二重処罰の禁止について
質問させていただきます。
懲戒処分における二重処罰の禁止に該当するかどうかについてです。
以前、就業規則上の兼業禁止に違反、また上司の許可なく休日出勤を繰り返したことで、当該社員を譴責処分といたしました。もちろん、就業規則に基づき懲罰委員会を開催し、弁明の機会を与え、その上で譴責処分を確定。本人に懲戒処分通知書を渡し、今後は就業規則に違反せず業務に集中することを命じ、処分に従う時は速やかに提出する旨をお伝えし、署名入りで回収しております。
こうした経緯にも関わらず、以降も上司の許可のない休日出勤を繰り返していたことが他の職員からの通報で発覚いたしました。上司が面談で許可のない休日出勤は認めることはできない旨を指導しても、話を逸らしたりはぐらかしたりで改善の見込みは見られない現状です。また、兼業についても期限を定めて改めると言っていたにも関わらず、期限を超えた現在も継続しております。
当該社員は管理者として役職についているにも関わらず全く反省の見られない現状から、管理者としては不適格と言わざるを得ず、最早2度目の懲戒処分は免れないと思っております。この場合、1回目の懲戒処分は懲戒処分通知書を渡し、回収した段階で確定しているので、同じ許可のない休日出勤を事由として懲戒処分を下すことは二重処罰の禁止には該当はしないという認識でよろしいでしょうか。
また、再三の指導にも関わらず改善の見込みがないことから、前回の処分も加味して管理者からの降格を検討しているのですが、それは就業規則上可能でしょうか。
ちなみに、根拠条文は
1.次の各号のいずれかに該当するときは、情状に応じ、譴責、減給、出勤停止または降格とする。
・職務上の指揮命令に従わず職場秩序をみだしたとき
2. 次の各号のいずれかに該当するときは、諭旨解雇又は懲戒解雇に処する。ただし、情状により減給または出勤停止とする場合がある。
・正当な理由なく頻繁に業務上の指示又は命令に従わないとき
です。
それとも、
繰り返し就業規則違反をし改悛の情が認められないため重罰に処する、懲戒処分を受けたにも関わらず同じ過ちを繰り返した場合、
などの規定が必要でしょうか。
ご回答よろしくお願いいたします。
投稿日:2023/09/26 16:32 ID:QA-0131266
- アストラエルさん
- 東京都/医療・福祉関連(企業規模 101~300人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
懲戒処分確定後、
前回の行為に対してではなく、別の行為に対する懲戒処分となりますので、
二重処罰の禁止には該当しません。
降格処分を懲戒処分として行うのか、人事権の裁量として行うのかは明確にしておくことです。
懲戒処分として行ううのであれば、その規定が根拠になるか検討してください。
規定に追記が必要かどうかは、全体から判断する必要があります。
投稿日:2023/09/26 19:49 ID:QA-0131282
相談者より
ご回答ありがとうございました。
規定全体をもう一度見て検討したいと思います。
投稿日:2023/09/27 09:52 ID:QA-0131317大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お問い合わせの件
お問い合わせの件ですが、前回と処分対象となる事実(懲戒事由)が異なることから同じ態様であっても懲戒処分は可能です(二重処罰の禁止には反しません)。また、降格については懲戒処分ではなく、人事上の措置として実施することの方がリスクは下げられると思います。なお、ご指摘の規定例は定められた方が明確ですが、定めなくとも情状として考慮することは可能です。
以下、弊社サービス(https://laborfield.jp/)の掲載記事(一部抜粋)を転記しておきますので、参考にしてください。
*****
1.懲戒処分と人事処分
懲戒処分について、同じ事由に関して重ねて実施することができず(一事不再理)、また、一度処分をしない旨決定されたことにつき蒸し返すことも信義に反するものとして一般的にはできないと考えられています。
一方で、懲戒処分は、社内秩序違反者に対する制裁罰の不利益措置として実施することになりますが、人事権行使としての降格処分は、従業員の職務の適格性や職務遂行能力の欠如を理由に実施されることになり、両処分では目的が異なります。そのため、同一事由について懲戒処分と人事権行使としての降格処分を行ったとしても、同一事由に関して懲戒処分を二重に実施することにならず、一事不再理との関係では問題となりません。
そのため、本件においても役職者に対して、懲戒処分(出勤停止)を行うとともに、人事権行使としての降格処分を行うことは可能です。実際に、セクシャルハラスメントをした管理職に対する30日間の出勤停止処分(懲戒処分)と管理職手当と減給を伴う降格処分(人事権行使)を有効とした判例があります(最判平成27年2月26日)。
もっとも、職務の適格性や職務遂行能力につき検討することなく、懲戒事由に該当することのみをもって降格処分を行う場合、実質的にみて企業秩序違反に対する制裁として評価される可能性は否定できません。そうなりますと、同一事由につき懲戒処分を二重に実施していると評価されたり、就業規則等において懲戒処分の種別として降格が定められていないときは就業規則等の根拠のない懲戒処分が実施されたものとして無効となるおそれがあります。そのため、本件役職者に対して降格を行う際には、懲戒処分として行うのではなく、人事権行使として行っていることを明確にする必要があります。例えば、定期的な人事異動の時期に実施することや、辞令を交付するといった対応が考えられます。
2.人事上の降格処分を行う際の留意点
前記1のとおり懲戒処分と人事権行使の降格処分が併用できるとしても、後者の降格処分の有効性については別途検討が必要になります。
貴社において採用されている人事制度(職能資格制度、職務等級制度)にもよりますが、いずれにしても、賃金の減額を伴う降格には、その根拠が必要であり、内容(有効性)についても対象従業員に与える不利益の程度に照らして厳格に審査される傾向にありますので慎重に対応する必要があります。
一方で、賃金の減額を伴わない職位の引下げ(あるいは賃金減額が伴うとしても職位引下げによる当然失う手当(例:役職手当等))は、必ずしも就業規則等の根拠まで求められておらず、使用者の大幅な裁量に委ねられていますので比較的柔軟に対応することができます。
そのため、まずは、本件役職者につき、人事権行使としての降格処分を行うにあたっては、賃金減額への影響が少ない職位の引下げ(たとえば、資格等級等は引き下げずに部長から担当部長や課長にするなど)をご検討ください。
職位を引き下げるのみの対応が難しく賃金減額が必然的に伴う場合(基本賃金が下がるなど)には、後日紛争が生じないように、対象者に降格の理由(役職者としての適性に欠ける等)について丁寧に説明した上で、降格の内容(特に賃金減額の内容)を明らかにした書面を本件役職者に提示し、同意を取得しておくことが安全と考えます。
投稿日:2023/09/26 20:26 ID:QA-0131289
相談者より
ご回答ありがとうございます。
確認でご質問させていただきます。
一方で、賃金の減額を伴わない職位の引下げ(あるいは賃金減額が伴うとしても職位引下げによる当然失う手当(例:役職手当等))は、必ずしも就業規則等の根拠まで求められておらず、使用者の大幅な裁量に委ねられていますので比較的柔軟に対応することができます。
そのため、まずは、本件役職者につき、人事権行使としての降格処分を行うにあたっては、賃金減額への影響が少ない職位の引下げ(たとえば、資格等級等は引き下げずに部長から担当部長や課長にするなど)をご検討ください。
→賃金の減額を伴わない職位の引下げ(管理者→一般職)の場合、就業規則等の根拠がなく、本人の同意を得なくても、管理者不適格という使用者の裁量による認定(勿論、不適格の根拠となる証拠は揃えております)が可能ということでよろしいでしょうか。
投稿日:2023/09/27 10:12 ID:QA-0131320大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、違反内容は同一であっても、前回の違反行為については処分済みでその後新たに発生した違反行為ですので、これを処分されても二重制裁にはなりえません。
従いまして、この度の違反行為につきましても処分を科す事は可能ですし、文面内容を拝見する限りですと、管理者としての適性に欠けるように感じられますので、降格とされるのも妥当な判断といえるでしょう。
投稿日:2023/09/26 20:57 ID:QA-0131293
相談者より
ご回答ありがとうございます。
降格も妥当とのことですが、その場合、前述いたしました規定のみで降格までもっていくことは可能でしょうか。それとも、追記が必要になってきますでしょうか。
投稿日:2023/09/27 10:14 ID:QA-0131321大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
ご返事下さいまして感謝しております。
御質問の件ですが、追記につきましては特に不要です。尚、降格自体が妥当な措置であるかについては詳細事情を踏まえた上で検討される必要がございますのでこの場で確答は出来かねます。
投稿日:2023/09/27 11:01 ID:QA-0131337
プロフェッショナルからの回答
対応
別件事由による処罰は二重処罰とはなりません。
現行規定で大丈夫可能と思います。
処罰の妥当性は全て個別案件事情によりますので、微妙な状況であれば弁護士などの意見を受けてはどうでしょうか。
投稿日:2023/09/27 16:49 ID:QA-0131350
相談者より
ご回答ありがとうございます。
仰る通り、詳細は弁護士に確認させていただきます。
投稿日:2023/10/24 13:21 ID:QA-0132222大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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