出張した際の移動時間は時間外手当の対象になるか
いつも参考にさせていただいています。
先日、当社の社員2名が社長と一緒に2泊の出張をしました。
帰宅時のフライトの便が社長の都合で遅くなり(安い航空便を空港で2時間ほど待っていた)
帰宅途中に夕食を摂り、お土産も買ったりして会社に戻ったのが深夜になりました。
社長は駅から直帰しましたが、社員2名は会社へ荷物を置きに戻りタイムカードも打刻して帰宅したようです。
当日の残業申請がタイムカード通り提出されましたが、社長がその申請に対して「移動時間には時間外手当を支払う必要はない」と言って、上長を通じて本人たちに差し戻しました。
社員は、①社長の指示で遅い時間のフライトになり、②荷物も会社に持ち帰った こともあり、この決定に不満です。きちんとした説明を求めてきています。
いろいろ調べると、確かに移動時間に対しては手当てをつける必要はないとあります。ただし会社の物を持ち帰るよう指示を受けた場合は別とありました。このケースはどうなるのでしょうか? 確かに荷物は持ち帰っていますが、別に指示を受けてのことではありません。(翌日でも別に構わない)しかし、当社の場合、宿泊を伴う出張日にしか出張手当はつかず、ましてや社長の指示で遅くなった社員に残業手当をうけないのはどうかと思うのですが。
以上よろしくお願いいたします。
投稿日:2011/08/18 12:16 ID:QA-0045432
- KMSCさん
- 愛知県/建築・土木・設計(企業規模 31~50人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- この回答者の情報は非公開になりました
時間外手当の一部を支給すべき
結論から言えば、時間外手当の一部は支給されるべきでしょう。確かに出張中は所定内時間を勤務したとみなすのが一般的な原則です。しかし、今回の場合、社長指示で業務が発生していることは明らかです。とは言え、待機時間は労働時間ではありませんから、タイムレコーダーに打刻したすべての時間が時間外勤務とは言えないでしょう。そこで、待機時間を除いた時間分について時間外手当を支給するのが妥当であり、落としどころでしょう。具体的な時間はヒアリングして決めることになります。
投稿日:2011/08/18 12:54 ID:QA-0045435
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
灰色のものを、「 白か黒か 」 に決めるポイント
|※| 出張の際の往復の移動時間が、一般的には、《 労働時間とはならない 》 とされているのは、裁判例が支えになっています。裁判例は、争われた条件が不問にされて、結果だけ一人歩きするので、注意が必要です。
|※| ご相談のケースでも、残業申請の対象として取り扱っても、違和感もなければ、違法でもありませんし、社長の 「 移動時間には時間外労働ではない 」 というのも、裁判例による有力な意見ですが、「 絶対的 」 などと言えるほど説得力はありません。
|※| 詰まる処、灰色のものを、「 白か黒か 」 に決めなければならない問題です。大きな問題なら、係争に決着を求めることになりますが、日常茶飯事的に発生していることなので、公正さを維持すすなら、「 力 」 の優位が絶対に高い側 ( この際は、社長 ) の主張に厳しく、弱者 ( 表現は、いささか直截すぎかも ? ) の主張を可能な限り取り入れて判断することがポイントだと思います。
投稿日:2011/08/18 13:33 ID:QA-0045439
相談者より
判例が全てだと思っていましたが、確かに条件により裁判の結果は違ってきますね。今後の参考にしたいと思います。
投稿日:2011/08/18 14:45 ID:QA-0045443大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
出張のための往復時間
■これまでの裁判例や通達から、出張先へ往復する移動時間は、物品の監視などの業務を行う別段の指示がない限りは、原則として時間外労働時間とはなりません。
△今回のように、待ち時間も夕食やお土産を買っていたわけですし、自分の判断で単に荷物をおくために会社に立ち寄った程度では、時間外労働時間とはいえないでしょう。
以上
投稿日:2011/08/18 14:14 ID:QA-0045441
相談者より
今回の事例、確かに総務として全て時間外勤務として認めるという前例を作らなかったのは良かったと思います。ありがとうございました。
投稿日:2011/08/18 14:47 ID:QA-0045444大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
労働時間に参入し難い待機時間を除いた後に判断下さい。
ご質問拝見し回答いたします。
労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、命令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす(労基法38条の2第1項)。
このみなし制は、出張等臨時的事業場外労働によって労働時間の算定が困難となる場合について規定され、今回のご相談のケースでも原則適用されます。
しかし、上記みなし制は「労働時間を算定し難い」場合でありますので、たとえ出張等臨時的事業場外労働であっても「算定が困難で無い」場合は対象外となります。この対象とならない具体例としては以下の場合です。
1) 何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合。
2) 事業場外で業務に従事するが、携帯電話等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合。
3) 事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後事業場にもどる場合。(昭和63年1月1日基発1号)
以上を踏まえた上で、この度の相談内容を検討致します。
確かに今回相談事例における出張においては、労働時間の管理をする社長の存在がありますので、みなし制を適用しない状況にあったと考えられます。
一方で、社員の主張に「①社長の指示で遅い時間のフライトにな」ったとのことしたが、その内容は、フライト迄の待ち時間につき、夕食を摂ったり、お土産を買う時間に充てられているように見受けられ、この時間は待機時間として捉え、労働時間に該当しないと言えましょう。また、「②荷物も会社に持ち帰った」との業務については、社長の指示命令ではなく、社員による各自の判断による行動であり、同様に労働時間に参入されるべきものでありません。
しかしながら、「宿泊を伴う出張日にしか出張手当はつか」ない御社の規定を鑑みると、手当不支給の対象となる出張最終日において、長時間に亘る拘束時間があれば、社員への配慮をすることも検討の余地がございます。
具体的には、前述の待機時間及び自主的な行動による時間をタイムカード上の実時間より除いても尚、所定労働時間を超えた時間が発生しておれば、今回に限り手当を支給するのは労務管理を円滑に行う一つの選択であります。
尚、今後の運用としては、宿泊後移動のみの出張日については、通常支給する手当を減額した、新たな出張手当を設けて支給するということはいかがでしょうか?
投稿日:2011/08/23 18:05 ID:QA-0045550
相談者より
ありがとうございました。
当社の旅費規程は10数年前に作成されたものを、そのまま運用しています。当時には想定していなかった事例が散見されるようになっており改定の必要を感じていたところでした。検討します。
投稿日:2011/08/25 08:51 ID:QA-0045603大変参考になった
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