労働時間とその裁量について
社員の残業についてご教示ください。
弊社は5名程度の小規模企業で、全員が管理職扱いとなっており普通残業は対象外で、深夜残業のみ付与される条件になっています。
現在はコロナの影響もあって、在宅勤務が続いている状態ですが、社員のうちの一人が「管理職は裁量権を持っているから」との理由で深夜残業を続けています。会社としては深夜残業は残業手当が発生するため控えるように伝えてはありますが、勤怠記録を22:00で打刻したのちに仕事を続けているようです。
本人は残業手当を請求するつもりはなく、ただ自分の時間軸で仕事がしたいようで「管理職は自身の裁量で仕事ができる」との主張です。
企業先へのメール配信など時間が記録されるものも残っておりますが、会社としてこういった場合は、深夜残業手当を支給する必要はあるのでしょうか?
またこういったケースでは勤怠記録の改ざんとみなされてしまうのでしょうか?
それとも本人の意思で行う場合は問題ないのでしょうか?
こういったケースは私も経験がなく、対処に困っております。
ご教示いただければ幸です。
投稿日:2021/12/14 10:10 ID:QA-0110610
- RAさん
- 東京都/販売・小売(企業規模 1~5人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
対応
まず掲示板としてはコンプライアンスを崩すことができませんので、正式な対応としてお答えします。
実際に深夜勤務をしている以上はそのすべての時間に残業代+深夜割増で給与支払いが必要となります。本人が請求しないと言っているのは今だけであり、後に証拠としてメールやログイン記録を出されれば、反論しようがありません。
しかし現実問題として5人程度の職場でありながら、会社の意向を無視するなどガバナンスが取れていない可能性を危惧いたします。会社設備は個人資産ではありませんので、自由勝手に使えるものではなく、上長の許可があって使用できます。また職場を使用する以上、管理責任は会社ですから、怪我や病気の原因だとして訴えられても抗弁が難しいでしょう。
全員管理職というのが、いわゆる名ばかり管理職でないなら、本来は業務遂行も一任されていると判断されるべきで、該当社員の業務にもよりますが企画業務などの裁量労働制の導入が一番現実的なものではないかと思います。
投稿日:2021/12/14 13:53 ID:QA-0110618
相談者より
ご回答ありがとうございます。非常に参考になりました。ただ会社の業務内容では裁量労働制の導入は困難かと思います。会社責任とならないように措置を考えたいと思います。
投稿日:2021/12/14 16:51 ID:QA-0110626大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
管理監督者といえど、深夜手当は適用除外とはなりませんし、
会社として、安全配慮義務の必要性から労働時間管理は必要です。
また、打刻時間と実態が異なる場合には、実態調査が必要とされています。
本人の意思といっても、会社が放置したり、黙認した場合には、会社責任となります。
投稿日:2021/12/14 14:33 ID:QA-0110622
相談者より
ご回答ありがとうございました。やっぱり会社責任を問われるのですね。勉強になりました。
投稿日:2021/12/14 16:52 ID:QA-0110627大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
管理職扱いの裁量管理
▼全員が、実態的に管理職(労基41条)であり、その事実が、立証できるのであれば、一概に、不当とは言えません。
▼然し、実際は、「日本マック割増賃金請求事件」で有名な様な、「名ばかり管理職」として、所定外・深夜残業が少なくありません。
▼御社としても、「正確な記録」と「見合い深夜手当の支給」の有無のチェック、対象社員の健康管理への配慮が欠かせない事案です。
▼管理不在で、問題が発生してからでは、傷口も大きくなります。
投稿日:2021/12/14 14:53 ID:QA-0110624
相談者より
ご回答ありがとうございました。非常に参考になりました。
投稿日:2021/12/14 16:53 ID:QA-0110628大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
勤怠記録を22:00で打刻した後の、仕事に費やす時間が労働時間と見做されるのか否かがポイントになります。
労働時間とは、労働者が使用者の指示命令を受けて働く時間をいい、この指示は「明示の指示」であると、「黙示の指示」であるとを問わない、というのが行政の解釈です。
管理職は裁量権を持っており、自信の裁量で仕事ができる、との主張に法的な根拠はなく、原則論からいえば、少なくとも会社からの指示は一切無く、本人があくまで自己の意思でやっているのであれば、労働時間とはならず、深夜割増賃金も支払う必要はありませんが、会社が知っていながら黙認していたということであれば、黙示の指示があったとみなされ、割増賃金を支払うことになります。
自分の時間軸で仕事がしたいという思考はいいとして、その時間軸が深夜というのは、テレワーク本来の趣旨から逸脱しており、健全であるとはいえません。
いくら本人の意思とはいえ、会社として見過ごせる問題ではありませんので、通常の勤務時間帯にと指導すべきです。
投稿日:2021/12/14 15:19 ID:QA-0110625
相談者より
ご回答ありがとうございました。「黙示の指示」というのは初めて知り、非常に参考になりました。仰る通り、そもそも健全なワークスタイルではないと思いますので、改善を促したいと思います。
投稿日:2021/12/14 16:56 ID:QA-0110629大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、深夜残業をされている事を会社が把握している以上、深夜割増賃金の支払義務が発生する事になります。
たとえ本人の希望でされているとしましても、深夜に勤務されている事に変わりはございませんので、知っていながら支払われないというのは労働基準法違反になりますし、まして深夜勤務無と虚偽の記録をされるというのはもっての外です。
対応としましては、管理職であっても原則認められない深夜労働を自己裁量で行ってよいといった法的根拠は存在しない事、さらに管理職云々といった話以前に健康配慮の観点からも深夜残業は避ける必要性がある事をきちんとお伝えし、今後は会社が認めない限り深夜勤務をされないよう命じられるべきです。そして、それでも尚深夜残業を強行されるならば、会社の指示に従わないものとしまして制裁処分の対象になる旨も併せて伝えられるべきといえます。
投稿日:2021/12/14 19:44 ID:QA-0110636
相談者より
ご回答ありがとうございました。
極めて適切な意見だと思い、またとても勉強になりました。
投稿日:2021/12/15 13:59 ID:QA-0110656大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
-
みなし残業について 質問ですが、当社では 月30時間... [2009/05/15]
-
休日にかかった深夜残業 いつもお世話様です。さて、質問さ... [2008/06/24]
-
法定内残業をみなし残業に含むことはできますか 午前休を取得して、残業した場合の... [2018/08/03]
-
半日勤務時の残業について みなし残業導入時の残業について質... [2017/02/28]
-
時短勤務者の残業時間 育休を取っていた方が時短で復帰し... [2017/06/07]
-
みなし残業について
みなし労働について みなし残業を導入する事で、使用者... [2020/06/27]
-
勉強会の残業代について 就業時間後に勉強会なるものを催す... [2008/06/26]
-
深夜残業における休憩 普通残業から深夜残業になったとき... [2005/03/28]
-
(深夜・法定内)残業時間の端数処理について 弊社では、毎日5分単位で残業時間... [2010/06/23]
-
残業時間について 36協定で45時間までみなし残業... [2016/06/03]
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。
関連する書式・テンプレート
管理職のジョブディスクリプション例
管理職の職務を定義するためのExcel形式テンプレートです。
社内推薦状(管理職などへの推薦)
従業員を管理職に推薦するための文例つきテンプレートです。
360度評価シート(管理職評価用)同僚からの評価用
360度評価で管理職を評価するためのテンプレートです。同僚から評価しやすい項目について内容に盛り込んでいます。
360度評価シート(管理職評価用)部下からの評価用
360度評価で管理職を評価するためのテンプレートです。部下から評価しやすい項目を内容に盛り込んでいます。