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【ヨミ】コンティンジェンシーリロン コンティンジェンシー理論

「コンティンジェンシー理論」とは、いついかなる状況でも高い成果を発揮する唯一最善なリーダーシップは存在せず、外部環境の変化に応じて望ましいリーダーシップのスタイルも変化すべきだとする考え方を指します。コンティンジェンシー(contingency)とは偶然性や偶発性という意味。1940年頃までは、リーダーシップは「資質」の要素が大きいとされてきましたが、1960年代にコンティンジェンシー理論が説かれると、「状況に応じて役割を変えるべきもの」だというリーダーシップのあらたな考え方が広がりました。(2019/1/18掲載)
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コンティンジェンシー理論のケーススタディ

どこでも通用する理想のリーダーは存在しない
変化する環境とリーダーとの相性

管理職として転職してみたけれど、新しい環境でなぜか力を発揮できない。前の会社ではうまくいっていたのに、なぜだろう……。リーダーとしてどのようにふるまうべきなのか、悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。

リーダーとは何か。このテーマを、これまで多くの学者が研究対象にしてきました。前述の通り「資質」を重視する考え方もあれば、「行動」を主軸に定義する考え方、「カリスマ性」や「変革性」など、考察の切り口はさまざまです。

その中でも、コンティンジェンシー理論は、状況に応じてリーダーシップのスタイルを変化させることに価値を置く考え方です。これを提唱したフィドラー(F.Fiedler)は、リーダーのタイプを大きく二つに分けています。

タイプを分ける前提となるのが、リーダーにも人間関係の好き嫌いがある、ということ。そのうえで、LPC(Least Preferred Coworker=元も嫌いな同僚)という指標をさだめています。LPC指数が高いリーダーは苦手なタイプともうまくやっていく「人間関係志向」、LPCが低いリーダーは苦手な相手とうまくやることより職務を優先する「職務志向」と呼ばれます。

フィドラーはこの二つのタイプが、置かれた状況によってどのような成果をあげるのかを調査しました。環境は、(1)リーダーが支持されているか、(2)仕事が構造化されているか、(3)リーダーに権限が与えられているかの三つの指標から評価。それぞれの状態とリーダーのタイプが、成果にどのように影響するかを調べたのです。

その結果、環境がリーダーにとって、とても良い(1.支持されており、2.構造化されており、3.権限がある)場合と、とても悪い(1.支持されておらず、2.構造化もされておらず、3.権限もない)場合、LPCの低い「職務志向」のリーダーが高い成果をあげることがわかりました。一方、その中間の良いとも悪いともいえない環境に置かれた場合には、「人間関係志向」のリーダーが高い成果をあげたそうです。これにより、どのような状況でも通用する唯一最善なリーダーはいないことが証明されました。

コンティンジェンシー理論によると、どんな時でも「正解」といえるリーダーシップは存在しません。だからこそ、リーダーのあり方に悩んだときには、状況を要素分解し、どのような行動が好まれるかを分析してみる必要があるのではないでしょうか。

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