一般債権の返還請求について
いつも利用させていただいております。
育児休業中は社会保険料を会社で全額負担していますが、復帰後も会社全額負担していることが判明しました。
会社が負担しすぎた分(個人負担分)を一般債権として返還してもらうことを考えているのでが、以下についてご教授いただきたく存じます。
【状況】
誤った会社負担期間:2011年6月~2015年5月末日
返還開始時期:2015年12月~
①返還請求時期の開始時期と締切時期
一般債権の不当利得返還請求権(民法703条)を根拠に上記期間の個人負担額を返還してもらうことを検討しています。なお、債権の消滅時効は10年までとなっていると思います(民法167条)。
この消滅時効の起算点はどこからになるのですか。
誤って会社負担をしたとき(従業員が利益を得たとき)の2011年6月から10年後(2021年5月末日)まで返還を求めることができるということでしょうか。
もしそうであれば、2015年12月から返還請求を従業員へ行った場合、2021年5月末日までに従業員は完済しなければならないのでしょうか。
それとも、2021年5月末日までに会社は従業員へ返還請求すればよく、完済の締切日は法的には定められておらず、会社と従業員間で合意すればよいのでしょうか。
②1回の支払限度額
返還総額が多額になるため、分割支払を考えているのですが、1回の支払額の法的限度額は定められているのでしょうか。
なお、賃金から控除するのではなく、従業員に請求書を郵送し、毎月振り込んでもらう形式を取ろうか考えています。
こちらで調べた限りでは、債権差し押さえは一期間の支払賃金の1/4の範囲内で差押をすることと定められていますが(民事執行法152条)、これを適用し1回の支払額を決める必要があるのでしょうか。
ご教授のほど、宜しくお願いいたします。
投稿日:2015/11/09 13:53 ID:QA-0064129
- *****さん
- 兵庫県/その他メーカー(企業規模 10001人以上)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、時効の起点は各月の社会保険料負担で計算しますので、ご認識の通りになります。但し、一旦請求が開始されますとその時点で時効の適用はなくなりますので、返済についての期限に制約はございません。あくまで会社と従業員の間での相談で決める事になります。
そして、1回の支払額の法的限度額につきましても特に法的制限はございません。民事執行法に関してはあくまで給与の差し押さえを対象とするものですので、給与支払いを行った後別途請求される分に関しましてはこちらで相談して決める事になります。但し、長期に渡って気づかなかった会社側の過失責任もございますので、従業員の生活面を考慮した返済額とされる事が必要といえます。
投稿日:2015/11/10 09:38 ID:QA-0064133
相談者より
早々に回答いただき、誠にありがとうございます。
給与から控除する際は、従業員と会社間で合意を得たうえで行うことが可能かと思いますが、その場合は民事執行法が適用され、一回の給与額の1/4までしか請求できない、という理解でよろしいでしょうか。
投稿日:2015/11/10 10:54 ID:QA-0064137大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
こちらこそご返事下さいまして感謝しております。
ご質問の件ですが、ご認識の通りです。差し押さえと賃金控除とは本来異なるものと考えられますが、実質的には差し押さえと何ら変わりませんし、労働者の生活保護という観点からも4分の1以下とされることが妥当といえるでしょう。
投稿日:2015/11/10 11:10 ID:QA-0064138
相談者より
ありがとうございました。
投稿日:2015/11/10 12:58 ID:QA-0064143大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
会社が負担し過ぎた、個人負担分の社会保険料の返還に関して
ご相談の件について
既に対応済みとは思いますが、まず従業員の方に、会社側のミスにより給料の過払いが発生している事を説明し、何とか返還に関して同意を得る事が必要と思われます。この同意が得られていれば、後はどのように返還して頂くかの方法論になり、双方が納得できる方法での返還になると思われます。
返済方法に関しては、債権差し押さえの件とは別と考えられます。本人の生活の事を第一に考え、十分な話し合いにより 金額 回数 の同意をすることが必要と思われます。
賃金全額払いの原則から一方的に、賃金から控除することはできませんが、本人の自由な意思に基づいたもので有ると認められる場合には全額払いの原則に反しないとの判例もあります、支払方法の同意も必要と思われます。
次に、返還につき同意の得られない場合について
法律では、正当な理由もないのに、他人の損失によって利益を得た人は、その損失を受けた人に対して、受けた利益を返還しなければならないと規定されています。つまり、会社は過払いを受けた人に対して不当利得返還請求権を得る事になるので、この権利に基づき過払い分を請求するようになると思われます。
更に時効に関して援用があった場合は、債権の時効の一般原則が適用され給与の支払いの都度発生から10年で時効により権利は消滅します。これを防ぎ時効を中断(時効期間の経過をなかったものとする事)するためには、裁判上の請求か債務者の承認が必要になると思われます。返済の期間に定めはありません。
投稿日:2015/11/13 11:04 ID:QA-0064182
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回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
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