2012年10月、「一般社団法人 人材サービス産業協議会」が設立
―業界4団体が連携して取り組むプロジェクトとは―
<人材育成プロジェクト>今後の労働力を担う有期雇用者の活用促進のため、人材サービス産業従事者に対する教育を検討
(1)キャリア形成支援(2)キャリアチェンジともに難易度が高そうですね。実現するかどうかは、人材サービス産業に携わる皆さま一人ひとりの力にかかっているのではないでしょうか。
そのために(3)人材育成プロジェクトでは、いかに人材サービス産業に携わる人材を教育していくかという課題に取り組みます。私たちが直近で迎える大きな課題の一つは、ミドル層求職者のサービス業へのキャリアチェンジ促進です。そういう課題に対応できる人材を育成していきたい。紹介事業や再就職支援会社の実態調査を元に「パターン化」「メソッド化」して、どのようにマッチングに昇華させるかが鍵だと考えています。
ミドルエイジとなった人たちを新たな産業とマッチングさせるために、何か具体的な施策はお持ちですか。
これから研究していくところですので、成果を随時発表していきたいと思っています。「業界研究」や「職種の見極め」をしっかり行うことなどで結果は随分変わってくるのではないでしょうか。
たとえば、リーマンショック時に、製造業から介護業界へ転職したミドル層が多く見られました。全く異なる仕事だと思われるでしょうが、介護事業所でも、募集している職種はケアマネジャーやヘルパーだけではないのです。場合によってはマネジャークラスの人材募集もあります。
ですから、私どもとしては、必ずしも求職者個人に寄り添ったキャリアカウンセリング的な能力だけではなく、クライアント(求人企業)の仕事を細分化して、それを見極める能力を磨く必要もあると考えています。
ここで、人材サービス産業が高度化する必要性の背景について、さらに一歩踏み込んで考えておきたいと思います。人材サービス産業従事者の育成は、有期雇用者のキャリア形成支援・キャリアチェンジといったことだけでなく、「人的資源の有効活用」「経済の活性化」にも大きく関わってきます。一層激化する国際競争のなかでは、「人的資源の有効活用」が欠かせません。
また、多様な就業機会を提供することにより、女性や高齢者の就業機会が増えれば、「社会保障費の抑制」にもなりますし、「世帯収入増加による内需喚起」も期待でき、財政赤字の軽減にも繋がるでしょう。
そのためにも、私どもは、個人が将来に展望を持つことができ、企業の競争力も向上するよう、企業が必要とする領域や、成長分野へのキャリア転換を促すために、「企業の人材活用のパートナー」として、また、「個人のキャリア形成のパートナー」として、採用や転職ニーズの発生時点でのマッチングだけでなく、中長期的な支援を行わなければならないと考えています。
最後に、今後のスケジュールなどをお教えください。
課題解決に関するアクションプランはこれからというところですが、一般社団法人として法人化する10月には具体的なことを発表する予定です。ただ、これらの課題は私どもだけでなく、企業も、働く方自身も、労働行政も一丸となって取り組んでいかなければいけない問題です。
今のような状況が続けば、日本の産業の生産性は低いものになってしまいます。そうならないためにも、これからの日本の労働市場を大きく担う人材サービス産業から、アクションを起こしていきたいと考えています。
「人材サービス産業協議会」発足の背景や、各プロジェクトの概要がわかりました。10月1日の法人化を楽しみにしています。本日はありがとうございました。