懲戒の規定や運用について
取引先に対して虚偽の報告を行った社員がいた場合の懲戒についてご教示ください。
取引先へトラブルの報告をする際、人為的なミスが原因であったにもかかわらず、機材のせいにしてしまうという事件がありました。
取引先はひとまず納得されているのですが、将来的なことを考え、こちらから真の報告をしなければならないという状況です(トップがそう判断しました)。
事態は深刻で、一般社員の独断ではなく、管理職・執行役員も容認したうえでの虚偽報告であり、重要顧客からの信頼を毀損したということで、今後の会社業績に大きな影響を与えることが予想されます。
まず、就業規則の懲戒についての部分の一部見直しを検討したいと考えております。弊社の就業規則は一般的なものなのですが、該当するような懲戒の事由がありません。
就業規則を加筆した場合どのように記載すればよろしいでしょうか。
さらに運用面で気を付けることなどがあれば教えてください。
投稿日:2015/10/25 05:54 ID:QA-0063972
- チーノさん
- 東京都/放送・出版・映像・音響(企業規模 51~100人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、まず就業規則に関しましては、懲戒事案が発生した時の規定内容が適用されます。
従いまして、いかに重大な違反行為であるからといって、事後に就業規則(懲戒規定)を変更してより厳しい懲戒処分を下す事は、労働条件の不利益変更となり認められません。あくまで現行懲戒規定の範囲内での処分しか科せられませんので注意が必要です。
そして、今後の同様の事案に備えた規定変更についてですが、通常であれば「会社や取引先等に対し虚偽の報告をした場合」といった規定内容で懲戒事由対象になるものといえます。あるいは、包括的な規定で「その他会社に損害を与え、または信頼を低下させるような行為があった場合」というものでも差し支えございません。
投稿日:2015/10/26 13:09 ID:QA-0063980
相談者より
このたびは早急にご回答いただき誠にありがとうございました。
今後に備えた規定等の見直しの参考にさせていただきます。
投稿日:2015/10/30 13:17 ID:QA-0064040大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
「不遡及の原則」と「適正手続の原則」への対応が課題
▼ 「真の報告をしなければならない」というご決断には敬意を表しますが、関係者の懲戒には、留意すべき点が二つあります。
▼ 一つは、懲戒事由が、就業規則に記載されている必要があることです。これは、罪刑法定主義の原則が適用されるからです。そこで、急遽、今回の事案を懲戒事由に追加しようとのことですが、これも、「不遡及の原則」(規定が設けられる以前に起こったことに対し、遡って処分することはできない)に抵触します。
▼ 次に、「適正手続きの原則」の問題です。本人達へ弁明機会を付与し、判断が、特定の人物、組織に偏ることの回避など、公正な処分が担保されるよう、懲罰委員会規程による検討が必要です。
▼ 最初の「就業規則の加筆」は、通常、事由列挙の最後に、「その他前各号に準ずる程度の不適切な行為があったとき」といった記載がある筈なので、これを該当事由としては如何でしょう。
▼ 次の「適正手続き」に就いては、委員会規程がなければ、その趣旨に基づき、取急ぎ、社内に委員会を立ち上げてはどうでしょうか。社外に適切な方が居られるようでしたら第三者として参加頂くのも一案だと思います。
投稿日:2015/10/26 13:16 ID:QA-0063981
相談者より
このたびは早急にご回答いただき誠にありがとうございました。
今後に備えた規定等の見直しと適正な手続きの参考にさせていただきます。
投稿日:2015/10/30 13:18 ID:QA-0064041大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
いずれにしましても、会社として想定外の事等が起きてしまって、
そのことが就業規則に記載してなかったということであれば、メンテナンスする必要があります。
執行役員もいらして、今回最終決断を下したのが、執行役員ということですから、
執行役員規程の作成検討もお勧めします。
一般的には、服務規定、懲戒規定等で、
会社の名誉と信用を傷つけないこと等の記載、
あるいは、
管理職、執行役員の遵守事項として、
業務上のミス、顧客からのクレーム等が発生した場合は、ただちに取締役への報告義務
また、
会社に故意または重大な過失による損害を与えた場合の損害賠償規定も記載しておきます。
ただし、今回の
「虚偽報告であり、重要顧客からの信頼を毀損したということで、今後の会社業績に大きな影響を与える可能性」といった事実から
→虚偽報告をした場合、顧客からの信頼を毀損した場合、会社業績に大きな影響を与えた場合をそれぞれ、懲戒の軽いほうから記載するのが、最適かもしれません。
投稿日:2015/10/26 19:33 ID:QA-0063990
相談者より
このたびは早急にご回答いただき誠にありがとうございました。
特に直近の運用についての参考にさせていただきます。
投稿日:2015/10/30 13:19 ID:QA-0064042大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
損害賠償
今回の事案に、後付けで懲戒はできませんので、この機に今後発生する危機への対応ということになります。
現状の就業規則では、おそらく一般的に「会社への損害」規定があるはずです。今回は経営に深刻なダメージを与える損害ということですから、損害賠償条項があればそれを適用すれば、変更は関係なく対応できるのではないでしょうか。
尚、個別事案の理由(「虚偽」など)細かな表現を記載していては切りがありませんので、特段の変更と本件は分けて考えてはいかがでしょうか。
投稿日:2015/10/26 23:07 ID:QA-0063996
相談者より
このたびは早急にご回答いただき誠にありがとうございました。
今後に備えた規定等の見直しの参考にさせていただきます。
投稿日:2015/10/30 13:19 ID:QA-0064043大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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