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 人事課長200人に聞く 5年後の「人事・労務」はどうなる?

経済・経営の環境の変化に対応して、人事・労務管理をめぐる環境も大きく変貌しています。企業再編に伴う雇用調整は一段落した感がありますが、雇用や賃金交渉の情勢は相変わらず厳しく、デフレ型の人事・賃金制度が模索されています。こうした状況の中で、実務の第一線にいる「人事課長」は、人事・労務の現状や今後をどう考えているのでしょうか? 雇用の流動化や若年層失業の深刻化など労働環境をめぐる変化は激しさを増しています。また、職務給や業績連動型賞与をはじめとする成果主義人事が重要視されつつあり、さらに、公正な評価制度の確立に苦心したり、リーダー人材が不足していたり、課題も多いでしょう。ここでは、 労務行政研究所が行った調査の結果をもとに、「人事・労務」の現在と未来を探ってみます(注参照)。

5年後、雇用は多様化し、成果主義はより浸透していく

日本能率協会の「当面する企業経営課題に関する調査(2003年11月)」によれば、当面する経営上の課題を経営者771人に尋ねたところ、「財務体質(あるいは収益性向上)」が最も割合が高く37.0%、次いで「ローコスト経営」(31.3%)、「売上高(あるいはシェア向上)」(29.6%)などとなっています。

これに対して、将来(2006年)の経営課題として認識しているのは、現状6位だった「新事業・新商品」開発が32.8%でトップ。次いで「財務体質」(27.8%)、「CS(顧客満足)経営」(25.0%)などとなっています。人事関連では、「人事・処遇制度」が12位の10.9%、「能力開発」が18位の6.4%、「雇用問題」が22位の4.0%です。

このように、企業経営をめぐる環境や課題は目まぐるしく変化していますが、それに応じて企業人事を取り巻く環境も大きく変わっています。今後5年ほど先の労働・雇用環境はどう変わっていくのか? まず、この点について、人事課長約200人に聞きました。それぞれの企業の状況にとらわれず、一般的状況として聞いています。

表(1)をごらんください。


表1



各項目において「そう思う」割合が高かった上位項目を見ると、「社員の雇用形態が多様化する」の割合が最も高く78.5%。次いで「雇用の流動化(転職など)がますます進む」の73.8%、「成果主義がより浸透する」73.0%となっています。

逆に「そう思わない」割合が比較的高いのは「能力給など日本的人事のよい点が見直される」(28.1%)、「65歳までの雇用が進む」(24.5%)、「新卒採用より中途採用が重視される」(23.6%)などで、表にはありませんが、これらの項目では「どちらともいえない」割合も高くなる傾向にあります。

雇用面では、今やフリーターに象徴され、社会問題となっている若年層の無業化問題、契約社員、派遣社員などの非正規社員雇用の増加と活用などへの関心が高いようです。人事面では、成果主義の進展や労働組合の影響力の変化を挙げる割合が高くなっています。

また、従業員規模別に見ると、割合の高かった「正社員から非正規社員への転換が進む」について、500人未満は「そう思う」割合が6割であるのに対し、3000人以上の大企業では95.2%と高率になっています。「転籍が増加する」や「企業のキャリア開発支援が進む」でも、規模が大きくなるほど「そう思う」とする割合がおおむね高まる傾向があります。

今後は「業績連動型賞与」の重要度が高まる

表(2)をごらんください。


表2



ここでは、今後の人事施策として人事課長が「重要度が高まる」あるいは「重要度が低下する」と考えているものについて聞いています。

「重要度が高まる」割合が最も高かったのが、「業績連動型賞与」の84.9%、次いで「職務給(役割給)」(68.7%)、「確定拠出年金」(55.2%)などとなりました。「年俸制」(49.5%)や「キャッシュバランスプラン」(47.6%)も比較的高率です(→キーワードで用語解説あり)。

「前払い退職金」や「ストックオプション」は「どちらともいえない」割合が高く、「重要度が高まる」割合はそれぞれ32.6%、13.6%にとどまっています。
「前払い退職金」については確定拠出年金などへの移行が進んでいること、所得税などの取り扱いが不利なことから、「ストックオプション」については株価の低迷で一時期ほどは利益が生まれにくくインセンティブとしての役割が期待できないことなどから、重要視する割合がやや低くなっていると思われます。

課題は「優秀な人材の確保」と「リーダーの早期育成」

では、表(3)をごらんください。

表3


ここでは、現状における自社の人事・労務管理の課題について聞いています(各項目について「当てはまる」「当てはまらない」で回答)。

まず、人事管理・賃金関連の項目を見ると、自社に「当てはまる」と回答した割合で最も多い項目は「優秀な人材の確保(採用)」の92.3%。次いで「公正な評価制度の確立」(90.8%)、「従業員のモラール向上」(82.1%)となっています。

逆に、「当てはまらない」割合が高いのは、「高年齢者の雇用」(33.2%)、「従業員の定着(引き止め策)」(31.6%)です。

次に、人材育成・福利厚生関連の項目を見ると、自社に「当てはまる」割合が最も高いのは「リーダー人材の早期育成」で81.6%。次いで「教育・能力開発の再構築」が81.1%、「組織・風土改革」が74.5%となっています。

次世代リーダーの育成は多くの企業の関心事ですが、「経営のスピードが増していく中で、当社でも早期に経営を担う人材を育成する必要に迫られている」といった意見や「自律的で時代のニーズに即応できる人材を育成できる体系作りが重要となっている」などが具体的意見として挙がっています。

一方、「当てはまらない」、つまりあまり課題になっていない項目として割合が高かったのは、「福利厚生諸制度の再構築」(26.5%)と「ポジティブ・アクション」(20.5%)ですが、課題になっている企業も決して少なくないことから、個々の企業によって事情はまちまちだということがうかがわれます。


注)
* ここでは、労務行政研究所が2003年11月17日から2004年1月5日まで「人事課長アンケート(人事管理をめぐる環境変化と今後の方向)」と題して行った特別調査のうち、「労働・雇用環境の変化」「今後人事施策として重要度が高まるもの、低下するもの」「現状における人事労務管理の課題」に関する結果をもとに、「日本の人事部」編集部が記事を作成しました。同調査の内容については、『労政時報』第3627号(2004年4月9日発行)に掲載されています。
* 同調査の対象は、全国証券市場の上場企業および店頭登録企業3569社と、上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)311社の合計3880社の人事課長。そのうち196人から回答がありました。
* (1)~(3)の表は同調査の内容を掲載している『労政時報』第3627号から転載させていただきました。






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