企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】アサザンギョウ 朝残業

「朝残業」とは、正規の勤務時間内に予定の業務を終えられなかった場合、残った仕事を深夜まで残業して終わらせるのではなく、翌朝の始業時前にその業務を行う働き方のことです。大手商社の伊藤忠商事では午後8時以降の残業を原則禁止し、代わりに午前5時から9時までの時間外手当の割増率を引き上げて朝残業を促す新制度を2013年10月から試験的に導入しました。作業効率が悪くなりがちな夜型勤務を朝型勤務に振り替えて、残業時間の削減と生産性向上を実現するのがねらいです。
(2013/12/9掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

朝残業のケーススタディ

「残業は当然」の固定観念に風穴を
早朝の時間外手当割増で朝型に誘導

法定労働時間を大きく超える過酷な長時間勤務が、個人はもちろん、企業にとっても、社会全体にとっても大きなリスクであるという認識は、社会的なコンセンサスを形成して徐々に広がりつつあります。とりわけ深夜に及ぶ残業は、本人の健康面やワーク・ライフ・バランスに悪影響を与えるだけでなく、ダラダラと区切りがつかず、作業の効率も上がりません。ところが、そうした残業が恒常化している職場では「残業をするのが当たり前」という風潮が根強く、労使ともにそれを疑っていません。仕事全体の進め方や作業計画の前提として、はじめから社員の時間外勤務による負担が組み込まれているケースも多く見受けられます。

2008年にインターネット調査のgooリサーチが全国の20歳以上のビジネスパーソンを対象に実施した調査によると、「残業が減らない理由は企業側がどのような考えを持っているからだと思うか?」という問いに対して、最も多かった回答は「『社員が残業するのは当たり前』という考え」で48%を占めました。続いて多かったのは「『就業時間だけ働くようなことをしていたら競争に勝てない』という考え」で46%。調査結果からは、残業を減らそうとして減らせないわけではなく、そもそも残業はあって当然で、本気で減らそうと考えていない企業の意識が透けて見えます。裏を返せば、まだ取り組む余地が十分にある、ということでしょう。企業が本気になって策を打てば、非効率な残業を減らし、生産性を向上させられる可能性は決して小さくありません。

その意味でトップダウンの“本気”の改革として期待を集めているのが、13年10月1日から「朝残業」制度を試験導入した伊藤忠商事の取り組みです。自身も朝型で、毎朝7時には出社するという岡藤正広社長が自ら提唱した新制度のねらいは、定時の午前9時から午後5時15分までの間に仕事をできるだけ終わらせ、残業しないようにすること。そのために夜8時以降の残業は原則禁止し、10時には完全に消灯します。やむを得ない場合も、残業分の仕事は翌朝へ。早朝に働くインセンティブとして、午前5時から同9時までの時間外手当の割増率を、従来の25%から50%へと引き上げました。また朝8時までに始業した社員には、グループ会社が取り扱うバナナやヨーグルトなどの軽食を無償提供するといった工夫も盛り込まれています。

社員に早出や定時退社を促す企業は増えてきましたが、時間外手当の割増で、働き方を朝型に誘導するという試みは例がありません。管理職を含めた国内正社員約2600人を対象とする同制度は来年3月末までの時限的な措置で、残業時間の変化など効果を検証し、正式に導入するか決めるといいます。ダラダラしがちな夜残業より、スッキリとした頭で朝残業――この挑戦が、日本のビジネスパーソンのワークスタイルを一変させるきっかけになるかもしれません。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

ノー残業デー
「ノー残業デー」とは、従業員に残業をせずに定時で退社することを推奨する取り組みのこと。週の真ん中である水曜日に設定している企業が多いようです。数十年前から存在したとも言われますが、近年は働き方改革に向けた動きが活発化していることもあり、長時間労働の削減策として導入する企業が増えています。オンとオフの...
固定残業代
「固定残業代」とは、毎月決まった金額を見込みの残業手当として、実際の残業の有無にかかわらず支給する制度のことです。定額残業代ともいわれ、人件費抑制や支払い事務の負担軽減を目的とした導入事例が広がっています。一定の要件を満たす限り、適法であり、有効な制度ですが、昨今、不適切な運用から労使トラブルを招く...
サービス残業
残業手当をもらわずに働く時間外労働。労働基準法では、法定労働時間を超えて働かせる場合、通常の2割5分以上の割増賃金を支払うことが義務付けられていますが、残業時間を自己申告制にしたり、上限を設けている場合、手当なしで働いたり、残業時間を短く見積もるなどの問題が起こっています。

関連する記事

「残業手当」100%支給にこだわる求職者
裁量の範囲が大きいオフィスワーカーや開発職などで、「みなし労働時間制」を導入している企業は多くあります。ところが最近、残業手当の有無や支給状況を気にする人が現れてくるようになりました。勤務時間が長くなりがちなIT業界、特にエンジニアなどにその傾向が目立つといい...
2012/05/07掲載人材採用“ウラ”“オモテ”
生活型、付合い型、独りよがり型、抱え込み型…etc “タイプ別”残業時間削減のテクニックとその進め方
残業を削減するには、まずは社員の働き方を検証、見直し、恒常型残業を削減することから始めなければなりません。本記事では、日本能率協会総合研究所の広田 薫氏が「残業削減に向けた基本的な考え方」や「残業の九つのタイプ-その傾向と対策」など、具体的な事例を挙げながら、...
2013/11/18掲載人事・労務関連コラム
「残業時間削減」を考えるときに読んでおきたい記事6選
働き方改革の重要性が叫ばれる現在、従業員の残業時間削減は、多くの企業にとって重要な課題となっています。しかし、残業時間削減の目的や、残業が発生している原因を明確にしないまま施策を実施しても、その効果は一時的なものにとどまってしまい、根本的な解決にはつながりませ...
2017/06/28掲載『日本の人事部』編集部 厳選記事

関連するキーワード

分類:[ 人事管理 ]
分類:[ 就業管理 ]
管理職のコミュニケーション能力を高める!ソリューション特集

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

仕事と介護の両立支援セミナー

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ


管理職のコミュニケーション能力を高める!ソリューション特集

今求められるコミュニケーション能力・マネジメント能力とは


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


会社の未来を拓く 強い管理職のつくり方~アセスメントツールを“人材育成”に活用する、効果的な手法とは?

会社の未来を拓く 強い管理職のつくり方~アセスメントツールを“人材育成”に活用する、効果的な手法とは?

長期的な不況が続き、グローバル化が進むなか、この時代を企業が生き抜くた...