フレックスタイム導入後の時間外労働申請について
いつもお世話になっております。
弊社ではフレックスタイム制度の導入を検討しています。
現在は時間外労働について事前申請(理由を含む)並びに事後申請を
規程で定めているのですが、導入後は清算期間(1ケ月を想定しています)
において、実労働時間が総労働時間を超えた場合に時間外労働手当が
発生することとなりますが、その際には事前申請を行えないと考えています。
この場合に時間外労働が発生した理由の把握はどのようにすれば
良いのでしょうか。
投稿日:2025/11/21 15:32 ID:QA-0161029
- 総務の疑問さん
- 東京都/商社(専門)(企業規模 101~300人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
フレックスタイム制においては、時間外労働(清算期間超過)の“事前申請”は制度上不可能。
そのため、企業は「事後の理由確認(申送り)方式」に切り替えるのが正しい運用です。
これは労基法32条の5の構造からも必然で、
厚労省もフレックス導入企業に“事後確認方式”を認めています。
2.なぜフレックスでは「事前申請」ができないのか?
・ポイント
フレックスタイム制の時間外労働は、
清算期間末に「法定労働時間の総枠」を超えた部分が時間外
(=事前には確定しない)
つまり、
その月の最終出勤日が終わるまでは「時間外」かどうか判定できません。
したがって、
「今日のこの勤務が時間外になるかどうか」
→ 誰にも分からない
会社が事前に「残業命令」を出す
→ フレックス制度の趣旨(労働者が労働時間を自己裁量で配分)に反する
厚労省通達でも、企業は
「事前の残業申請・承認という仕組みとは観念的に両立しない」
ことを認めています。
3.では、フレックス制で“残業理由”はどう把握するのが正しいのか?
実務上、企業は次の2段階方式を採用しています。
【A】(1)「必須」/業務命令としての労働時間 → 事前指示
フレックスでも、会社は
コア業務・必須業務・緊急業務について時間を指定して指示できます。
・例
緊急クレーム対応 → 今日は19時まで対応
客先MTG → 17:30〜19:00で参加指示
月末処理対応 → 特定の日は「要出勤」を指示
これは法律上問題ありません。
(※フレックス適用者でも“指示できないのは出退勤時刻の拘束のみ”)
したがって、
事前に会社が業務命令を出した時間は、都度“理由=業務命令”として記録可能。
【B】(2)事前命令のない労働 → “事後の理由申告”で把握
清算期間の最後に、
「総労働時間枠を超えた部分」だけが時間外になるため、
・従業員は
“超過分”に対応する理由を事後申告
上長が承認(妥当性判断)
・会社は
その理由の蓄積から、業務量・人員配置を分析
過剰残業リスクを管理
これがフレックスタイム制における 唯一実務的かつ合理的な方法 です。
4.具体的な「理由把握のための申送り方式」(雛形付き)
(1)フレックス勤務の当月実績が確定 → 自動計算で超過時間抽出
(勤怠システムに自動機能あり)
(2) 従業員は「時間外理由報告書(簡易フォーム)」を提出
例:
客先対応が長引いた
緊急トラブル対応
月末処理が増加
業務引継ぎの都合
上長からの指示(指示日・内容を記載)
(3)上長が内容を確認し、承認・否認
※否認した場合でも、労働時間に対しては割増賃金は必ず支払う必要があります。
(→ただし“理由が不当で規律違反”の場合は別途人事上の対応)
(4)毎月、管理部がデータを集計して業務改善に利用
5.労基署の考え方(重要)
厚労省の実務指針では、次のように整理されています。
事前命令型の残業管理はフレックスでは原則困難
(例外:業務命令により時間を指定する部分のみ)
時間外労働の把握は「事後的な理由申告」で足りる
(フレックスの趣旨に合致)
会社は、理由の妥当性より“長時間労働の発生状況の把握”が義務
(過労死防止法・安全配慮義務)
6.制度導入時の規程例(そのまま使える文例)
(時間外労働の取り扱い)
(1)清算期間における実労働時間が法定労働時間の総枠を超えた場合、会社は超過分について時間外労働として割増賃金を支給する。
(2)当該超過時間に係る業務理由については、従業員は清算期間終了後に会社所定の「超過時間理由報告書」を提出し、上長の確認・承認を受けるものとする。
(3)業務上必要がある場合、会社は従業員に対し、特定の日および時間帯に労働を指示することができる。
7.実務のポイント
フレックス制は「出退勤の自由」ではなく「労働時間配分の自由」
会社は必要な業務指示を出してよい(指示した時間は“事前理由”)
超過労働の理由管理は 事後申告で十分適法
事前申請は制度と矛盾するため廃止が妥当
勤怠システムで“超過抽出 → 理由申告”のフローを組むとスムーズ
8.まとめ
フレックスタイム制では、時間外労働の事前申請は制度上できません。
時間外労働は清算期間末に初めて確定するため、
「事後の理由申告・上長確認方式」に一本化することが適法であり、
厚労省もこの方法を認めています。
業務上必要な時間帯の勤務については、別途“業務命令として”事前指示が可能です。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/11/21 19:04 ID:QA-0161038
プロフェッショナルからの回答
労働時間の把握義務
以下、回答いたします。
(1)フレックスタイム制を採用する事業場においても、使用者は各労働者の各日の労働時間の把握を適切に行う必要があります。
(2)本件、その結果に基づいて、「労働時間の累積時間数」を労働者と共有し、これを踏まえ、事前申請(理由を含む)をしていただくことが考えられます。
(参考1)「フレックスタイム制の適正な導入のために」(東京労働局)
問4 労働時間を自己申告制とするフレックスタイム制を導入したいと思いますが問題がありますか。
答 フレックスタイム制においては、始業、終業の時刻を労働者の決定にゆだねていますが、このことは、使用者の労働時間の把握義務を免除したものではありません。
フレックスタイム制を採用する事業場においても、使用者は各労働者の各日の労働時間の把握をきちんと行わなければなりません。
労働時間の自己申告制は、不適正に運用されると、割増賃金の未払いや過重な長時間労働等の問題が生じやすい制度ですから、労働時間の管理は、タイムカード、IC カード等の客観的な記録を基礎として確認することが適当です。
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/library/2014318104110.pdf
(参考2)
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(厚生労働省)
[労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置]
○ 使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること
(1) 原則的な方法
・ 使用者が、自ら現認することにより確認すること
・ タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること
(2) やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合
1) 自己申告を行う労働者や、労働時間を管理する者に対しても自己申告制の適正な運用等ガイドラインに基づく措置等について、十分な説明を行うこと
2) 自己申告により把握した労働時間と、入退場記録やパソコンの使用時間等から把握した在社時間との間に著しい乖離がある場合には実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること
3) 使用者は労働者が自己申告できる時間数の上限を設ける等適正な自己申告を阻害する措置を設けてはならないこと。さらに36協定の延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、労働者等において慣習的に行われていないか確認すること
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000187488.pdf
投稿日:2025/11/22 09:19 ID:QA-0161050
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
フレックスタイム制は、働く時間帯を労働者の裁量に委ねる性質がある為、
日々の労働時間管理については、今までよりも難易度が高くなります。
これは制度の主旨上、仕方がありません。
理由の把握は、何故、理由を把握する必要があるのかの目的によって、
対応方法が変わりますが、仮に過重労働の防止や人件費の抑制を行う
観点であれば、例えば以下の対応があります。
・一定期間毎(例:2週間単位)に総労働時間の基準値を定めておき、
基準を超えることが確認された場合は、月の総労働時間の想定時間等
を上長から管理部門へ理由を添えて報告する運用体制を作る。
月の残業上限時間を越えないよう、月の途中で牽制等を図ることを目的
とした運用です。
まずは理由を把握されたい目的を整理されると宜しいかと存じます。
投稿日:2025/11/22 09:28 ID:QA-0161051
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、フレックス制であっても残業について理由明示を伴う事前申請(許可制)とされることは可能です。
つまり、所定の総労働時間が決められている以上、実労働時間が総労働時間を超えないように労働者本人が調整して勤務される義務がございますので、それを超えて勝手に残業を行う事を認めなければよいものといえます。
投稿日:2025/11/22 21:35 ID:QA-0161065
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
フレックスタイム制とは、労働時間を従業員の自主管理に委ねる制度であり、
具体的には、始業・終業の時刻を労働者の決定に委ねる制度です。
(労基法32条の3)
よって、1日ごとの残業申請をさせることはできないということになります。
ただし、だからと言って、労働時間管理をしなくていいということではありません。
総労働時間を超えた時間が残業となりますので、
残業が多いフレックスタイム対象者については、
現状確認、IT活用や、中間チェックなど検討する必要があります。
投稿日:2025/11/24 16:43 ID:QA-0161071
プロフェッショナルからの回答
フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることのできる制度です。1日8時間・週40時間という法定労働時間を超えて労働しても、ただちに時間外労働とはなりません。逆に、1日の標準の労働時間に達しない時間も欠勤となるわけではありません。
フレックスタイム制でも会社は労働時間の管理義務を負います。従業員が自主的に長時間労働をしてしまうケースもあるため、勤怠システムなどで実労働時間を常に把握し、必要に応じて会社側が注意喚起を行うことが重要です。
そのため、長時間労働とならないよう、「事前許可制」を導入して所定労働時間を超えて勤務する場合は従業員からの許可や申請を必須とするルールを設けるなどして労働時間の管理を行うと良いでしょう。
投稿日:2025/11/24 23:14 ID:QA-0161073
プロフェッショナルからの回答
対応
フレックスだから無制限に勤務や残業が認められる訳ではありませんし、上長は日々の勤怠ではなく、清算期間中の安全配慮義務はあります。
勤務時間そのものはフレックスでも記録があるはずなので、極端に1日の勤務時間が長かったり、清算期間内の勤務時間がオーバーしそうな勢いであったりするなら、事前に話し合いをすべきでしょう。
フレックスの性質上、単純に作業に時間がかかるような業務ではなく、企画などの不定形な業務だと推察しますので、本人の適性や業務のフレックスとの相性なども、合わせて注視する必要があるでしょう。
投稿日:2025/11/25 10:29 ID:QA-0161095
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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