懲戒解雇の対象となる横領金額について
懲戒解雇についてのご相談です。
レジ金から5万円を横領した社員に対して懲戒解雇にすべきかどうか悩んでいます。
お恥ずかしい話しですが、これまでの横領や着服についてはそれなりの金額だったため
誰が見ても懲戒解雇は妥当と判断できました。
しかし、今回は売上金を管理するレジ金から5万円を1回だけ横領したということで懲戒解雇は
妥当かどうか判断に迷っています。
なお、本人は本件については自白しています。
役員は金額の大小にかかわらず横領は懲戒解雇にすべきと言っています。また、ネットで調べた限り
バスやタクシーの運賃の横領については金額の多寡にかかわらず懲戒解雇は有効と判例がでていました。
当社は公共交通機関とは異なり通常の小売業のため、この判例をそのまま参考にしてよいかわかりません。
横領による懲戒解雇は、業種や金額の多寡にかかわらず適用してもよいのでしょうか?
また、解雇予告除外認定を受けるにあたり労基署が過去の判例と異なる判断をすることはあるのでしょうか?
以上、よろしくお願いいたします。
投稿日:2012/04/05 11:35 ID:QA-0049067
- *****さん
- 東京都/商社(専門)(企業規模 1001~3000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
御相談の件ですが、業務上横領の場合事実さえ明らかであれば金額の多少に関わらず懲戒解雇処分が多くの判例でも有効とされています。
従いまして、今回のケースでも過去の判例に準じて有効とされる可能性は高いとは思われますが、ご認識の通り判例は個々の具体的状況に応じて判断されているものですので別の事件で同じような結果が得られるといった保障はございません。労働基準監督署の件も同様で、横領の金額等法律に基準が明記されていない事柄につきましてどのような判断をするかは個々の監督官にもよります。
こうした処分につきまして事情の詳細を知りえない私共で確答を示すことは困難ですし、当人が行為に至った事情や反省具合・普段の勤務態度等も考慮に入れた上で社内で十分検討し、会社の意志として自ら責任を持って判断すべき事柄といえます。
投稿日:2012/04/05 12:16 ID:QA-0049068
相談者より
ありがとうございました。
投稿日:2012/05/11 11:40 ID:QA-0049472大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
懲戒解雇の対象
1.レジから横領ということは、それ自体が重大な企業秩序違反行為であり、1回であっても懲戒解雇が有効とされる可能性が高いといえると思われます。
2.解雇予告除外認定についても、盗みや横領、傷害については、労働者の責に帰すべき事由とされますので、認定されるでしょう。
投稿日:2012/04/05 12:16 ID:QA-0049069
相談者より
投稿日:2012/05/11 11:40 ID:QA-0049473参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
懲戒解雇処分の検討に際しての留意点
|※| 労働契約法第15条では、 「 会社の懲戒処分が権利の濫用に当たる場合には無効とする 」 旨が定められています。懲戒解雇は、最も重い懲罰ですので、いくつかの原則に基づいて判断しなければなりません。少し、長くなりますが、以下、列挙します。 .
|※|
① 罪刑法定主義の原則⇒簡単に言えば、就業規則に、処分対象の行為、内容を明記してあること .
② 平等の原則⇒同種、同様の事件については、先に行われた処分と同一の内容となるべきこと .
③ 相当性の原則⇒事件の背景や経緯、当事者の情状酌量等諸般の事情を考慮すべきこと .
④ 適正手続の原則⇒事実関係のための十分な調査、本人弁明の機会付与、就業規則に基づく処罰委員会等の討議など、厳正な手続を踏むべきこと .
|※| ご質問に戻りますが、ご引用の公共交通機関職員の不正に関する情報などは、懲戒に対する判断要素としては参考になりますが、上記の諸原則、殊に、過去事例とのバランス、初犯か再犯か、など平等、斟酌事情への気配りも大切です。解雇予告除外認定を申請すべきか否かは、処罰委員会の審査過程でお決めになるべき事項と考えます。
投稿日:2012/04/05 12:41 ID:QA-0049070
相談者より
ありがとうございました。
投稿日:2012/05/11 11:40 ID:QA-0049474大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- この回答者の情報は非公開になりました
懲戒解雇が有効となる横領の金額と処分
いくらかから懲戒解雇が妥当なのかの判断は容易にはいかないと思います。レジの金を横領したという行為と、交通費清算で数百円を割増請求したという場合とでは本質的に違います。今回の場合、レジから横領したということなので、悪質で金額の多寡にかかわらず、戒めとして懲戒解雇は至当と考えます。しかし、本人も反省しているのであれば、再就職などを配慮し、諭旨解雇とし、自己都合退職扱いにするという処分も結構あると思います。この処分であれば、係争にならないと考えます。
投稿日:2012/04/05 12:59 ID:QA-0049071
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