勤務ができるレベルかどうか、 企業内の状況を把握した上での医学的な判断ができる立場にいます。 但し、 産業医がいない場合や、 いても、 必ずしも、 心療面の知識、 経験に深いとは限りません。 御社の場合、 主治医の診断書 = 本人の希望になり勝ちなのを承知の上で、 慎重に決めなければなりません。 参考ならが、 50人未満の小規模事業所に対する産業保健サービスの充実を目的として、 厚生労働省の委託を受けた郡市医師会が実施している相談窓口 ( 地域産業保健センター ) があるとのことですので、 結果的には役に立たなくても、 一度、 アプローチし 、活用を試みたという実績は、 少なくとも 「 無用 」 にはならないと思います。
投稿日:2013/05/19 11:51 ID:QA-0054596
相談者より
ご回答ありがとうございます。
記載いただいた内容も踏まえ、検討していきたいと思います。
投稿日:2013/05/20 08:11 ID:QA-0054601大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
復職判定
メンタルな問題の増加により、一番難しい問題が復職判定です。ご提示のような書類も本人了解でかませているので悪くないと思いますが、費用については柔軟に進められた方が良いかも知れません。また主治医が必ずしも回答するかどうかも不明ですので、復職決定はあくまで会社として判断することになります。医師は業務内容の判定は出来ません。したがいまして当該社員の職務分掌等が確立されていませんと、その判定プロセスや負荷が大きく会社側(担当窓口)にかかりますので、勤怠や業務の主旨等を勘案された復帰判定を準備されることをお薦めします。一発試験ではありませんので、一定の時間をかけ判断することになるでしょう。
投稿日:2013/05/19 18:40 ID:QA-0054598
相談者より
ご回答ありがとうございます。
記載いただいた内容も踏まえ、検討していきたいと思います。
投稿日:2013/05/20 08:14 ID:QA-0054602大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
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