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これから日本の「働き方」「雇用」はどのように変化し、
人事はどう対応していけばいいのか(前編)

日本大学総合科学研究所 准教授

安藤 至大さん

働き手を増やし、一人あたりの生産性を高める方法とは

安藤先生は、今後の人口減少社会において「働き手の数を増やすこと」「一人あたりの生産性を高めること」が重要とのお考えですが、実現するためにはどんな対応が必要でしょうか。

まず挙げられるのは、これまで働きたくても働くことが難しかった女性の活用です。例えば、保育所に子どもを預けることができない、親を介護しなくてはならないといった理由で、これまで培ってきたキャリアやスキルを途中で中断せざるを得なかった人たちです。このままでは社会的にも大きな損失ですから、女性が働きやすい環境を整備することは必要不可欠だと思います。

そして、高齢者の活用です。昔と違って今の60代、70代の人たちはとても元気です。ただし、個人差がありますから、全員が同じように働くのは難しい。また、高齢者を雇い続けることを企業に押し付けるのも原理的にはおかしいと思います。ただし「高年齢者雇用安定法」の改正で、65歳までの継続雇用制度の義務化が段階的に導入されていますが、何がどういう目的で企業に求められているのかを理解しなくてはいけません。考えるべきことは、これまで長期間雇い続けてきた結果、その労働者にはどういう仕事が向いていて、どんな仕事が体力的・能力的に難しいのかを一番よく分かっているのは、企業だということ。まずは、他に担当できる仕事はないかをこれまでの職場で探す方がいいということです。

また、これから年金財政は大変苦しくなっていきます。年金をもらうよりも、働いて自分の生活は自分でまかなうことが、重要になるでしょう。高齢者の社会的な「適材適所」をどのように実現するのか、そのためにどういう仕組みが必要なのか、そのための負担を誰が担うのか。これらの問題を冷静に議論していかなくてはならないと思います。

働き手の数を増やすためには、外国人労働者の活用も考えられますね。

安藤至大さん Photo

外国人労働者は、言語や生活習慣の違いにより移住した地域で暮らすことに困難を覚える人が多く、子どもの教育問題などでも苦労するようです。また、現時点では日本は外国の単純労働者を受け入れていません。受け入れるのは、高い技能を持った人に限られています。しかし実際には、外国人研修生や技能実習生として単純労働者の受け入れが行われています。このような形での受け入れは、対象となる働き手が労働法による保護の対象外になるなど、問題が少なくありません。外国人労働者や移民の問題は、まだまだ結論が見えません。引き続きメリット・デメリットの両面を見て、検討を続ける必要があるでしょう。

一人あたりの生産性を高めるためには、何が必要ですか。

教育が重要です。皆が技術の進歩にキャッチアップし、いろいろなツールを活用できるようになることはとても重要です。そのためにも、世の中で要請されているさまざまなことを学ぶ必要があります。かつては技術進歩のスピードがゆっくりでしたから、同じような仕事を長年続けられました。しかし、現在は技術進歩のスピードが大変早くなっています。その結果、今までやってきた仕事がなくなってしまい、別の仕事をやらなくてはならなくなるという事態も起きています。新しい仕事をすることが当たり前の社会になっていると考えると、新たに学ぶことは必要不可欠です。学び直して新たな仕事に就くためには、今後、人材ビジネスや大学の果たす役割が大きくなっていくと思います。

また、何が失われる仕事であり、新たにどのような仕事が生まれてくるのか。そこでは、新たにどのような技術・技能を身に付けるとこれまでの働き方と補完性があり、生産性が高まっていくのか。環境の変化と共に、仕事と働き方の変化の方向性を知っていなければいけないと思います。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックが開催される頃には、自動運転の自動車が実用化されるのではないかと、言われています。実際に、海外では高速道路での自動運転で、全く問題なく走れたという事例もあります。むしろ事故が起こりやすいのは、人間が運転している時だそうです。そうすると、これからは車の運転免許を取得するのが非常に厳しくなるかも知れません。また日本では、1970年における交通事故の死亡者は1万7000人弱いました。しかし、2014年には約4100人にまで減少しています。なぜ、このように減ったのかというと、自動車の性能が進歩したことに加え、ガードレールの整備や道路の舗装、街中の速度制限など、技術の進歩や法律の整備といったさまざまな要因で、道路交通をめぐる状況が良くなったからです。

このようなことが、今後はどんどん起きます。これから世の中がどのように変わっていくのか、しっかりと考えなくてはいけません。50年先のことを考えるのは難しいでしょうが、少なくとも数年先に何が必要になるのかを考える必要があります。労働者だけでなく、経営者や人事担当者にとっても大変重要なことだと思います。


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