賃金形態の変更による減額について
当社は職種により賃金を年俸制、月給制等と分けて規定しています。年俸制は主に営業職、管理職等に採用し、営業手当及びみなし時間外手当を含んだ金額を設定しております。一方、月給制等は現業部門(工場作業者)、事務職等に採用し、時間外手当は実績に応じて支給する形です。
今後、社内で組織の大幅変更を考えており、賃金形態が異なる職種への異動も多数発生すると考えられるのですが、現状年俸制の従業員が月給制となった場合、月の給与額が下がることも予想されます。この場合、当該従業員へは賃金規定等により説明すれば問題はないのでしょうか。
投稿日:2007/01/24 15:45 ID:QA-0007264
- *****さん
- 新潟県/食品(企業規模 501~1000人)
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お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、文面から察しますとかなり大掛かりな組織変更のようですので、実際どの程度の必要性があるかも含め慎重に検討されると共に事前に労働者側との協議もしておくべきです。
むやみに多くの職種変更を行うことは、労働者の不利益を伴う場合人事裁量権の乱用とみなされかねませんので、慎重に事を進めていかねばなりません。
また、職種による賃金の変更につきましては、就業規則・賃金規定等において、職種毎の賃金につきその内容が明記されており、異動によって賃金の支払方法や支給額が変動することが明らかになっていることが不可欠です。
加えて、そうした事柄が労働者にも周知され実際上もそのように運用されているならば、賃金減額も許容されるというのが判例の立場でもあります。
しかしながら、その場合でも、
・年俸制から月給制への変更が、期の途中となる場合
・減給による不利益が大きくなる場合
には、変更措置について合理性に欠けますので、差額の調整支給や経過措置等が必要になるといえます。
仮に、先に述べましたような異動による賃金変動の可能性が定められていなければ、賃金の減額自体正当な根拠を欠くことになります。
いずれにしましても、本件が会社の事情による変更であるのに加え、賃金は労働条件の中でも最も重要な内容でもありますので、職種変更・賃金減額に関しては必要最小限にとどめると同時に、労働者側に対しては一方的に都合のよい主張のみをすることなく、事情を十分説明の上誠実に対応されるべきでしょう。
投稿日:2007/01/24 21:13 ID:QA-0007265
相談者より
丁寧なご回答ありがとうございました。
賃金形態の変更を伴う人事異動は、十分に賃金額の試算を行い、慎重に進めていきます。
投稿日:2007/01/25 09:02 ID:QA-0032935大変参考になった
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