時給を減額した為サインを拒む期間契約社員を期間満了とできるか
自動車部品加工の下請け会社で労務管理をしています。自社工場とは別にお客様の工場内で請負業務を行っており弊社の外国人労働者(日本語は会話程度ならできます)が約30名働いています。今年7月まで契約単価の高い加工業務に8名が従事していましたが、8月からこの作業の契約が無くなり、他の従業員と同じ作業に戻しました。これまで8名には他の従業員より高い賃金を払っていましたが、契約単価が下がった分減額せざるを得なくなりました。減額を決定したのが9月中旬で、当該社員には口頭で理由を説明したうえで、1ヶ月の猶予をみて11月の期間更新で減額することにしました。新給与は他の従業員より若干高めに設定しましたが、4名は不服で雇用契約書のサインに応じてもらえません。このままズルズルと伸ばすわけにもいかず、会社は4名を期間満了で退職いただく方針ですが、9月も下旬になってしまいました。そこでお伺いしたいのですが、
①このようなケースでも11月からの更新をしない通知は9月中に行わなければ1か月分の予告手当てを払うことになるのでしょうか。
また、以前この作業を担当していた従業員がこのたび減額した対象の8名に提示額を聞きまわり、現場の監督者に対し、8人に比べて自分の給与は低すぎると仕事中もアピールしてきていました。この従業員に対する会社の評価は、生産性、勤務態度、勤怠などから他の従業員より低いにもかかわらず、時給は高めに設定されています。監督者はその点を説明しましたが本人は納得せず、あくる日出勤後こんな時給じゃ働けない、と言って職場放棄して帰ってしまいました。あと50円上げてくれれば働くとも言っていたそうです。この社員はこれまでも度々職場でトラブルを起こしています。この社員とは10月-12月の契約更新を行ったばかりですが、これを機会に契約期間の短縮ができないものか(10月末、または11月末まで)と考えています。
②そこで、職場放棄を理由として10-12月の更新契約を撤回し、短縮した契約で満了とすることはできるでしょうか。よろしくお願いいたします。
投稿日:2013/09/29 20:54 ID:QA-0056296
- 労務不成一日さん
- 静岡県/石油・ゴム・ガラス・セメント・セラミック(企業規模 51~100人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
まず①の雇い止め予告についてですが、厚生労働省による「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」告示によりますと、「使用者は、有期労働契約(当該契約を三回以上更新し、又は雇入れの日から起算して一年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の三十日前までに、その予告をしなければならない。」と示されています。
従いまして、以前から雇い止め等について当人達と協議等をされているとしましても、括弧内の条件に該当する有期雇用契約者である限り、30日前の予告は必要になります。
この場合、雇い止め予告をしなかったからといって直ちに解雇予告手当支給義務が発生する事にはなりません。「解雇」と「契約期間満了による雇い止め」とは明らかに異なる措置になるからです。しかしながら、明確な基準はございませんが、長期に渡って契約更新していたり、またはこれまで実質上自動更新になっていたりしていますと、事実上の無期雇用契約とされて解雇と同じ扱いを受ける可能性がございます。そうなりますと30日に満たない予告日数分の解雇予告手当の支払が求められる場合もございますので注意が必要です。
そして②の件ですが、時給が他の従業員より低いだけで違法性を問われる事はございません。就業規則(賃金規程・人事評価規程等を含みます)に従って決められた時給であれば、通常特に問題はないですし、他者より給与が少ないからというだけで直ちに職場放棄する等というのは、余りに身勝手な行為といえます。
こうした悪質な違反行為につきましては、当然ながら就業規則上の制裁規定に該当しているはずですので、規定に基き厳しく制裁処分を科されるべきです。これまでに何度も注意・指導を受け、かつ制裁措置も受けているようであれば、直ちに解雇や雇い止めも検討されてしかるべき事案といえるでしょう。そうでない場合ですと、契約期間の短縮といった法的に問題となりやすい労働条件の変更よりは、まず解雇以外の制裁措置(制裁規定にもよりますが、出勤停止があれば妥当ではと考えられます)にて対応されるべきというのが私共の見解となります。
投稿日:2013/09/29 23:03 ID:QA-0056299
相談者より
専門的・現実的なアドバイスを頂戴し有難うございました。ソフトな対応でも次につながる規律の構築・維持が可能なご意見で参考になりました。
投稿日:2013/10/06 23:20 ID:QA-0056399大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
予告手当支給は契約次第、 職場放棄には最悪解雇処分を
先ず、 当該契約書に 「 契約更新の有無 」 に関する記載があるかどうか、 更新可能性の記載があれば、 その 「 判断基準 」 が、 どのように明示されているかのチェックが出発点になります。 「 特別の事情がない限り契約の更新はしない 」 ( 例 ) 明記があれば、 予告手当の支給は不要です。 次に、 請負額の引下げという、 経営上の合理的理由に基づく時給引下げ提案に対する職場放棄は、 無断欠勤に相当し、 一定期間以上になれば、 解雇処分に値いします (就業規則チェック )。 その際、 法的には、 解雇による雇用契約の解除というになります。 以上の、 法的原則を踏まえた上で、 当該社員と話合い、 合意ができれば良し、 最善努力の結果、 不毛の状態に至れば、 解雇処分に踏みこむべきでしょう。 蛇足ながら、 結果に至るプロセス記録の整備はくれぐれも忘れなきよう注意して下さい。
投稿日:2013/09/30 13:57 ID:QA-0056303
相談者より
①契約書に更新条件を明記しておりません。②私は川勝先生のアドバイスを参考に社長に具申いたしましところ、これを是とした上で、今回に限り服部先生のご意見を採用するよう下命がございました。これまで弊社は労務対策でしこりが残らないことを優先し無駄なコストを払ってきたようですが、この事案を機に変われるような気がしております。有難うございました。
投稿日:2013/10/06 23:37 ID:QA-0056400大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
①について
契約期間更新に伴い、賃金が減額となるということであれば、その条件で新たな契約を結ぶか
どうかは従業員側に委ねられるわけですから、従業員が契約しないということであれば、
このことは雇止めとは異なりますので、予告手当も不要です。
②について
契約期間途中の打ち切りは、やむを得ない事情が必要ですが、職場放棄するようでは、
打ち切りもやむを得ないと思われます。
投稿日:2013/09/30 15:02 ID:QA-0056307
相談者より
ご回答有難うございました。①②とも結論は参考になりました。
投稿日:2013/10/07 00:00 ID:QA-0056402大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
職場放棄での自然退職や懲戒に該当するかと存じます。
まず質問1ですが、契約更新が継続的に行われており、30日前の雇い止めの明示がなかった場合は、有期雇用であっても解雇予告手当の支払いが必要になります。
次に質問2ですが、労働契約は本人との合意があれば変更できますが、本人に問題となる行動があったとしても会社が一方的に契約期間を短縮することはできません。
また、ご質問2の内容は、経緯を含め本人に非がありますので、契約社員・有期契約社員の規程に記載があれば、無断欠席での自然退職や懲戒に該当するかと存じます。
いずれの場合でも、本人に通知する際は、後に争いになる可能性もゼロではないので、その際は内容証明郵便などで通知の履歴が残るようにして頂いたほうがよろしいでしょう。
投稿日:2013/10/05 19:52 ID:QA-0056398
相談者より
ご回答有難うございました。
投稿日:2013/10/06 23:55 ID:QA-0056401大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
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