健診結果 就業禁止に伴う診断書
お世話になっております
企業内の産業保健スタッフです
社員で健診結果で血圧が高く、本人は治療を拒否しています
産業医より、就業禁止の指示がでました。1ヶ月間休業し安静・ダイエットなどの指示です。事業所は病欠扱いにするので、診断書が必要とのこと。
診断書を出してもらうために外部の医療機関に受診するようにとのことです。
本人は、絶対に治療(内服)はしたくないとのことです。
安全配慮義務の観点から、産業医の意見書だけでは、就業禁止にするのは
難しいのでしょうか?
やはり、産業医以外の医師の診断書が必要でしょうか?
ご教授お願いいたします
投稿日:2025/06/09 13:32 ID:QA-0153704
- mokkoさん
- 埼玉県/運輸・倉庫・輸送(企業規模 31~50人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
対応
産業医はあくまで診断結果とそれに基づく勧告が職務となるでしょう。安全配慮義務はじめ、最終的な責任を取るのはあくまで会社です。逆に産業医が命令できてしまうと、その責任も取らなければならないことになります。
会社に対して厳しく勧告し、重大な健康被害が発生するリスクがあることをしっかり伝えている証拠は残しておきましょう。その結果に対応するのは会社です。
投稿日:2025/06/09 14:15 ID:QA-0153708
相談者より
ご教授ありがとうございます
「事業所に勧告し、証拠をしっかり残す」
承知いたしました、ありがとうございました
投稿日:2025/06/09 14:31 ID:QA-0153709大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
以下が、法令上で禁じられているものではありません。
↓ ↓ ↓
>安全配慮義務の観点から、産業医の意見書だけでは、
>就業禁止にするのは難しいのでしょうか?
あくまで、お休みをいただくかどうかを判断するのは、貴社となります。
なお、産業医からの就業禁止の指示に対する、医学的根拠が不明ですので、
今のまま就業を続けると、具体的に何が起きるのか、もっと具体的に確認を
なされた上で、判断するのがよろしいでしょう。
何か問題が生じた場合でも、会社としては毅然とした対応をとる為には、
確かな判断根拠の保持が必要不可欠かと思案いたします。
なお、就業できない状態の場合は、健康保険の傷病手当金の対象となります。
ですが、医師の労務不能証明がございませんと、申請が困難となります。
お休み期間中の、健康保険からの傷病手当金申請には、医師の証明が必要である
旨を伝え、改めて、受診を促していただくよう働きかけていただくのが宜しい
かと存じます。
投稿日:2025/06/09 14:59 ID:QA-0153712
相談者より
ご教授ありがとうございます
傷病手当金などを申請するためにもやはり診断書の発行が必要ですね。事業所と本人へは起こりうる危険性をお話ししています。受診の促してを強化していきます
投稿日:2025/06/10 08:35 ID:QA-0153751大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
産業医が就業禁止とするほど血圧が高いのであれば、
会社は安全配慮義務の観点からも、就業禁止とする必要があります。
会社としては、従業員が拒むケースもありますので、
就業禁止の根拠として、
就業規則に就業禁止規定等で規定しておく必要があります。
投稿日:2025/06/09 15:02 ID:QA-0153714
相談者より
ご教授ありがとうございます
就業規則に具体的に就業禁止規定を規定することを
事業所へ提案してみます
投稿日:2025/06/10 08:38 ID:QA-0153752大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
産業医の意見書だけでは、原則として「休業命令(就業禁止)」の法的根拠としては不十分であり、病気休業(病欠)扱いにするには、医師(主治医等)の「診断書」が必要となります。
ただし、安全配慮義務や労働安全衛生法に基づく就業制限措置として、産業医の意見で就業制限をかけることは可能です。その際、給与・休業補償の取扱いが問題になります。
2.背景の整理と法的根拠
(1)安全配慮義務(労働契約法第5条)
企業には、労働者の生命・健康を守る義務があり、過重労働・健康リスクが高い状態での就業を放置すれば、義務違反となる可能性があります。
(2)労働安全衛生法(第66条の4 など)
産業医は、健康診断や面接指導の結果に基づき「就業上の措置」に関して事業者に意見を述べることができます。
ただし、「意見書」はあくまで『助言』であり、診断書と違い、法的に病気の診断や治療を行う文書ではありません。
(3)病気休業・病欠の取扱い
病欠や傷病手当金申請、休職の発令等には、通常は「医師の診断書」が必要です。
産業医が事業場に所属していても、診療機能のない場合は診断書を発行できないか、発行を避けるのが一般的です。
3.本人が治療を拒否している場合の対応
(1)本人が治療(特に薬物療法)を拒否していても、「受診拒否」は別問題
「就業継続は健康リスクが高い」と産業医が判断した場合、外部医師の受診と診断書提出を会社が指示することは正当です。
従業員には、就業規則に基づく「健康管理義務」があるため、受診指示を正当な業務命令とすることも可能です。
4.実務対応の選択肢
選択肢→内容→メリット→リスク・留意点
(1) 産業医意見のみで就業制限(自宅待機等)→賃金を全額支払いながら出勤を停止→労務提供義務を課さず、安全確保→就業禁止の強制力や正当性が弱く、長期化すると人事トラブルのリスク
(2) 外部医療機関の受診+診断書取得 → 病欠扱い→傷病休業・休職発令の要件を満たす→病気扱いで制度適用可、会社も説明しやすい→本人が受診を拒否した場合、対応困難
(3)受診命令に応じない場合、懲戒・労務指導を検討→業務命令違反として扱う→健康リスク放置を防げる→労働紛争化リスク。慎重な文書化が必要
5.実務対応としての推奨手順
産業医からの意見書を文書化(就業制限の理由、安全配慮義務上の必要性)
会社から従業員へ書面指示:「診断書取得のための医療機関受診を指示」
安全配慮義務に基づく必要性を丁寧に説明
拒否した場合は業務命令違反の可能性がある旨も通知
本人が受診・診断書提出に応じた場合:通常の病気休業対応(休職規定等の適用)
本人が受診を拒否し続けた場合:就業制限と自宅待機(賃金の扱いはケースバイケース)、または人事上の対応(文書指導・懲戒検討)
6.まとめ
産業医意見だけでの就業禁止は可能だが、「病欠扱い」とするには医師の診断書が必要です。
産業医の意見を根拠にして、安全確保のための就業制限(出勤停止)を一時的に行うのは正当ですが、給与の取扱いや長期化には注意が必要です。
本人が診断書取得に応じるよう、「業務命令としての受診指示」を行うことが現実的かつ適切です。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/06/09 15:13 ID:QA-0153717
相談者より
ご教授ありがとうございます
「意見書」はあくまで『助言』であり、診断書と違い、法的に病気の診断や治療を行う文書ではないという点を理解できていなかったです。
産業医業務以外に、事業所内で診療所を設けており、診療を行っております。産業医は診療医(管理医師)としての役割もありますので、診療医として診断書を発行することができないのか?という考えもありましたが、やはりそれは避けるべき事案であることがわかりました
受診指示を正当な業務命令とすることも可能だとのことも理解いたしました
とてもわかりやすく、疑問がすべて解消できました。感謝申し上げます
ありがとうございました
投稿日:2025/06/10 08:49 ID:QA-0153754大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
安全配慮義務
以下、回答させていただきます。
(1)「高血圧の従業員」に関する安全配慮義務に関連した裁判例として、「シ
ステムコンサルタント事件」(東京高裁、平成11年7月28日判決)がありま
す。
(2)ここでは、以下のことが述べられています。
1)雇用契約上の信義則に基づいて、使用者として労働者の生命、身体及び
健康を危険から保護するように配慮すべき義務(安全配慮義務)を負い、
その具体的内容としては、労働時間、休憩時間、休日、休憩場所等につい
て適正な労働条件を確保し、さらに、健康診断を実施した上、労働者の年
齢、健康状態等に応じて従事する作業時間及び内容の軽減、就労場所の変
更等適切な措置を採るべき義務を負うというべき。
2)高血圧患者は、脳出血などの致命的な合併症を発症する可能性が相当程
度高いこと、持続的な困難かつ精神的緊張を伴う過重な業務は高血圧の発
症及び増悪に影響を与えるものであることからすれば、使用者は、労働者
が高血圧に罹患し、その結果致命的な合併症を生じる危険があるときに
は、当該労働者に対し、高血圧を増悪させ致命的な合併症が生じることが
ないように、持続的な精神的緊張を伴う過重な業務に就かせないようにす
るとか、業務を軽減するなどの配慮をするべき義務があるというべき。
3)入社直後から高血圧に罹患しており、心拡張も伴い高血圧は相当程度増
悪していたことを、定期健康診断の結果により認識していた。
4)具体的な法規の有無にかかわらず、使用者として、高血圧をさらに増悪
させ、脳出血等の致命的な合併症に至らせる可能性のある精神的緊張を伴
う過重な業務に就かせないようにするとか、業務を軽減するなどの配慮を
する義務を負うというべきである。「自己責任の原則」を主張するとこ
ろ、確かに、労働者が自身の健康を自分で管理し、必要であれば自ら医師
の診断治療を受けるなどすべきことは当然であるが、使用者としては、労
働者の健康管理をすべて労働者自身に任せ切りにするのではなく、雇用契
約上の信義則に基づいて、労働者の健康管理のため前記のような義務を負
うというべきである。
(3)本件を上記(2)に照らし合わせてみるとするならば、専ら当該従業員の
意向に委ねるのではなく、就業を継続した場合にはどのようなことが起こり
得るのか(予見可能性)、これを回避するためにはどのようなことが必要な
のか(結果回避措置)について産業医への確認・相談の上、
1)産業医からの指示(就業禁止、1ヶ月間休業し安静・ダイエット)に
則り、業務命令(自宅待機)を発出することが考えられます。
2)合わせて、医師の診断をうけるよう業務命令を発出し、その結果によ
っては就労の余地があるとしておくことも必要であると考えられます。
投稿日:2025/06/09 20:30 ID:QA-0153736
相談者より
ご教授ありがとうございます
過去の判例を教えていただき参考になりました
受診することを業務命令とするなど事業所と相談していきます
投稿日:2025/06/10 08:52 ID:QA-0153757大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、就労可否に関しましては、産業医・主治医等の医師ではなく、事業主が最終的に判断し決定するものになります。
従いまして、産業医より就業禁止の意見が出されているという事でしたら、当該意見を基に会社側で判断し就業禁止とされる事も可能です。
その際、外部の診断書の提出を求められるのは当然の対応ですが、当人が拒否されていれば現実問題として不可能ですし、仰る通り安全配慮義務の観点からも産業医の意見が適切と判断出来るような状況でしたら、そのようにされる事が会社の法的責任・当人の健康悪化といった双方のリスク回避を図る上でも妥当といえるでしょう。
投稿日:2025/06/09 21:59 ID:QA-0153742
相談者より
ご教授ありがとうございます
本人が拒否しているので、対応に困っている状態で色々対策を講じてきました
投稿日:2025/06/10 09:20 ID:QA-0153769大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
難しくはありません。
健康診断の結果、産業医から就業禁止の指示がでたのであれば、会社はそれに基づき就業禁止とすることで差し支えはございません。
本人が、外部医療機関への受診を拒否している以上、会社から強制することははできませんので、安全配慮の観点からいっても当然の処置といえます。
産業医以外の医師の診断書については、ケースバイケースで考えればよく、まずは安全と健康への配慮に主眼を置くのが先です。
投稿日:2025/06/10 07:22 ID:QA-0153749
相談者より
ご教授ありがとうございます
安全と健康に配慮して対応していきます
投稿日:2025/06/10 09:22 ID:QA-0153773大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご相談内容について回答いたします
労働安全衛生法13条5項では「産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。この場合において、事業者は、当該勧告を尊重しなければならない。」と規定しています。
この規定に基づいて、産業医が従業員の健康管理のために就業を禁止(休職)させるべきことを事業主に勧告したときは、事業主は主治医の診断がない場合でも、休職を命じることが可能です。
休職する際には診断書が必要だと思われていますが、必ずしも必要なわけではありません。
従業員を休職させるかどうかの最終的な判断は会社が行います。
診断書は休職の妥当性を医師が診断していることを証明するもので、休職させるかどうかの判断材料の一つとして、医師による診断書の提出を就業規則で定めていることが多くなっています。
そのため、休職命令を出すにあたり診断書が必要かどうかは、就業規則の定めにより会社ごとに異なることになります。
ですので、休職命令を出す場合には就業規則にその要件が定められていることが必要です。
休職については法律で取り決めがあるわけではなく、各社が就業規則であらかじめ規定する必要があります。要件を満たさない休職命令を出した場合には、無効になることもあります。
休職命令を出すにあたっては、診断書の要不要の他、その要件を正確に確認しておくことが必要となります。
投稿日:2025/06/11 08:38 ID:QA-0153801
相談者より
ご教授ありがとうございます
就業禁止の場合、病欠扱いにすると事業所が取り決めており、傷病手当など金銭的なことも含めて
診断書が必要となるようです
就業規則で規定する必要がありますね
ありがとうございました。
投稿日:2025/06/11 09:00 ID:QA-0153802大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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