時間単位年休と就業規則
いつもありがとうございます。
時間単位年休制度を来年度からスタートしようと思っています。
つきましては、就業規則に定めてよい事項についてご教示お願い致します。
a)時間単位年休は1年度中に使い切る事
b)出勤時間が1時間に満たない様な時間単位年休の取得を禁じる事
上記 a)b)を定めるのは法令に違反しないでしょうか。
上記2点は次の事例を懸念して、定めたいと思っています。
a)15日40時間付与した年休が、年度末に4日3時間余った場合、次年度に新たに15日40時間付与されると、合計19日43時間となり、時間単位有給上限の5日(40時間)を超えてしまう。
b)午前休+3時間有給を使用した場合、実際の勤務が1時間のみになる。
交通費は発生。
また、違反しない場合、よい言い回しがあれば教えて頂きたいです。
よろしくお願い致します。
投稿日:2025/08/14 14:05 ID:QA-0156641
- デイさん
- 大分県/その他業種(企業規模 31~50人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、いずれの定めも年休の自由取得に反しますので不可です。
a)の場合ですが、時間単位有給上限の5日(40時間)を超えて繰り越されても単に日分の時間単位年休しか取得出来ないという事であって、5日を超えないよう1日・半日の年休を当人が調整し取得されるとよいだけの話ですので、特に問題はございません。
投稿日:2025/08/18 11:02 ID:QA-0156690
相談者より
早速のご回答ありがとうございます。
投稿日:2025/08/18 11:48 ID:QA-0156703参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.法令上の枠組み(労基法39条、施行規則24条の5)
時間単位年休は 1年度につき5日(40時間)が上限。
付与単位は「1時間」単位で可能。
就業規則で「時間単位で与えることができる日数・時間数」や「取得方法のルール」を定めてよい。
ただし「労働者に与えるべき年休日数を下回るような不利益な制限」は不可。
2.ご質問事項
a) 「時間単位年休は1年度中に使い切ること」
法令では「時間単位年休は5日(40時間)まで」と上限規定があるだけで、翌年度への繰越の扱いは会社が制度設計できるとされています。
したがって「時間単位分については翌年度に繰り越さず、その年度で消滅」と規定することは可能です。
ただし「残りを日単位に換算して繰越す」扱いをするかどうかを明確にしておく必要があります。
例:15日(120時間)の年休付与のうち、時間単位で使用できるのは40時間まで → 残りの80時間+未使用分は翌年度に日単位として繰越可
こうしておけば、全体としての年休消滅ではなく「時間単位で使えないだけ」となり、不利益変更リスクを下げられます。
よって、「時間単位分はその年度で消滅(繰越不可)」と定めることは適法。
b) 「1時間未満となる出勤を禁じること」
法令上、時間単位年休は「1時間単位で付与できる」としか規定がなく、組み合わせ方までは制限していません。
そのため「結果的に1時間だけ勤務するような使い方を禁止する」ルールを就業規則に設けることは可能です。
実務上も、勤務の効率性や交通費の無駄などを理由に、「勤務が○時間未満となる組み合わせは禁止」としている会社は存在します。
よって、「勤務が1時間未満となるような時間単位年休の取得は認めない」と定めることも適法。
3.規定例(文言案)
(時間単位年休の上限)
第○条 時間単位年次有給休暇は、1年度につき5日(40時間)を限度として取得することができる。
2 時間単位で取得した有給休暇については、翌年度に繰り越すことはできない。なお、時間単位で使用しなかった残余の日数は日単位の年次有給休暇として繰り越す。
(勤務時間が1時間未満となる取得の禁止)
第○条 時間単位年次有給休暇の取得により、実際の勤務時間が1時間未満となるような取得は認めない。
4.まとめ
a)年度をまたいでの繰越不可とすることは可能(ただし残余は日単位に繰越す取扱いにするのが望ましい)。
b)勤務が1時間未満となる取得を禁止することも可能。
就業規則に明記すれば、労使双方にとって分かりやすく、運用上のトラブル防止につながります。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/18 11:07 ID:QA-0156691
相談者より
明瞭なご回答をありがとうございます。大変参考になりました。
投稿日:2025/08/18 11:48 ID:QA-0156702大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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