県外にある物流倉庫の閉鎖に伴う継続雇用者の配置転換について
いつも大変お世話になっております。
さて、弊社には本社所在地ではない県外に、物流倉庫を保有しています。そこには従業員2名が在籍しており、1名は2025年、1名は2026年に65歳を迎えます。
弊社の定年制度は60歳となっており、継続雇用は希望者を65歳まで雇用することとなっています。
そんな中、2025年末に物流倉庫を閉鎖する話が出ており、他部署(本社)への配置転換の話を進めてほしいと、物流倉庫を管轄する部門より依頼がありました。
2025年中に65歳を迎える従業員には事情を説明し、今年度末まで雇用契約を延長しようと思っていますが、2026年に65歳を迎える従業員には、2026年1月からは本社所在地での勤務(物流倉庫はその他の拠点に存在しない、物流の仕事は本社には多くある)をしてもらうよう話を進めることとなります。
一方、当人の家庭環境や体調面を考えると、本社への異動は難しいと考え、65歳到達前ですが退職勧奨することも念頭にあります。
希望者は65歳まで雇用するという制度ですが、当然配置転換の可能性はあるという雇用契約及び就業規則となっていますので、配置転換は問題ないと考えていますが、65歳に到達していない従業員への退職勧奨は行ってよいのでしょうか。
また、本人が就労を強く希望した場合、物流倉庫所在地には営業所しかなく、該当従業員は物流倉庫でしか勤務経験がありませんので、営業職への配置はかなり難しいと判断しています。この場合、本社への配置転換が会社の権利濫用にならないかも心配しています。
長文となってしまいましたが、アドバイスを頂きたく、よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/04/08 08:04 ID:QA-0150616
- k-12jinjiさん
- 石川県/機械(企業規模 501~1000人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
1.退職勧奨は可能か?
一定の配慮と合理性があれば、退職勧奨自体は可能です。
2.本社への配置転換は会社の権利濫用になるか?
配置転換は、就業規則や雇用契約にその旨の定めがあり、業務上の必要性があれば、基本的には適法です。ただし、「権利の濫用」とならないよう、個別事情への配慮が必要です。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.退職勧奨は可能か?
一定の配慮と合理性があれば、退職勧奨自体は可能です。
ただし、「強制」や「暗黙の強要」にならないよう、あくまで「本人の自由意思による選択」であることが絶対条件です。
65歳まで雇用する制度があっても、それは“職場や業務を指定する権利”を与えるものでありません。本社勤務が体調や家庭の事情で困難であることが医学的・社会的に明確である場合、無理に異動を求めると 会社側の配慮義務違反とされるおそれもあります。
よって、退職勧奨を行う場合は以下を徹底してください。
・ 退職勧奨を行う際のポイント
丁寧な面談(複数回)
本人の意思確認書面の作成(退職が本人の希望であることを明記)
退職後の支援制度(再就職支援や慰労金等)があれば、提示すると納得感が高まります
2.本社への配置転換は会社の権利濫用になるか?
配置転換は、就業規則や雇用契約にその旨の定めがあり、業務上の必要性があれば、基本的には適法です。ただし、「権利の濫用」とならないよう、個別事情への配慮が必要です。
権利濫用とされないために必要な対応
本社勤務が物理的・健康的に可能か、事前に本人と協議・医師の意見も確認する
どうしても勤務継続が難しい場合は、他業務や在宅、嘱託など柔軟な代案を検討
それでも継続困難であれば、退職勧奨の道を段階的に提示する。
まとめ
項目 判断
配置転換の可否就業規則に明記されていれば、原則可能
退職勧奨の可否強要しない形であれば可能(本人の自由意思重視)
配置転換が権利濫用となるリスク本人の事情に全く配慮せず一方的に行うとリスクあり
推奨対応段階的な対話・記録の残存・柔軟な対応の提示
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/04/08 09:32 ID:QA-0150618
相談者より
早々のご回答ありがとうございます。
まずは該当の従業員と本件について話を何度も行い、本人の思いと会社の思いとの差を明確にし、その点も本人と話をし続け、双方納得できる方向で進めます。くれぐれも会社側の権利だけを主張しないように進めます。
投稿日:2025/04/08 10:56 ID:QA-0150627大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、先ず配置転換を進められるという事でしたら、その時点で雇用継続を図られるわけですので、いわゆる退職勧奨という措置にはなりえません。退職勧奨が行われるのは、配置転換先が有るにも関わらず会社の都合で退職を勧める場合になります。
つまり、現在の職場が閉鎖される以上、本社へ行かれるが営業職等別の仕事をされるかいずれかを選択せざるを得ないわけですし、それをどちらにされるのか、或いは共に断って退職されるのかについては、あくまで当人自身が決める事柄ですので、会社が事情を先読みして退職勧奨される必要はございませんし、まして人事権の濫用等にも当たらないものといえます。
投稿日:2025/04/08 19:18 ID:QA-0150661
相談者より
大変わかりやすいご回答ありがとうございます。
確かに営業職で働くことを希望しているうえで退職させるわけではないので、退職勧奨にはならないですね。
まずは雇用できる職場を確定させ、該当従業員に説明の上、選択(退職を含む)させたいと思います。
投稿日:2025/04/09 12:55 ID:QA-0150688大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
大丈夫です。
退職するかどうかの最終的な判断において、あくまで本人の自由意思が優先されるかぎり問題はなく、また、勧奨にとどまる限り解雇とはなりませんが、ただし、だからといって使用者にはどこまでも自由に退職を勧めることはできず、一定の限界もあります。
雇用の終了についての働きかけをするわけですから、解雇そのものではないとしても、実質的に解雇に近い行為をするのと変わりませんので、勧奨を遠慮なく断ることのできる雰囲気を保つことに留意し、本人の自由な意思による退職の申出が可能な状況を維持するように努められたらいいでしょう。
物流倉庫での勤務経験しかなく、営業経験のない従業員に雇用期間(65歳までの継続雇用期間)終了間際での営業職への配置転換には合理性な理由も見当たらず、現実的な対応とはいえません。
退職を勧めることが合理的な選択肢となり得るでしょう。
ただし、退職を勧めるにあたっては、一定額の金銭補償(例えば給料〇か月分)も視野にいれて、誠意ある対応を心がけてください。
投稿日:2025/04/09 08:06 ID:QA-0150675
相談者より
丁寧な回答、ありがとうございました。
退職勧奨を進めるうえで、本人にプラスとなる条件も検討したいと思います。
まずは本人とよく話をすることを念頭に進めます。
投稿日:2025/04/09 10:26 ID:QA-0150681大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
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