立場によって給与を変動させることについて
弊社は、パッケージ及びWebアプリケーションを開発するソフトウェア会社で、社員の多くがエンジニア、もしくはデザイナーです。
以前より、経営者としては、能力主義=会社での発揮している能力(単に技術力だけでなく、管理能力やチームビルディングへの貢献力も含む)に、支払う給与を近づけていきたいという理想があり、さまざま給与システムは試行錯誤しております。
今回、弊社で話が出ているのが、所属するプロジェクトとそこでの役割に応じて、給与を変動させることです。
例えば、あるプロジェクトでリーダーをやっていたが、次のプロジェクトではリーダーではない場合があったり、またプロジェクトでも大規模で難易度の高いものもあれば、そこまででは無いものもあります。
例)Aプロジェクトの全体リーダーをやっていると、給与50万円
その後、Bプロジェクトの職種別リーダーだと、給与35万円
次に、Cプロジェクトの全体リーダーになって、給与45万円
基本的には会社の業務で成果を発揮できる人を評価し、それに報いるシステムにしたいと考えておりますが、特に「給与の不利益変更が難しい(10%以内)」ため実施するのは困難かも知れないと考えています。
突き詰めると、プロ野球のような給与制度になると思うのですが、正社員で雇用している関係上、プロ野球そのままというのは難しいため、上記のような形を考えております。
このような給与変動を、職種に応じて大胆にやるというのが可能なのかどうか、ご教授をいただければと思います。
またその他のアイディアなどをいただく形でも大丈夫です。
・賞与で対応する(賞与を一律ではなく、個人別に大きく変更する)
どうぞよろしくお願いします。
投稿日:2010/07/20 19:02 ID:QA-0021803
- *****さん
- 東京都/情報処理・ソフトウェア(企業規模 101~300人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- この回答者の情報は非公開になりました
給与の幅を大きくする成果主義は成功するか?
米国で成功している企業の特徴は、給与幅が小さく、長期的に報いていく仕組みがあるところとされています。日本で考えられている成果主義は必ずしも成功していないのです。
そもそも仕事の多くはシャドウワーク(見えにくい仕事)なのです(一條他、参照)。
成果主義だと、シャドウワークに社員は力を注がなくなります。
私は80年代後半から成果配分方式を多くの企業に導入してきましたが、いずれも失敗し、格差の小さい安定感の雇用の会社に優秀な人材が集まり、モチベーションも高いというのが結論です。
投稿日:2010/07/20 19:15 ID:QA-0021804
プロフェッショナルからの回答
ビジネスモデルに適した給与制度
ご相談を拝見し、ご連絡差し上げます。
プロジェクト型組織形態を取る多くのSI企業での近年の一般的な給与処遇形態は、貴社で構想されているような短期変動型のいわゆる「職務給」ではありません。
もっとも法的には実現不可能でもないのですが、大事なことは、一般的なSI企業と貴社とで、ビジネスモデルにどのような違いがあるのか、という点です。(※もし大きく違わないのであれば、貴社だけが極端な給与方式を採用するのは競争上不利になると思われます)
例えば、次のような点はいかがでしょうか?
①プロジェクトマネージャー(PM)は、多くの場合高度なスペシャリティが要求されますが、貴社ではいかがでしょうか?
②一般的なSI企業には営業部門が別にあり、したがって、PMやプロジェクトメンバーには営業機能が求められないのが通常ですが、貴社ではいかがでしょうか?
上記の点で大きな違いがないのであれば、貴社のビジネスモデルも他社とさほど大きく異なるわけではないでしょうから、極端な職務給の導入は見送られるのが賢明でしょう。
特に①の点が他企業と違わないのであれば、PMの役割をプロジェクトが変わるたびに変更するというのも、要員管理上及び人材開発上、得策とはいえません。
なお、賞与をある程度大きく変動させるのは、どこの企業でも行っていることですので、これは差し支えないでしょう。
ご参考まで。
投稿日:2010/07/20 20:09 ID:QA-0021805
相談者より
田添様
ご回答ありがとうございます。
確かに近いビジネスモデルなので、その意味では難しいかも知れません。
比較的フレキシブルな賞与でカバーするというのは、一つの手段としてさらにさらに検討したいと思います。
投稿日:2010/07/28 20:13 ID:QA-0040687大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
難しいと思います
役割に就いたからと言って、必ず結果を出すとは限らないことと。かつ、プロジェクトの規模や難易度が異なるとのことで、横一列で給与に線引きをするのは難しいでしょう。
ただ、この類のことは企業風土や体質、社員の受け止め方によりプラスにぶれる場合もあるので、体質的にチャレンジ精神の強い会社であれば、「まずやってみる」ということもアリかと思います。
投稿日:2010/07/20 22:27 ID:QA-0021809
相談者より
世古様
ご回答ありがとうございます。
結果的にはこの制度では無いかもしれませんが、企業風土を強化する、もしくは変えていくために、制度変更で示す必要があると考えているので、「まずやってみる」というのは意識しています。
ただ「まずやってみる」にしても、やはりしっかりとした検討が必須だとは思いますので、そこはきちんとしたいと思います。
投稿日:2010/07/28 20:19 ID:QA-0040691大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
御社の詳細事情が分かりませんので確答は出来かねますが、業績・能力等によって評価を行い給与に反映させるといった賃金制度の方向性につきましては業種概容から見ましても妥当と考えられるでしょう。
但し、社命により個々の従業員の役割やプロジェクトが頻繁に変わり、評価以前にそうした部分での変更の都度給与が大きく変動するのであれば、従業員にとっては不安の方が先立ちますので会社への信頼を損なったり不公平感を高めたりする事に繋がりかねません。
給与変動に関しましては職種変更のみならず、人材評価の結果も踏まえて行われるべきですし、その際には役割内容や評価基準等が明確で公平性に富み分かりやすくなっていることが重要です。
一口に「役割」「プロジェクト」と申し上げましても、それがどのような形で決定され、会社業務全体においてどのような位置付けとされるのか、そして従業員にとってはそうした経験を積む事で今後どのようなキャリアデザインが描かれることになるのかといったように様々な点を考慮しなければなりません。そうした制度全体の整合性を考える上でも矢継ぎ早に制度構築するのではなく、可能であれば社外専門家のサポートも得ながら時間をかけてじっくり検討される事をお勧めいたします。
投稿日:2010/07/21 01:27 ID:QA-0021817
相談者より
服部様
ご回答ありがとうございます。
確かに「役割」「プロジェクト」によって給与に影響が出るとすれば、その配置についてしっかりと説明することが必須と考えています。ただそれをきちんとやろうとすると、マネージャークラスの負荷が高まりすぎる心配もしております。(プレイングマネージャーも多いため)
キャリアデザイン的には、目指す役割をそれぞれが設定することで、デザインのサポートになることを期待していますが、やはりこれもきちんと検討する必要性を感じております。
投稿日:2010/07/28 20:26 ID:QA-0040695大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
人件費は他の無機質経費と違う点に十分すぎる留意を
■ 人事や労務の責任ある立場に就いた人なら、一度は、個人別給与を、会社への業績貢献度に、《 ストレートに直結 》 させてみたいものだという誘惑 (?) に、駆られたことも多いのではないかと思います。殊に、比較的、役割と賃金が連動しやすいと思われている御社のような業種では、その傾向が強いようです。
■ 一般的には、「 体系 」、「 水準 」、「 査定要素と反映 」 という3点セットに、人件費を通じて、( 例えば ) 次の事例のように、何を指向したいのかを決めます。
① 会社経営が安定するように柔軟な人件費コントロールがしたい
② 役割に見合った賃金となるように人件費の再配分を行いたい
③ 業績によって相当な処遇格差が出るようにしたい
④ 若年層社員の流出阻止を図りたい
⑤ 優秀な外部人材を獲得できるようにしたい
■ 然し、いずれの場合にも、人件費は、同じ経営コストと言っても、無機質な、販管費や開発ツールの購入・使用料とは異なり、受取る社員の生活基盤や、モチベーションとの深い関わりがあります。誰もが、一旦は思いつきながら、《 業績貢献へのストレートに直結 》 だけを、突出させた、賃金体系が、何故、可能にならないのかを辿れば、逆の方向から、《 解 》 が出てきそうな気がします。
■ 結局、「 社員の生活基盤やモチベーションとの関わり 」 と 「 役割、プロジェクト、結果に表わせないが、成功に欠かせない評価要素 」 など、全く異質な両面への気配りがないと、成功しない、というより、失敗に終わる可能性が大きいのです。
■ 最後に、ザックリ言えば、月例と年収で異なりますが、おおよそ、7~8割程度は、固定保証として維持することは、( 成功ではなく ) 失敗しないための最低要件だと思います。
投稿日:2010/07/21 11:17 ID:QA-0021819
相談者より
川勝様
ご回答ありがとうございました。
現在の評価も「 社員の生活基盤やモチベーションとの関わり 」「 役割、プロジェクト、結果に表わせないが、成功に欠かせない評価要素 」をベースにしていまして、それゆえに「パフォーマンスが落ちた人の給与を下げられない」「評価要素を明文化できない=納得感が薄い」などの問題が出ております。
おかげで現状の社員のモチベーションを維持できているのかもしれませんが。。。
気配りのあるシステム作りは、改めて心がけたいと思います。
投稿日:2010/07/28 20:45 ID:QA-0040697大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- この回答者の情報は非公開になりました
インディペンデントコントラクター
ご考案の仕組みは社員としては難しい点が多いと感じます。やはり生活給という側面から、大きな変動に耐えられる社員は少数派になるでしょう。たとえば単月の報酬が数百万になるようなハイリターン制でも、その逆の時に生活をどうするのか、「社員」という立場では厳しいのではないでしょうか。
社員ではなく、プロジェクトごとに契約を行うインディペンデントコントラクターという仕組みであれば、そもそも社員でないので、「不利益変更」も該当しません。
もっとも、日本ではまだ報酬が低いことが多く、この仕組みは根付いているとはいえない状況と感じております。
投稿日:2010/07/21 23:48 ID:QA-0021833
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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