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【ヨミ】ラチェットコウカ ラチェット効果

「ラチェット効果」とは、行動経済学で景気が後退しても消費性向が上昇するなど、個人の所得水準が低下しても消費支出は一定の歯止めがかかり、それと同程度には低下しない現象を言います。「ラチェット(ratchet)」は「歯止め」を意味し、例えば工具のラチェットレンチはネジを締めるときに一方向にしか回らず、逆方向は空回りすることから、状況が偏った一定方向に進むことを意味します。人事の世界では、高い個人目標を達成したことでそれが最低ラインとなり、翌年はより高い目標を課される、といった場面で使われます。
(2017/8/7掲載)

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ラチェット効果のケーススタディ

数値目標があればラチェット効果は必然
「定性目標」を探し、数値から離れる工夫を

「ラチェット効果」とは、ソ連の企業が高い業績をあげた翌年、中央政府からより高いノルマを与えられるため、次第に業績を押さえるようになった現象を言ったのが始まりとも言われています。

個人に対し目標管理を課し、成果主義を導入している企業では、このラチェット効果が表れる危険があります。頑張って高い目標をクリアするほど、さらに厳しい目標を課されることから、優秀な社員ほど仕事を控えるようになり、結果として社員も企業も成長が鈍化してしまうのです。

「ラチェット効果」から逃れるには、単純に数字で表される「定量目標」以外の評価を設ける必要があります。目指すべき状態の質的な目標である“顧客満足を高める”“コミュニケーションを良くする”などの「定性目標」を決め、それを目標に加えるのです。また、後輩のサポートや新人教育など、数値に表れない複数の業務についても、評価に加える必要があります。そもそも成果は景気など外的要因の影響を受けることも多く、そこに至る行動プロセスを管理したほうが成果の実像に近くなるとして、近年ではプロセスを重視した評価方法が注目されています。

目標管理による「ラチェット効果」は、人が自身のことを守ろうとする行動であり、ある意味では企業がその人の価値を一面から見ようとすることへの抵抗といえます。そのような社員の姿が見えたら、社員と企業が何を評価すべきかについて話し合うタイミングにあると言えるでしょう。

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