2012年10月、「一般社団法人 人材サービス産業協議会」が設立
―業界4団体が連携して取り組むプロジェクトとは―

(プロローグ)
2011年6月に全国求人情報協会、日本人材紹介事業協会、日本人材派遣協会、日本生産技能労務協会によって設置された「人材サービス産業の近未来を考える会」が、2012年7月、本格的に始動。2012年10月1日には「一般社団法人 人材サービス産業協議会」として発足することになりました。同協議会は、複雑性を増す労働市場のなかで、いかに就業機会を生み出すか、また、「人材サービス産業」として企業ニーズ、就業者ニーズ双方を満足させるマッチング技術をどのように養うか、といった課題に取り組むことを目的とした団体です。労働市場における課題とは何なのか、また、その課題に「人材サービス産業協議会」がどう関わっていくのかなどについて、同協議会理事長である中村恒一氏にお話をうかがいました。

プロフィール
中村恒一さん
中村恒一さん
人材サービス産業協議会 理事長 株式会社リクルート取締役相談役

なかむら・こういち/1981年株式会社日本リクルートセンター(現株式会社リクルート)入社。採用開発部部長、中央営業部部長、代理店事業部事業部長、首都圏人材総合サービス事業部事業部長などを経て、99年取締役、2000年執行役員、01年常務執行役員、03年取締役兼常務執行役員、04年取締役兼専務執行役員、08年取締役兼副社長、12年取締役相談役に。全国求人情報協会常任委員長も務めると同時に、12年7月に発足した人材サービス産業協議会理事長に選出された。

「提言」だけでは終わらない。「解決すべき課題への取り組みを強く推進」するための協議会

初めに、「人材サービス産業協議会」についてご紹介ください。

労働市場における企業と個人の仲介役=いわゆる「需給調整機能の担い手」には、ハローワークなどの公的機関と、求人広告・職業紹介・労働者派遣・請負といった民間事業者があります。私どもはこれらのうち、後者を総称して「人材サービス産業」と呼んでいます。

「人材サービス産業協議会」は、今後ますます複雑さを増す労働市場のなかで、どのように就業機会を創出し、企業と人材のマッチングを行うかといった問題に取り組むための団体です。全国求人情報協会(全求協)・日本人材紹介事業協会(人材協)・日本人材派遣協会(派遣協)・日本生産技能労務協会(技能協)という四つの業界団体が連携して、労働市場における課題の解決に当たることを目的としています。

■人材サービス産業協議会の理事

理事

全求協

中村恒一(常任委員長・リクルート)

鈴木孝二(理事・エンジャパン)

派遣協

家中隆(会長・東京海上日動キャリアサービス)

高橋広敏(副会長・インテリジェンス)

人材協

佐々木和行(会長・トランサーチインターナショナル)

水谷智之(副会長・リクルートエージェント)

技能協

清水竜一(会長・日総工産)

青木秀登(理事・ランスタッド)

有識者

佐藤博樹(東京大学大学院教授)

今野浩一郎(学習院大学経済学部教授)

大久保幸夫(ワークス研究所 所長)

戸苅利和(法政大学大学院客員教授)

監事

安西法律事務所

安西愈

高井・岡芹法律事務所

岡芹健夫

4団体が連携するのは初めてのことなのでしょうか。

いえ。全国求人情報協会、日本人材紹介事業協会、日本人材派遣協会の3団体でしたが、10年前にも「民間の活力と創意を活かした労働市場サービスに関する研究会」として、調査・研究を行っていました。2002年3月には、『労働市場サービス産業活性化のための提言』という活動報告も発表しています。

この提言は、(1)労働市場サービス産業の現状(2)転職者からみた入職経路の分析(3)公共職業安定所のコスト分析(4)海外事例(5)2010年の雇用構造予測の五つの切り口で構成したものです。幅広い視点から調査・研究したものでしたが、「提言」で終了し、具体的なアクションには至りませんでした。これが、人材サービス産業協議会を設立する背景の一つとなっています。

10年前の活動を踏まえた上での「人材サービス産業協議会」の設立なのですね。

正確に言えば、「人材サービス産業協議会」の前身として、2011年6月に「人材サービス産業の近未来を考える会」を発足しています。そこで改めて労働市場を分析し、次の10年に向けてどのような対策を取るかを協議しました。「解決すべき課題への取り組みを強く推進していくため」に設置されたのが、「人材サービス産業協議会」です。また本協議会では、官民パートナーシップを推進。官民が一体となって労働市場における課題について意見を交換する、ラウンドテーブルの設置を公的機関に働きかけていく予定です。

ご参考までに、課題を洗い出すまでの調査結果は、『より多くの人々に多様な就業機会を――2020年の労働市場と人材サービス産業の役割』(2011年11月発行)として冊子にまとめ、「人材サービス産業4団体共同宣言」を発表しています。

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