同一労働同一賃金の観点からの退職金規程
お世話になっております。
今まで当社では、退職金規程がなかったのですが、従業員の福利厚生向上のため、退職金制度を創設することとなりました。
現在、当社には正社員、契約社員、パート社員がおりますが、退職金規程の対象となる社員を正社員に限定しようと考えております。
質問の内容は、契約社員のうちの1人で、ひじょうに仕事ができ、同じ部署の正社員と同等の働きぶりのかたがおります。すでに賃金(給与)および賞与は、正社員と同一基準に引き上げておりますが、退職金に関しても、この契約社員には同一労働同一賃金の観点から、適用しなければならないでしょうか?
実は、この契約社員には、昨年、正社員昇格の提案を会社から行いましたが、本人が「責任範疇が重たくなるのはいやだ」「週の間でも自分の都合で、休みたいときに休める(時給ベースなので、有休残がなくなれば欠勤なのです)自由度がほしい」といわれ、本人が正社員昇格を拒否した経緯があります。
現時点では、フルタイムで正社員と同じように働いていますが、上述の理由で、今回も正社員昇格を本人が拒否いたしました。
このような場合でも、契約社員であっても、創設する退職金規程の対象者としなければならないでしょうか?
この契約社員の職務内容ですが、フルタイムで働いている間は、正社員と変わりないと思います。責任範疇ですが、欠勤となる休みを取っても、査定には響かず、たとえば本人の都合で、週3日勤務の時も過去にはあり、そのような働きかたも容認されている点で、正社員とは異なると理解しております。
よろしくご教示のほど、お願いいたします。
投稿日:2019/11/15 13:35 ID:QA-0088437
- mikelovingさん
- 三重県/精密機器(企業規模 301~500人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
同一労働同一賃金においては、裁判例をみても、同じ退職金・手当であっても差異があっても合理的だとされるケースもあれば不合理とされるケースもあります。
ですから、ひとくくりに論じることはできません。
会社としては、退職金の目的・性質をはっきりさせることです。福利厚生のためだけですと契約社員にも支給しないと不合理だとされるリスクがあります。
次にその目的に照らして、職務内容、責任の範囲、配置転換等の違いから合理性を検討します。
この方が正社員を拒否した理由そのものが正社員と差異はあります。あとは退職金の目的をもう少し具体的にして、なぜ、正社員だけ支給するのか説明がつくようにしておくことです。
投稿日:2019/11/15 16:16 ID:QA-0088448
相談者より
ありがとうございました。
投稿日:2019/11/23 11:50 ID:QA-0088660大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
無理して正社員化することはない
▼「同一労働・同一賃金」という社会的トレンドに沿って会社が努力されている中で、どれだけ優秀でも、たかが一人の社員の我儘に振り回されている図式は、頂けませんね。
▼個人の信念は自由ですが、当該社員の言い分、行動は、組織人の観点からは、落第ものです、会社が、彼の能力、働きぶりに、振り回され、腰の引けた、おっかなびっくり姿勢に終始しているみたいですね。
▼よく言えば、変わり者、厳しく言えば、非協調者に対して、無理して、正社員化し、退職金の対象とする必要は、全くありません。
投稿日:2019/11/16 09:43 ID:QA-0088462
相談者より
ありがとうございました。
投稿日:2019/11/23 11:50 ID:QA-0088661大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
退職金はあくまでも任意の制度です。
任意の制度であるということは、その設計も基本的には自由であるということであり、退職金制度の目的に則って、支給要件を設計すれば良いというのが、基本的な考え方になります。
同一労働同一賃金ガイドラインにおきましても、基本給、昇給、賞与、各種手当て等の賃金から教育訓練や福利厚生までを対象としておりますが、退職金に関してはカバーしておりません。
したがいまして、厳密に言えば、当該契約社員に退職金を支給しないとしても、問題はありませんが、支給するとするのも、もとより自由です。
投稿日:2019/11/16 16:03 ID:QA-0088470
相談者より
ありがとうございました。
投稿日:2019/11/23 11:51 ID:QA-0088662大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、文面を拝見する限りですと、職務内容はほぼ同じであっても、責任の程度等が異なっている事から、いわゆる完全な同一労働とは異なるものと考えられます。
このような場合、正社員と契約社員で退職金支給有無が異なっていても、退職金制度が本来比較的長期間の勤務を想定しているものである事からも、不合理な格差であるとはいえないものと考えられます。
そして、当事案に関しましては、当人が責任範疇の重さを理由に正社員への転換を拒否されたという経緯自体がまさに同一労働ではない状況を示しているものといえますので、退職金の支給が正社員のみに限定されていても直ちに違法な措置とはならないといえるでしょう。
但し、長期に渡り契約更新を行いかつ正社員に匹敵するような業績を残している契約社員については、同じ退職金制度ではなくとも何らかの形でそうした功に報いる仕組みを検討される事が望ましいものといえます。
投稿日:2019/11/16 21:24 ID:QA-0088478
相談者より
ありがとうございました。
投稿日:2019/11/23 11:52 ID:QA-0088663大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
職務分掌
対象社員は社員と「変わりない」のではなく、責任も負わず、単に作業内容が同じだけなのではないでしょうか?
同一労働は責任の範疇も当然含まれますので、自由に勤怠を選んでも何も仕事に影響しない時点で同一というほうに無理があるでしょう。
同一性がない以上は賃金差はあるのが当然ですし、退職金なども別措置で問題ありません。どうしても支給したい場合は、今後の他の社員にも可能性がありますので方針を決め明文化し、合わせて職務内容を明確にすることで真の同一労働の判定が可能になると思います。
投稿日:2019/11/18 13:46 ID:QA-0088515
相談者より
ありがとうございました。
投稿日:2019/11/23 11:52 ID:QA-0088664大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
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