懲戒処分について
ある社員から自己都合による退職願が代理人(お母さん)を通じて提出され、以後出社しない状態が3週間続いています。その前には有給休暇が2週間とられています。
就業規則では「1ヶ月前の提出」と定められており、さらに「会社が承認した時」となっています。
退職手続きに支障があるため、連絡をくれるよう留守録や文書で再三お願いしたのですが、連絡がとれない状態が続いています。
退職願提出以降の出勤状況を無断欠勤と見なして、懲戒処分とすることは可能でしょうか?
懲戒は、譴責、減給、出勤停止、解雇の4種ありますが、解雇処分とすることは法律上問題ないでしょうか?当社の就業規則の解雇事由には、長期にわたる無届欠勤が盛り込まれています。
投稿日:2006/04/03 16:08 ID:QA-0004239
- *****さん
- 宮城県/情報サービス・インターネット関連(企業規模 11~30人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
労働者からの雇用契約解消の申し入れについては、労働基準法上に明確な規定がない為、原則としては民法第627条第1項に基き「申し入れ後2週間経過により終了する」ことになります。
但し、同条第2項により「月給制」の場合は「1ヶ月の賃金計算期間の前半」に申し入れをした場合にのみ「次の賃金計算期間」からの退職が可能になります。
(「後半」で申し入れした場合は次の1ヶ月の期間が終了後に退職となります。)
以上が原則ということをまずふまえた上で、就業規則の「1ヶ月前の提出」「会社の承認」が認められるかですが、賃金計算期間上問題がないとした上で「1ヶ月前の提出」部分について本人があくまで2週間という民法上の期間を主張した場合それを覆すのは困難という考えが有力です。また「会社の承認」についてですが、雇用契約は労使対等の関係で締結されるのが原則ですので、「承認がないので退職させず、代わりに懲戒処分を行う(もしくは解雇する)」ということは違法的な行為といえます。
本件の場合、連絡が取れないといっても、「退職」の意思表示が前もってなされている為、通常の「無届欠勤」には該当しませんので、基本的に懲戒は行わず、本人の自己都合による退職扱いとするのが妥当でしょう。
但し、本人と連絡が取れた場合には念の為退職意思をはっきり確認しておく必要があります。
投稿日:2006/04/03 20:27 ID:QA-0004244
相談者より
回答有難うございました。
雇用関係は「労使対等の関係で」とありますが、社員からの一方的(この場合そのように思えるのですが)な「退職願」を受理しなければならないという事に関して、腑に落ちない部分もあります。
今後の取扱いの参考に致します。
投稿日:2006/04/04 08:51 ID:QA-0031745参考になった
プロフェッショナルからの回答
補足致します
おっしゃる疑問点ごもっともですので、説明を補足させて頂きます。
「労使関係が対等」でというのは、あくまで元来労働者に対して使用者の方が力関係の面で上位にあるということをふまえてのことであって、「形式的な平等」を指すものではありません。
解雇について本来自由であるはずなのに一定の制限があるのはそういった面を配慮しての事なんですね。
正確にはそういった力関係を考慮した上で労働者保護の観点に基き「労使がお互い自由な立場で雇用関係を結び、終了させる事ができる」という雇用契約の原則に乗っ取るということになります。
投稿日:2006/04/04 11:25 ID:QA-0004247
相談者より
丁寧な説明、有難うございました。
懲戒処分に適さないケースだという事は、理解できました。
但し、この事実(退職願を一方的に提出し、その後一切出社もしない)を他の社員に説明するに当って、会社は当該社員に対して何の処分もしない(できない)のは甘いんじゃないか、それでは秩序が保てないのではと受け取られる怖れがあります。それを踏まえてどのような対処がのぞましいのでしょうか?アドバイスいただけるとありがたいのですが。
投稿日:2006/04/04 12:53 ID:QA-0031746参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご返事遅れてすみませんでした。
そうですね、就業規則に定めた内容自体は特に問題があるものでもなく、企業としては当然の定めと思いますので、労務管理面での対策は必要ですね。
今回のようなケースですと、まず「有休を2週間取得」の申し出があった時点で退職の意志をそれとなく確認しておくか、あるいは法令上認められている「時季変更権」を行使して2週間も続けて休ませないようにするかいずれかの措置をとれば良かったと思います。
通常、職場においていきなり「2週間もの有休」を取れば、業務に支障をきたすことは明白ですし、それは従業員自身も分かっているはずですね。
従って、今後は「長期の連続した有休」については時期変更権の行使によって認めない事があること、及び社会人として会社で定めた手続きは守るよう注意を呼びかけることです。
今回の従業員の辞め方がたとえ懲戒に当たらなくても、「社会人として非常識である」ということは明らかですので、法令云々は別にして退職にしても意思表示だけでなくきちんとした手続きを踏む事の重要性を研修等で学ぶよう機会を設ければ会社としても良い方向に進んでいけるでしょう。
投稿日:2006/04/04 23:45 ID:QA-0004252
相談者より
投稿日:2006/04/04 23:45 ID:QA-0031747大変参考になった
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