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『ビジネスガイド』提携

従業員が協力したくなる!
リファラル採用のための制度設計&規定

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3 採用候補者の紹介を従業員の業務内容とするか否か

(1)会社が従業員に対して友人・知人の紹介を呼びかけない場合

会社が従業員に対して友人・知人を採用候補者として紹介してほしいとの呼びかけをしていないにもかわわらず、従業員が自ら採用候補者を紹介してくれた場合、会社がその紹介を受けることに問題はありません。この場合は、従業員に対する会社の命令はありませんので、業務とはいえないでしょう。ただ、このようなケースはまれだと思います。従業員からの紹介を期待してただ待っていても、必要な人材を確保することは困難です。そこで、会社から積極的に従業員に呼びかけるリファラル採用が検討されます。

(2)会社が従業員に対して友人・知人の紹介を呼びかける場合

この場合、職業安定法の規定に留意する必要があります。

①職業安定法の関係規定

職業安定法は、「労働者の募集」について、「労働者を雇用しようとする者が、自ら又
は他人に委託して、労働者となろうとする者に対し、その被用者となることを勧誘すること」と定義しています(同法4条5項)。リファラル採用は、労働者を雇用しようとする会社が、従業員に呼びかけて(委託して)、採用候補者を勧誘する制度です。そのため、職業安定法上の「労働者の募集」に該当します。

そして、採用候補者の紹介を従業員の業務内容とせずに、会社が従業員に対して呼びかけるのであれば、会社は厚生労働大臣の許可(従業員に報酬を与える場合)を得るか、もしくは厚生労働大臣への届出(従業員に報酬を与えない場合)をしなければなりません(同法36条1項~3項)。

反対に、採用候補者の紹介を従業員の業務内容とするのであれば、会社が厚生労働大臣の許可を得たり、届出をしたりする必要はありません。ただし、紹介してくれた従業員に対して給与やそれに準ずるものを与えることはできますが、それを超えて報酬を与えることはできません(同法40条)。
これらの規定に反し、従業員に紹介を呼びかけた場合や報酬を与えた場合は、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる可能性があります(同法65条6号)。

【参考】報酬に関する職業安定法上の規制
職業安定法上の規定を表にまとめると、以下のようになります。

業務としない場合 業務とする場合
報酬あり 委託することおよび報酬額について厚生労働大臣の許可が必要 報酬は不可(給与やそれに準ずるものであれば可能)
報酬無し 厚生労働大臣への届出が必要 規制なし

②いずれの方法を選択するか

以上から、会社としては、採用候補者の紹介を業務として、報酬も与えないとする制度
設計が、事務負担の軽減、コストの削減の面からメリットがあるようにみえるのではないでしょうか。しかし、リファラル採用を成功させるには、従業員が協力したいと思えるような環境づくりが不可欠です。報酬がもらえないような制度では、協力したいとの意欲は湧かないでしょう。そうなれば、紹介してくれる従業員が現れず、リファラル採用は失敗に終わります。従業員としては、特別な報酬の支給があってこそ、協力したいとの意欲が生じるのではないでしょうか。

最終的には会社の判断に委ねられますが、私見では、リファラル採用を成功させるためには、採用候補者の紹介を業務内容として、紹介者には給与やそれに準ずるものを支給するような制度とする必要があると思います。


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