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人事マネジメント「解体新書」第81回
「次世代経営リーダー」をいかに育成していけばいいのか(前編)
~リーダーの“見つけ方”と“鍛え方”について考える

激化の一途をたどる国際間・企業間競争を戦っていくには、強いリーダーの存在が必要不可欠である。問題は、これまでのような年功積み上げ方式のリーダー登用では、次世代を担うリーダーを輩出できなくなっていること。不確実な時代に事業・組織を発展、存続させていくには、優秀なリーダーの出現を待つのではなく、リーダー候補となる人材を見つけて育て上げていく、中長期的かつ全社的な取り組みが欠かせない。今回は、「次世代経営リーダー」を確保・育成する考え方と、具体的なプロセスを紹介していく。

今なぜ「次世代経営リーダー」なのか?

◆リーダーになってからでは間に合わない!

近年、次世代経営リーダーを確保・育成するための計画(サクセッションプラン)の導入を検討する企業が増えている。就職氷河期(1993年~2005年)に採用を控えたことで、次世代を担う30代、40代社員のマネジメント経験が不足しているため、数年後に主要なポストを担当する人材(次世代経営リーダー)が不足するという懸念があるからだ。一方、経営を取り巻く環境を見れば、グローバル化が一段と進展し、積極的なM&Aを導入するケースが増えている。これまでとは大きく異なるビジネス環境へと変化していく中で、従来の経営環境で育ってきた人材では、新しいビジネスを推進できないのではないかという認識も大きくなっているようだ。

これまで多くの日本企業では、しかるべきポジションの現職者が抜けた際に、人事異動・配置という形で後任を充ててきた。しかし、次世代を担うリーダーを育てるという視点で改めて考えると、従来の対応では、必ずしもふさわしい人材が登用されるとは限らない。なぜなら、登用する際の条件が多分に年功的で、眼下の事業課題に対処し、組織一丸となって対応していくリーダーシップを発揮できることが、必ずしも条件にはなっていないからだ。登用してから実績を見て評価・是正し、時間をかけて選抜する、かつての「トーナメント型モデル」では、経営を取り巻く環境変化が早い現代では対応できないというのが多くの経営者の認識ではないだろうか。

というのも、「急にポジションが空席になるリスク」「将来的にそのポジションを担当できる人材が不足するリスク」「将来の戦略変化に対応できる人材が不足するリスク」など、リーダー不在によるリスクはあまりに大きいからだ。リーダーになってから、これまでの経験で培った能力を基に力を発揮してもらうという対応では、遅すぎるのである。環境変化が激しい状況では、日々適切な戦略の検討と判断が求められる。そこでは、今までのやり方が通用するとは限らない。むしろ、判断を誤ることが少なくないのではないか。いきおい、社外に人材を求めるケースも多くなるが、それが成功する保証はどこにもない。まさにいま、新しい環境に適応して力を発揮できる、次世代経営リーダーの確保・育成が求められているのである。

◆8割の企業が「サクセッションプラン」を実現、または強化したいと考えている

事実、2011年時点で「サクセッションプラン(後継者確保・育成計画)」を強化したいとする企業は、8割以上に達している。労務行政研究所が行った「企業の人事戦略に関するアンケート」の結果によると、サクセッションプランの現状と今後について、「現状は行っていないが、今後は行いたい」が61.3%、「現在行っているが、今後はさらに強化・拡充したい」は20.2%で、「今後、実現または強化したい」と前向きに考える企業は81.5%に及んでいるのだ。この調査から4年経った2015年、各社の状況を見ると次世代経営リーダーの確保・育成は待ったなしの状況にある。リーダーになってからでは遅いという認識を、さらに多くの企業が持ち始めているように感じる。

◆8割の企業が「サクセッションプラン」を実現、または強化したいと考えている

現状は行っておらず、問題意識もない 6.5
現状は行っていないが、今後は行いたい 61.3
現在行っているが、今後はさらに強化・拡充したい 20.2
現在行っており、今後も現在のように行いたい 12.1
現在行っているが、今後は見直したい

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