フレックス勤務者の時間有給について
いつもお世話になっております。
10月の育児・介護休業法の改正に伴い、弊社では「養育両立支援休暇」を「有給休暇」として導入しました。
時間単位で取得できますが、始業から連続、または終業まで連続でしか取得できません。
弊社の普通勤務者は8時半〜17時半が定時です。
11月にフレックス勤務者がこの両立支援休暇を複数回利用しました。
本人の申請は11時〜17時半。
昼休憩1時間を控除して、勤務時間の5時間半を6時間分の両立支援休暇を使用するという申請でした。
しかし、勤怠管理者が、「フレックス勤務者のコアタイムは10時〜15時のため、15時以降は両立支援休暇は使用できない。11時〜15時で申請し直すように」
と差し戻しています。
フレックスですので他の日に所定労働時間以上の勤務があれば良いのですが、この従業員は両立支援休暇を複数回利用しているので、
所定労働時間外に足りなくなってしまいます。
また他のフレックスの従業員も利用を希望しており、
「1日最大8時間以内ならコアタイム以外でも取得できるようにして欲しい。固定労働の8時半〜17時半に合わせるのでもいい」
「休みを躊躇うので制度趣旨の意味がない」
「中抜けで利用できず終業までの取得が強制なのに、コアタイムの15時を終業時間とされるのはおかしい。」
「結果的に給与が減額される可能性がある、有給休暇と聞いたのに」
と指摘されています。
会社としても、有給休暇にしたのは控除されないことで取得しやすくするという意味もありました。
勤怠管理の責任者はコアタイムのみという解釈で譲らず、その上の上長は「どちらでも」という考えです。
どのように取得時間を考えればよいでしょうか?
投稿日:2025/11/28 11:03 ID:QA-0161249
- こいしかわさん
- 長野県/その他業種(企業規模 51~100人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
・ 養育両立支援休暇(有給)=労働時間免除であり
・ 「コアタイムの外は取れない」という解釈は 誤り です。
フレックス勤務者でも、1日あたり8時間(又は所定労働時間)以内であれば、
始業・終業のいずれ側でも取得できる運用が適法であり、望ましい制度設計です。
2.法的根拠:育介法(2025年10月改正)における取扱い】
2025年10月の改正で創設された「養育両立支援休暇」は、
厚労省の資料で以下のように説明されています。
・性質
労働義務を免除する休暇
時間単位・半日・日単位で、柔軟に取得できることが前提
取得しやすさ(柔軟性)が制度目的
ここで厚労省が強調しているのは、
勤務形態に応じて、利用者のニーズに合わせ、柔軟に取得可能とする運用が望ましい
という点です。
※つまり「フレックスだからコアタイムのみ」という考え方は制度趣旨と逆行します。
3.フレックスタイム制における“時間有休”の法的扱い
労働基準法39条の「時間単位年休」の考え方が、
両立支援休暇(有給)にもそのまま準用されます。
・ポイント
フレックス勤務者の「実際の始業・終業」の考え方は、
本人の選択による始業時刻・終業時刻 により決まる
コアタイムは「在社義務のある時間」であり
“休暇取得を制限する枠”ではない
したがって、
・ コアタイム内(10〜15時)であっても 取得可能
・コアタイム外(始業前・終業後方向)も 当然取得可能
です。
休暇とは「労働義務免除」なので、
“本来労働義務があるとされる時間”が免除されればよく、
コアタイム“のみ”に限定する根拠は法律上ありません。
4.今回の管理者の解釈が誤っている理由】
勤怠管理者が言う
「フレックス勤務者はコアタイムのみ取得可能」
は、次の理由で誤っています。
(1) コアタイムは「働かなければならない時間」ではなく、
「その時間帯に在社していれば、前後は自由に調整できる」制度
つまり、
コアタイム外=働いてはいけない時間
コアタイム内=労働時間の本体
ではありません。
(2)労働時間は「実際の勤務予定(スケジュール)で決まる」
フレックス勤務者の労働時間は、
各日の始業時刻と終業時刻を本人が決定する制度 です。
よって、
11時〜17時半勤務予定
であれば、
→ 11時〜17時半の間は労働義務あり
→ この中から休暇を取れる
となるのが法律構造。
(3)コアタイム外の休暇取得を禁止すると制度趣旨を逸脱
両立支援休暇の目的は、
育児・介護状況に応じて柔軟に休めること。
しかし今回の運用だと、
始業前(9時〜10時)の登園時間帯に休みたい
→ 休めない
終業後(15時〜17時半)の迎え時間に休みたい
→ 休めない
となり、育介法の意図に真っ向から反します。
(4)取得できる時間帯をコアタイムに限定すると、
“固定労働者より不利”となり違法の虞あり
固定勤務者(8:30〜17:30)は
→ どの時間帯でも取得可能
フレックス勤務者
→ 10〜15時しか取得不可
これは 均衡扱いの原則に反する 運用になり得ます。
5.どう運用すべきか(最適解)
(1)原則
1日の所定労働時間(例:8時間)の範囲で、
「本人が申告した始業〜終業予定」の中から、
始業側・終業側のいずれか連続で取得できる
というルールにするのが最適です。
御社の例では:
▼本人申請)11時〜17時半
昼休憩1時間控除
→ 労働義務:5.5時間
→ 両立支援休暇 6時間申請
→【適法・許容】(休暇付与に問題なし)
理由:
勤務時間そのもの(11時〜17時半)を本人が設定し、
その労働義務を休暇で免除しているだけだから。
6.最終的な会社としての“解決策案”
案1
「コアタイムに関係なく、本人の勤務予定時間の中で休暇取得を認める」
→ 法的に最も整合的
→ 制度趣旨とも合致
→ 従業員からの不満も解消
→ 実務負担も軽い
案2
「固定勤務の 8:30〜17:30 を“みなし所定時間帯”として設定し、
フレックス勤務者もこの中で休暇取得可とする」
(従業員からの提案と一致)
→ 管理が最も簡単
→ 公平性が高い
→ コアタイム外も取得可、使い勝手がよい
案3
「コアタイム内外いずれでも取得可。ただし1日の最大取得は8時間まで」
→ 必要最低限の改善案
→ 不公平感が軽減
→ 法的にも問題なし
7.まとめ
・ コアタイムのみ取得可 → 法的に誤り
・フレックス勤務者も固定勤務者と同様に休暇取得可
・ 勤務予定時間内で始業側・終業側どちらでも取得可
・固定勤務時間帯(8:30〜17:30)で休暇枠を統一する運用も可能
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/11/28 12:15 ID:QA-0161253
相談者より
大変参考になりました、これを管理者に理解してもらえるよう、制度趣旨の認識を確認しようと思います。
ご提案頂いた案からできたらなと思っております。
話し合いの中で意見が割れそうなのは、
養育両立支援休暇を使いたい従業員の中には、朝8時半より早く出社してきている者がおり、ほぼ5時半以降まで仕事をしており毎月残業時間が発生していることです。
「出社時間からの実労働時間+支援休暇が8時間を越えない範囲で取得可(案3の応用)」にすべきか
「実労働時間は加味せず、みなし定時まで取得可(案2)」
にすべきか
「実労働時間は加味せず、合計8時間を超えても本人計画で8時間まで取得可(案1と案3)」
あたりかと思いますが
管理者が気にしているのはこの点らしく、「残業時間をつけることになる」と考えているようで、フレックス時間に有給時間休を取らせない理由を「ノーワーク・ノーペイです」と言っています。
投稿日:2025/11/30 08:29 ID:QA-0161298大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
フレックスタイム制では、コアタイムは必ず勤務しなければならない時間帯
ですが、それ以外のフレキシブルタイムであっても、清算期間を通じて、
所定労働時間を満たす必要があります。
すなわち、フレックスタイム制では、清算期間の所定労働時間の一部を、
両立支援休暇の取得によって免除すると考えるのが制度主旨からも適当です
ので、コアタイムしか取得できないの考え方は見直した方が良いでしょう。
上記より、取得時間帯は以下に合わせるのが最もシンプルではないでしょうか。
|弊社の普通勤務者は8時半〜17時半が定時です。
投稿日:2025/11/28 14:28 ID:QA-0161260
相談者より
回答いただきありがとうございます。
今回の取得者は、コアタイム外も取得できるように管理者と話し合いを行いたいと思います。
ちなみに、この取得者の他に、8時半以前出社で5時半以降退社を常にしており、所定労働時間を毎月、上回っている従業員もおり、この従業員も支援休暇を希望しています。
清算期間が終わってみないと上回っているかはわからないのですが、できるだけ所定労働時間ぴったりとなるよう締めの時に時間休を調整する…ということは制度に反しますでしょうか?
申請時に「所定労働時間を満たしているのでこのコアタイム時間外は申請できません」とする、または「締めてみたら所定労働時間を満たしているので申請した支援休暇を◯時間返し、有給休暇時間を減らします」ということはできるのでしょうか?
「それなら年次有給休暇を使ったのに」「それなら時間休として取得するのを躊躇うから制度趣旨にあわない」と言われるのではないか…と想像しますが…。
投稿日:2025/11/30 09:08 ID:QA-0161299大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
会社の規定によりますが、
コアタイムは必ず出勤する時間ですので、
むしろコアタイム以外とするか、
例えばコアタイムは原則として、1時間は必ず出勤することとするなどでしょう。
投稿日:2025/11/28 15:38 ID:QA-0161268
プロフェッショナルからの回答
就労義務
以下、回答いたします。
(1)両立支援休暇(時間単位)は、勤務日(勤務時間)における就労義務を解除するものであると考えられます。
(2)『就労義務が存在するのは「コアタイム」である。このため、両立支援休暇(時間単位)の取得対象になるのは「コアタイム」だけである』と考えられたのかもしれません。
(3)しかし、フレックスタイム制では、労働者が始業時刻及び終業時刻を決め、それによって勤務(就労義務)の時間帯も決まってきます。このため、フレックスタイム制での両立支援休暇(時間単位)の取得については、1)労働者が就労義務の時間帯(始業時刻及び終業時刻)を決める、2)当該時間帯を対象にして、両立支援休暇(時間単位)の取得時間を指定する、という構成になっているものと認識されます。
投稿日:2025/11/28 19:47 ID:QA-0161277
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、養育両立支援休暇の制度主旨からしましても、時間単位の取得に関しまして制限を設けられるのは望ましくないものと解されます。
加えまして、フレックスタイム制の場合にコアタイムのみを取得対象とされる措置につきましては、まさに制度利用の意義を損ねるものと考えられますので、そのような不合理な制限は廃止されるのが妥当といえるでしょう。
こうした重要な課題につきましては、勤怠管理責任者の個人的な判断に委ねるのではなく、経営層を含めた会社全体の問題としまして提起され、きちんと社内で検討されるべきといえるでしょう。
投稿日:2025/11/29 13:23 ID:QA-0161290
プロフェッショナルからの回答
追加のご依頼にご回答申し上げます。
追加のご依頼をいただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
考え方や規定等につきましては、ご説明申し上げました通りです。
追加のご質問
「これを管理者に理解してもらえるよう、制度趣旨の認識を確認しようと思います。
ご提案頂いた案からできたらなと思っております。」
につきましての最終の判断は、所轄の労働基準監督署が行うものと存じます。
つきましては、本ご依頼は、所轄の労働基準監督署の監督官にご相談されることをお勧め申し上げます。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/11/30 12:14 ID:QA-0161300
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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