【生活型、付合い型、独りよがり型、抱え込み型…etc 】
“タイプ別”残業時間削減のテクニックとその進め方
【3】必ずしも否定すべきではない残業
(1)がむしゃら残業
最後に、必ずしも否定すべきではない残業として“がむしゃら残業”を挙げることができます。若手社員が早く人前になりたいといった理由から、また、 仕事熱心であるがゆえに毎日残業を繰り返す、こういった残業までもすべて否定し、老若男女一律に定時に帰れと言うべきではありません。とりわけ新入社員や 転職してきた若手社員については、新しい仕事に就いて数年間、それこそ寝食を忘れて仕事にのめり込むべきではないでしょうか。仕事というものは、実際に現 場で数をこなしていかなければ覚えていかないものです。仕事をしていくうえで起こった試練を乗り越え、「一皮むけた経験」を積み重ねていくことが、大きな 自信となり、仕事を続けていく高いモチベーションにつながっていきます。若い時期にとことん仕事にのめり込むことで、知識や経験の“貯金”ができるので す。
(ア)仕事にムダはないか
ただし、こう言い切るためには条件が二つあります。一つ目は、仕事の仕方にムダがないことです。“ダラダラ残業” や“成行きまかせ残業” を繰り返していたり、会社に長くいることが目的になってしまっていたり、長時間残業に自ら酔ってしまっていたりするようであれば、そういった残業はやめさ せなければなりません。そうではなく、成果に向かって、悩みながらもまずは自らの力で考え、行動し、上司やチームメンバーの力を借りながら前進しているか どうか、また、上司がしっかりと仕事の進捗を管理し、アドバイスを行うというサイクルが回っているかどうか、この二つができていることが一つ目の条件で す。
もちろん、度が過ぎた長時間残業は上司がやめさせる勇気を持たなければなりません。度が過ぎているかどうかは、上司が部下を見守り、進捗管理を徹底していれば自ずと見えてくるものです。
(イ)仕事を狭く捉えていないか
二つ目は、仕事というものをあまりにも狭く捉えないことです。仕事というのは1日中パソコンとにらめっこしたり朝早くから夜遅くまで多くのクライアントと会ったりするだけではありません。感性を研ぎ澄ませて、世の中を眺める時間を持たなければ、良い仕事はできません。
そのためには、ノー残業デーや休日を活用して自己啓発に励んだり教養を身に付けたりすること、また、同業他社の製品・商品を見たり街に出て消費者の感覚をつかんだりすることで、広い視野を身に付けることもまた重要です。
会社の机に座って見聞きできることは、世の中のほんの一部に過ぎません。こうした一見余裕とも思えるような時間を意識して設けることにより、世の中 の流れを読む洞察力を身に付けること、これがビジネスにおける深みを増すのだということを、ぜひとも若いうちから身に付けておくべきです。こうした時間を あえて持つことができているかどうかが、二つ目の条件です。
これら二つの条件を満たしているのであれば、若手社員の残業というものは、一概に否定すべきものではありません。
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