増加し続ける「新型うつ」にどう対応するか
「新型うつ」になって社員が突然出社しなくなるというケースが増加しています。
「うちの会社には関係ない」と思っていらっしゃる社長も、他人事ではありません。
新型うつの原因として、仕事が以前よりも高度化し、コミュニケーションが求められるようになったためにストレスが増えやすいとか、若者のストレス耐性が低くなっているとか、様々なことが挙げられています。
そのため、新型うつは、企業努力だけで防止できるものではありません。
これからは、どんな企業でも、社員のうち一定割合は、新型うつを発症すると考えておいたほうがいいと思います。
重要なのは、社員が新型うつになったときの対応法を、事前に決めておくことです。
中小企業の場合、基本的な方向性は、「1ヶ月治療に専念してもらい、完全復帰できなければ退職してもらう」ことです。
新型うつは、適切な治療をすれば治ります。新型うつになって何ヶ月か休職した後、元の職場に完全復帰して再び活躍するケースは少なくありません。
一方で、復職しても再び欠勤を繰り返し、社内外に混乱を招いてしまうケースも多いのが現状です。
多くの社長が頭を抱えるのは、そうなっても本人は退職すると言わず、一方で下手に会社が解雇しようとすると、不当解雇だと訴えられる可能性があるために、問題が長期化することです。
これを防ぐために、新型うつの発症から休職、復帰または退職までの流れを事前に決めておくことが重要なのです。
具体的な流れは、以下のとおりです。
(1)社員が新型うつを発症し、欠勤する。
(2)休んでいる間は、有給が残っていれば有給休暇、なければ欠勤(無給)扱いとする。
(3)休んで4日目以降で、無給になっている期間については、健康保険の傷病手当金を申請する(休んだ日について、だいたい給与日額の3分の2相当が支給される)。
(4)6日目以降は、1ヶ月間休職扱いとする(有給休暇が残っていれば有給。なければ無給)。
(5)休職期間が終わって、復職できれば雇用を継続。復職できなければ自然退職とする(解雇とは異なる)。
※退職までに健康保険に1年以上継続して加入している場合、傷病手当金は退職後も受給できる(最初に受給したときから最大1年6ヶ月分)。
(6)復職しても、再び欠勤した場合は、自然退職とする。
以上のルールを就業規則に定めておき、日頃から社員に周知徹底しておくことが大切です。
なお、残業時間が恒常的に月100時間を超えていたり、パワーハラスメントがあったりなど、日々の労務管理に問題がある場合は、新型うつの対策以前に、基本的な労務管理の徹底を最優先で実施すべきなのは言うまでもありません。
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