特定技能外国人の退職書類について
お世話になっております。
特定技能外国人(1号)の退職時の提出書類について質問させてください。
弊社では、今まで一般社員には退職時に「退職願い」として届けを提出してもらっていました。ところが、文面に一般的な「一身上の都合により」との文言があり、特定技能外国人(1号)よりクレームがありました。勤怠不良等により更新をせず、期間満了で契約終了としたのですが本人は契約更新を望んでいたのでかなり不満があるようです。
今後は、退職理由や期間などを明記してもクレームがきそうなので、退職日だけを確認できるよう「退職日確認書」として退職日を確認して署名させるだけにしようと考えていますが、いかがでしょうか?
合意書としようかとも思ったのですが、口頭では合意しても、いざ書類に署名となると合意してないと言い出しそうです。
投稿日:2025/11/10 11:15 ID:QA-0160407
- asyouwiさん
- 群馬県/その他業種(企業規模 6~10人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
以下より、本件の退職は自己都合退職ではなく、契約期間の満了による退職
に該当するかと存じます。
|勤怠不良等により更新をせず、期間満了で契約終了としたのですが
よって、退職日確認書も有効な手段ではあり推奨できるものですが、
雇用契約期間満了通知書(雇用契約期間満了により終了する旨を記した書面。)
も合わせて配布するのが望ましいと言えるでしょう。
なお、ご質問者様のご認識通り、通知書面に合意までを求める必要はありません。
投稿日:2025/11/10 14:15 ID:QA-0160412
相談者より
ご回答ありがとうございました。
雇用契約期間満了通知書の配付も含めて検討したいと思います。
投稿日:2025/11/11 09:52 ID:QA-0160464大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
特定技能外国人(1号)の退職手続きは、一般社員と同じ「退職」形式ではなく、契約期間満了による雇用終了であることを明確に整理する必要があります。
そのうえで、クレーム回避と行政手続き上の要件を両立させるには、「退職願い」ではなく「退職日確認書」または「雇用契約終了確認書」という形式が最も実務的です。
以下で順を追ってご説明申し上げます。
1.法的区分:退職ではなく「契約期間満了による雇用終了」
特定技能1号は、在留資格の根拠が「有期の雇用契約」であるため、
会社が更新しない場合は、**退職(辞職)ではなく「契約期間満了による雇用終了」**です。
「退職願」「一身上の都合」等の文言を使うと、
本人からの自主的な離職(=自己都合退職)と誤解される。
一方、実態は「使用者側が契約更新を行わなかった」(=会社都合に近い性格)です。
したがって、「退職届」「退職願」ではなく、「雇用契約終了確認書」「退職日確認書」が適切です。
2.行政上の必要書類(会社側の義務)
特定技能外国人が退職または契約終了する場合、会社には入管・監理団体・出入国在留管理庁への届出義務があります。
本人への「退職願」提出は法的に義務づけられていません。
会社側が行うべき届出:
区分提出先内容提出期限特定技能所属機関等からの届出出入国在留管理庁「特定技能所属機関等からの届出書」(様式第2号の5)離職・契約終了後14日以内特定技能外国人本人からの届出出入国在留管理庁「特定技能外国人からの届出書」(様式第2号の6)離職・契約終了後14日以内雇用保険資格喪失届ハローワーク離職票交付も含む5日以内健康保険・厚生年金資格喪失届年金事務所同上5日以内
3.実務対応のおすすめ書類構成
(1)「退職願」や「退職届」は使用しない
→ 「自己都合」と誤解を招くため避ける。
→ 本人が自主退職を希望する場合のみ使用可。
(2)「退職日確認書(または雇用契約終了確認書)」を使用
本人の署名欄には「内容を確認しました」程度にとどめる。
文面のポイントは次のとおりです。
《雇用契約終了確認書(サンプル文)》
雇用契約終了確認書
氏名:_____________
在留資格:特定技能(1号) 国籍:_________
貴殿との雇用契約は、契約期間の満了により、以下のとおり終了することを確認します。
1.雇用契約終了日 : 2025年○月○日
2.契約満了理由 : 契約期間満了によるもの
3.その他 : 退職手続きに関する法令上の届出は会社が行います。
上記内容を確認しました。
日付:2025年○月○日
所属機関名:株式会社〇〇〇〇
本人署名:
会社代表者:
※ 「退職理由」「一身上の都合」等は記載しない。
※ 「合意」ではなく「確認」とすることでトラブル回避。
4,トラブル防止のための補足実務
契約更新しない旨の事前通知
→ 特定技能1号では、更新拒否をする場合、契約終了の1か月前までに書面で通知することが望ましい。
(「特定技能外国人に係る運用要領」第6章参照)
外国人にわかる言語で説明
→ 通訳や母語翻訳文を用意するのが安全です。
日本語版+英語版または母国語版の「確認書」を用意するのが望ましい。
監理団体・登録支援機関への共有
→ 特定技能の場合は登録支援機関にも報告し、退職後の支援(転職支援)につなげる。
5.「合意書」としない方がよい理由
合意書形式にすると、
「本人の意思で同意したのか」「強制されたのか」といった争点に発展しやすいです。
一方、「確認書」形式であれば、
「会社が終了日を伝え、本人が確認した」という事実確認の記録にとどまり、紛争リスクを大幅に低減できます。
6.結論まとめ
項目推奨対応書類名「退職日確認書」または「雇用契約終了確認書」理由の書き方「契約期間満了による雇用終了」など事実記載のみ提出者会社作成、本人署名(確認欄のみ)注意点「退職願」「一身上の都合」等は使用しない行政手続入管・年金・ハローワーク等への喪失届を忘れずに提出
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/11/10 14:55 ID:QA-0160417
相談者より
ご回答ありがとうございました。
順を追っての解説、サンプル文のご提供、誠にありがとうございます。参考にさせていただきます。
投稿日:2025/11/11 09:56 ID:QA-0160465大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
日本の人事部Q&Aをご利用くださりありがとうございます。
早速ですが、結論から申し上げると、退職日確認書のみで済ませることは、労働基準法および特定技能制度の面からリスクが高いといわざるを得ません。
(1).労働基準法の「退職時の証明書」
特定技能外国人は日本人の労働者同様に労働基準法上の労働者として扱われますので、ご本人から退職理由を記載した「退職時の証明書」を請求された場合は、これを交付しなければなりません。また退職理由が事実と異なるとして、ご本人から正確な退職理由の記載を求められた場合は、訂正に応じる義務があります。
(2).特定技能所属機関の届出義務
特定技能所属機関(雇用主=貴社)は、特定技能外国人との雇用契約が終了したら、その終了事由を含め、法令にもとづき地方出入国在留管理局に届け出る義務があります。貴社は「勤務不良により契約更新せず、期間満了で契約終了した。」という事実を、当局に正しく報告する義務があります。
(3).上記(1)(2)の不整合リスク
もしこの件が本格的なトラブルに発展してしまい、行政機関が調査に乗り出した場合、例えば上記(1)(2)の不整合が発覚すると、貴社に対してなんらかのペナルティが科される恐れがあります。
(4).本ケースの対策
婉曲的な表現を使わず、端的に期間満了により契約を終了すること、契約更新しなかった理由はご本人の勤務成績が貴社の期待した基準に達しなかったことなどを率直に伝え、そのとおりの内容を退職時証明書に記載して交付することです。
契約満了による雇用終了ですので、退職願いの提出や合意書の取り交わしは不要です。ご本人の期待に添えなかったことから、相応のクレームがありそうとのことですが、貴社側に交渉の余地がなければ事務的に対処するしかありません。
(5).その他注意事項
もし可能であれば退職時の証明書を英文で作成し、本人との面談は英語で行うことをお勧めします。日本語オンリーでは日本語力の不足や認識違いを口実にトラブルを蒸し返されるケースもあります(経験者談)。
ご存知かと思いますが、契約終了によって帰国して頂く際は、貴社が責任をもってその外国人の方をきちんと空港まで送り届けてください(私の時はヤケを起こして失踪しかけた外国人がいて大騒ぎになりました…)。
日本人同士と違って、相手の事情を斟酌して互いに気を遣う…といったコミュニケーションはかえってトラブルの元になります。淡々と客観的事実を伝え、粛々と進めてゆくのが一番安全かと思います。
受け入れ経験者として質問者様のご心情お察し申し上げます。
大変だと思いますが陰ながら応援しておりますので頑張って下さい。
以上宜しくお願い申し上げます。
投稿日:2025/11/10 16:08 ID:QA-0160427
相談者より
ご回答ありがとうございました。
貴重な受け入れ経験者様のお話しをお聞きできてたいへん参考になりました。当方では幸いにして失踪云々にまつわる事象は起こっていませんが、フィリピン人(本人よりもMWO(移住労働者事務所))の対応に苦慮しております。自国民労働者の立場を守るためと主張されていますが、当方でも以降の採用は見送ることになり、結局は本人たちの立場を悪くしているだけのような気がします(私的な意見で申し訳ありません)
投稿日:2025/11/11 10:11 ID:QA-0160467大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、外国人労働者の場合ですと、日本流の退職手続きが理解出来ない場合もございますので、法令に反しない限り当人の意向に沿った形で提出して頂くのが望ましいといえます。
当事案の場合ですと、退職理由等で双方の認識に相違が有るという事でしたら、本人が納得すれば示された形式の書類でも問題ないものといえるでしょう。
投稿日:2025/11/10 19:33 ID:QA-0160439
相談者より
ご回答ありがとうございました。
参考にさせていただきます。
投稿日:2025/11/11 10:13 ID:QA-0160468大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
有期労働契約の雇止めに関する基準
以下、回答いたします。
労働基準法第14条第2項に基づき、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」が策定されています。当該基準を遵守するとともに、適用のない有期労働契約についても当該基準に則して取り組むことがトラブルを抑止するうえで有益であると考えられます。
(1)使用者は、次のいずれかの場合、有期労働契約を更新しないときには、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をする必要があります。
1)有期労働契約が3回以上更新されている場合。
2)1年以下の契約期間の労働契約が更新または反復更新され、最初に労働契約を締結してから継続して通算 1年を超える場合。
3)1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合。
(2)そして、使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合は、遅滞なくこれを交付する必要があります。また、雇止めの後に労働者から請求された場合も同様です。
明示すべき 「雇止めの理由」 は、 契約期間の満了とは別の理由とすることが必要とされています。例えば、
・前回の契約更新時に、 本契約を更新しないことが合意されていたため。
・契約締結当初から、 更新回数の上限を設けており、 本契約は当該上限に係るものであるため。
・担当していた業務が終了・中止したため。
・事業縮小のため。
・業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため。
・職務命令に対する違反行為を行ったこと、 無断欠勤をしたこと等勤務不良のため。
(3)上記(1)1)、2)、3)のいずれにも該当しない有期労働契約についても、以上のルールに準じて、「雇止めの予告」、「雇止めの理由の明示」を行うことが有益であると考えられます。
(御参考)
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について」(厚生労働省)
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/dl/14.pdf
投稿日:2025/11/10 20:54 ID:QA-0160440
相談者より
ご回答ありがとうございました。
参考にさせていただきます。
投稿日:2025/11/11 10:15 ID:QA-0160469大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
-
退職日 当社は退職の申し出があった者に対... [2010/05/15]
-
退職日前の退職金一部(または全部)支払について 3月末付で退職予定の従業員に対し... [2009/02/13]
-
64歳11ヶ月退職について 来年65歳になる社員から、失業保... [2025/10/17]
-
退職者の有給について パートで退職された方がいますが、... [2024/08/23]
-
退職率 よく退職率 何%と表示があります... [2006/11/24]
-
64歳と65歳の失業給付金について 退職日を迷っておられる社員がいる... [2017/02/16]
-
希望退職募集の場合の退職金 経営がかなり逼迫している状況で、... [2010/11/30]
-
退職(自己退職と合意退職の相違)について 以下、教えていただけますでしょう... [2008/12/22]
-
定年退職時の退職金 定年退職時の退職金支給について... [2008/02/14]
-
退職金の精算 現在ある退職金制度を今後、なくし... [2009/04/13]
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。
関連する書式・テンプレート
退職理由説明書
退職合意済みの社員に、どのような理由で退職に至ったかを記入してもらう書類です。ヒアリングは慎重に行いましょう。
退職承諾書
退職届を受理し、承諾の旨と今後の指示を記載した書類です。
退職証明書
従業員が退職したことを証明する「退職証明書」のサンプルです。ダウンロードして自由に編集することができます。
退職手続きリスト
従業員の退職では社会保険や退職金の手続き、返却・回収するものなど、数多くの業務が発生します。ここでは必要な退職手続きを表にまとめました。ご活用ください。