代替休暇による時間外労働の割増賃金の相殺
お世話になります。
「時間外 割増 代休」「代替休暇 相殺」等で検索しましたが、同事例が見つかりませんでしたので質問させて頂きました。
既出でしたらご容赦ください。
弊社では代替休暇制度を取り入れています。
所定労働時間は7.5時間です。
基本賃金は当月1日から月末までを1ヵ月として計算し、時間外賃金は翌月の支払日に月給と合わせて支払われます。
例えば、平日に2時間の時間外労働を3日、合計6時間行います。
月末に時間外労働の累積として6時間が確定しますが、2つの選択肢があります。
1. 割増分25%を乗じて精算(時間外賃金支給)
2. 割増分25%を乗じた7.5時間分の労働をしたとみなされ、代替休暇1日付与
2の場合、代替休暇で相殺したとみなされ、時間外賃金は支払われません。
また休暇取得期間は時間外労働の翌月から3ヶ月以内とされ、取得申請(休暇届の提出)がない場合には無効となります。
(ちなみにこの3ヶ月は、業務上やむを得ない理由により上長が承認した場合は1年間まで延長可能です)
無効になると時間外賃金は支払われず、この時点で文字通り消滅します。
なお「無効となる」点については内規のみで就業規則に記載はありません。
36協定も厚生労働省 様式第9号の2を取り交わしているだけで、この「無効となる」点については特に別紙などに記載してはいません。
(唯一の文書は内規通達ですが、これは労基署には提出していません)
【質問1】
2の運用は法的に問題ないのでしょうか?
(時間外労働の割増分の対価を、賃金ではなく休暇で付与する)
労働基準法37条3項では、月60時間を超えた時間外労働時間に対して25%程度増加する割増賃金については、労使協定により賃金ではなく休暇で付与することを認めていますが、今回のようなベースの割増分25%についてはどのように解釈すれば良いでしょうか?
【質問2】
一定期間内に代替休暇を取得できない場合、無効することは法的に問題ないのでしょうか?
(支払義務は発生しないのでしょうか?)
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
投稿日:2022/02/21 15:57 ID:QA-0112556
- 一握の社畜さん
- 東京都/精密機器(企業規模 51~100人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
1.問題あります。
代替休暇が認められるのは、1ヵ月60hを超える時間外のみです。
また、その場合でも、60h超は1.5の場合、1.25分は支払ったうえで、
0.25についてのみ代替休暇が認められています。
例えば、60h超が4hの場合には、4h×0.25=1h分が代替休暇対象となります。
2.問題あります。
そもそも上記1のとおり代替休暇は対象外ですが、無効は未払い賃金となってしまいます。
賃金の即時払い、全額払いの法則により、いったん支払いが必要です。
投稿日:2022/02/21 18:51 ID:QA-0112567
相談者より
東 社会保険労務士事務所
小高 東 様
お世話になっております。
素早い応対に感謝いたします。
> 代替休暇が認められるのは、1ヵ月60hを超える時間外のみです。
念のため確認させてください。
この運用を開始するにあたり、法律的に問題ないか顧問社労士に確認したと聞いているのですが、不適切な表現かもしれませんが「抜け道」のようなものはあるのでしょうか?
例えば、当該条件を受け入れる旨の覚書を労働組合と交わす、などです。
私が関与する前に運用開始された社内制度なので、法律に抵触しない何らかの経緯、方法、やり取りがあったのではないか、気になっています。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
投稿日:2022/02/21 20:03 ID:QA-0112568大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、【質問1】につきましては、ご認識の通り代替休暇の付与は月60時間を超える時間外労働の場合に引き上げ部分の割増賃金のみに認められているものになります。
従いまして、ベースの25%割増賃金について代替休暇で対応する事は不可であり、内規は勿論ですが仮に就業規則や労使協定等で定められている場合でも法令に反する内容となりますので無効とされます。
【質問2】につきましても、休暇取得有無に関係なくベースの割増賃金の支払は必須ですので、支払義務がなくなるという事にはなりえません。
投稿日:2022/02/21 21:13 ID:QA-0112570
相談者より
服部賃金労務サポートオフィス代表
服部 康一 様
とても分かりやすくご教示頂き、どうもありがとうございます。
> 従いまして、ベースの25%割増賃金について代替休暇で対応する事は不可であり、内規は勿論ですが仮に就業規則や労使協定等で定められている場合でも法令に反する内容となりますので無効とされます。
なるほど、労使双方の同意があっても法令違反ということなのですね。
内規通達文書の冒頭に本制度の趣旨として「労働基準法第37条第3項による、従業員への時間外労働抑止及び休息付与を目的とする。」と記載されているのですが、完全に誤って拡大解釈してしまったようですね。
ちなみに就業規則は労働基準監督署への提出が義務付けられているはずですが、労基署は就業規則を確認しないものなのでしょうか?
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
投稿日:2022/02/22 10:33 ID:QA-0112587大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
ご返事下さいまして感謝しております。
「就業規則は労働基準監督署への提出が義務付けられているはずですが、労基署は就業規則を確認しないものなのでしょうか?」
― 細部までは確認されませんので、労働者からの申告等で違法内容が発覚する場合も多々ございます。勿論監督署ではなくあくまで会社側の責任になりますので注意が必要です。
投稿日:2022/02/22 10:40 ID:QA-0112589
相談者より
服部賃金労務サポートオフィス代表
服部 康一 様
お世話になっております。
迅速な対応に感謝いたします。
労働者からの申告等で違法内容が発覚する場合も多々あるとのこと、承知いたしました。
そういうものなのですね。
ところで、今後の対応についてですが、
1. 所轄の労働基準監督署の相談窓口で相談する
2. 東京都の労働相談窓口で相談する
3. 社会保険労務士に相談する
4. 弁護士に相談する
といった方法が考えられると思いますが、
とっかかりとしてお勧めはあるでしょうか?
事が事だけに私一人だけの問題ではなく、会社、労働組合、全従業員に関係ある話ですので、慎重に対応したいと考えています。
なお私個人としては最初から事を荒立てるようなことはしたくなく、
1. 制度の是正(マスト)
2. 過去の未払い分についての請求(可能なら)
の優先順位で考えています。
ちなみに2の場合ですが、既に代替休暇を取得してしまった過去の分についてはどのように考えるのが法的に妥当でしょうか?
会社側は「6時間×0.25の賃金」を支払っていませんが、結果的に従業員側も「1.5時間の労務」を提供していません。
「6時間×0.25の賃金」を後追いで支払う代わりに、「1.5時間の労務」を欠勤とみなして「1.5時間×1の賃金」を請求する(実際には次回以降の給与支給から控除することになると思いますが)、という話になり得るのでしょうか?
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
投稿日:2022/02/22 11:41 ID:QA-0112596大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
ご返事下さいまして感謝しております。
お勧めの方法というのは御社事情にもよりますので私共の方では特にございません。
おっしゃる通り、まずは会社内部での解決優先で臨まれた上で、何か問題があった際にはこみいった話になる事からも直接社労士または弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
そして、過去の清算につきましては、会社側の法令違反によるものですので、会社の信用回復を図る為にも割増賃金の支払のみで賃金請求等はされないのが妥当といえるでしょう。こちらについても問題が有る場合には直接弁護士等へご相談される事をお勧めいたします。
投稿日:2022/02/22 15:09 ID:QA-0112617
相談者より
服部賃金労務サポートオフィス代表
服部 康一 様
お世話になっております。
元々、納期対応や障害対応のため一部の従業員の過重労働が続いた際に、「会社は残業代を支払いさえすれば従業員をいくらでも働かせられると思っているのか」という声が上がったため、休養を取らせる目的で件の制度を運用開始した経緯があるようです。
(もちろん、経営が落ち込んだ際に少しでも時間外手当の支給を削減したいという思惑もあったと思いますが)
残念ながら条文の誤解釈があったわけですが、動機としては決して悪質なものではなく、むしろ従業員の健康を考慮しているとも言えます。
それで、まずは現在の制度運用が法令違反であることを提起した上で、今後の制度運用や過去の精算について協議していければと思います。
アドバイス頂いた内容を基に、今後の対応を検討・協議したいと思います。
今回はいろいろとご教示頂き、どうもありがとうございました。
投稿日:2022/02/22 16:37 ID:QA-0112627大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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