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キーパーソンが語る“人と組織”

社員の才能と情熱を解き放つ、
ヤフー「人材育成関連の施策」の
プロデューサー(前編)
圧倒的なスピードで人事改革を実現した「秘訣」とは何か?

ヤフー株式会社 執行役員 ピープル・デベロップメント統括本部長

本間浩輔さん

本間浩輔さん(ヤフー株式会社 執行役員 ピープル・デベロップメント統括本部長)

「変化の激しい業界を生き残るため、驚くほどのスピードで人と組織の改革を進めているヤフー。5000人もの社員を抱えるヤフーの人事トップである本間浩輔さんは、これまで特に人事畑を歩んできたキャリアを持っているわけではありません。しかし、人事トップに就任した2012年以降、社員がお互いのパフォーマンスについてフィードバックを行う文化を創り出したほか、才能と情熱を解き放つ人事制度改革、組織開発を専門に行う部署の新設など、さまざまな取り組みを圧倒的なスピードで推進してきました。まさに人事の常識を超えた改革によって人と組織の活性化を実現してきたことに対して、人事部門関係者からの支持の声は多く、『日本の人事部』が主催する「HRアワード2014」では、企業人事部門・個人の部の最優秀賞を受賞しました。インタビューの『前編』では、ヤフーの人事トップとして、人材育成関連のさまざまな施策にどのように取り組んでこられたのか、詳しいお話を伺いました。

Profile

ほんま・こうすけ●1968年神奈川県生まれ。早稲田大学卒業後、野村総合研究所に入社。コンサルタントを経て、後にヤフーに買収されることになる株式会社スポーツ・ナビゲーション(サイト名:スポーツ・ナビ、現ワイズ・スポーツ)の創業に参画する。2002年同社が傘下入りした後は、ヤフー・スポーツのプロデューサー、ピープル・デベロップメント本部長などを経て、2014年より現職。

なぜ、人事の仕事に就いたのか

 まず、本間さんのこれまでのキャリアについてお聞かせください。

1992年に早稲田大学人間科学部スポーツ科学科を卒業した後、野村総合研究所に就職し、9年間コンサルタントとして仕事をしていました。その後、2000年に独立して株式会社スポーツ・ナビゲーションという会社を設立しましたが、2002年にヤフーに買収され、それ以降は2009年3月まで、ヤフー・スポーツのプロデューサーを務めました。ビジネス開発などに関わった後、2012年に宮坂社長以下、ヤフーが新しい経営体制となった際に人事部門のトップに就きました。

人事は初めての経験でしたが、株式会社スポーツ・ナビゲーションという会社を経営していたので「経営は人で決まる」という認識を強く持っていました。私はいくつかの大学院で学んでいますが、その時の研究テーマも「人」に関するもの。そのため、組織における“人のあり方”について、ずっと考えてきました。

野村総合研究所ではコンサルタントとして戦略策定などに関わりましたが、「戦略で組織は動かない」ということを実感させられました。クライアントに対する戦略を策定し、25~26歳の若輩が社長の前でプレゼンテーションをするわけですが、半年くらい経って再びそのクライアントを訪れ、「私たちが提案したプロジェクトはどうなりましたか」と聞いてみると、「いいプロジェクトだったけれど、なかなか予算がつかなくて……」と言われることが多かったんです。提案した報告書は担当者の横に積まれているだけで、特に実行されることはないわけです。こうした経験から、戦略は作ることよりも稼働させることの方が難しいと痛感しました。

そのうち、自分のベースにあるのはスポーツ科学なので、どこかでスポーツに関わる仕事をしてみたいと思い始めるようになりました。時代は1998年に長野で冬季オリンピックが開かれ、そして2002年には日韓共催のFIFAサッカーワールドカップも開催される頃でした。野村総合研究所でそれなりに仕事もできるようになったけれど、本来自分がいるべきところとは違うのではないかと、真剣に考えるようになりました。

長野オリンピックの時には野村総合研究所で何もできなかったので、ワールドカップでは何かがしたいと考えるようになり、大手広告代理店の方と一緒に作ったのがスポーツナビゲーションです。ただ、結果的に会社を解体することになり、当時100人以上いた社員を最後は10人くらいまでに減らすことになってしまいました。この時の苦渋の経験が、いま人事担当として生きている私の「原点」としてあります。人を解雇することを通じて、人が働くとはどういうことなのか、人のキャリアや人生とは一体何なのかを深く考えるようになりました。

そこで、心理学(カウンセリング)を学ぼうと、筑波大学大学院に通いました。その時に教えていただいたのが、この分野の大御所である渡辺美枝子教授です。渡辺先生の下で、心理学的なアプローチから見たキャリアについて叩き込まれました。

 この頃は、神戸大学大学院の金井壽宏教授の『働く人のためのキャリアデザイン』がベストセラーになるなど、第何次かのキャリアブームと言われた時期ですね。

1999年にはクランボルツの「プランドハプンスタンス(計画された偶然)理論」が発表されましたが、これが私のキャリアに対する考え方のベースの一つとなっています。いま目の前にある「偶然の出会い」が将来のキャリアを開く鍵となる。だからこそ、いまを大事にしようというものです。

キャリアについて勉強したことを、私はヤフー・スポーツの中で実践していきました。上司が部下と業務の話だけでなく、将来の展望などを話し合う「キャリア面談」などですね。すると、私がヤフー・スポーツを担当していた頃の上長が、現在の社長である宮坂なのですが、私が試しに行っていることに、興味を持ってくれたんです。そして、2007年にメディア事業部に転籍しました。今度はメディア事業部の中で、キャリア面談、人材開発会議など、これまでスポーツ部門でやってきたことを実践していくことになりました。


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