降給・解雇
営業成績が芳しくなく、事業の縮小あるいは方向転換を考えています。管理能力(部下の育成も含め)も無く貢献度もほとんどないマネージメント待遇の社員の降給もしくは整理解雇を検討しています。
就業規則には、
- 給与調整は、毎年・・月に実施する。調整額は、前回調整時以降における本人の勤務状態・成績、職務遂行能力及び会社の業績、社会情勢等を総合判断しておこなうこととし、会社の業績が著しく悪い場合には、昇給たる給与の改定は行わず、あるいは降給たる給与の改定を行うことがある。ただし、会社が特に必要と認めた場合には、臨時に改定することがある。
-〔解雇〕従業員がいずれかに該当する時は、解雇するものとする。
1.勤務成績または業務能率が著しく不良で、従業員としてふさわしくないと認められたとき。
2.精神または身体の障害により業務に耐えられないと認められたとき。
3.事業の縮小その他事業の運営上やむをえない事業により、従業員の減員などが必要になったとき。
4.その他前各号に準ずるやむを得ない事情があるとき。
-前項規程により従業員を解雇する場合は、少なくとも30日前に予告をするか、または平均賃金の30日分以上の解雇予告手当てを支払う。
としています。
降給と解雇をする場合それぞれで気をつけなければならない事項を教えてください。
投稿日:2006/04/14 18:08 ID:QA-0004377
- *****さん
- 東京都/HRビジネス(企業規模 6~10人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
御社の「降給」及び「解雇」に関し回答いたします。
1.「降給」について
「降給」を行うことには、法令上の明確な規制はないものの、「就業規則」に「降給を行う場合がある」との規定が必要であるというのが原則的な考え方です。御社の場合、その点問題はありませんが、注意すべき点を2点程挙げておきます。
①規定上「降給」の理由が「会社の業績が著しく悪い場合」とある為、人事考課の個別評価のみによって「降給」を行うことは避けた方がよいでしょう。あくまで業績不振の場合のみに限定すべきで、それ以外の理由でも「降給」可能にする為には就業規則の改定が必要と考えてください。
②賃金の大幅な「降給」は、労働者の生活を脅かす為、社会通念上認められないと考えられています。
一般的に、10パーセントを超える降給は問題があると言えるでしょう。降給規定があるとしても、出来ればそれ以下の範囲内に収めるのが望ましいと言えます。
2.「解雇」について
解雇理由についても、平成16年の法改正により「解雇事由」を就業規則に明示しなければならなくなりました。
この点も御社はクリアしていますが、「整理解雇」の場合は、単に「解雇事由」に該当するだけでは不十分であり、以下の4要件も満たさなければなりません。
①解雇の必要性②解雇回避努力の実施③人選の妥当性④事前の十分な協議
御社の場合ですと、②、③、④について十分に配慮しなければなりません。
特に②において、降格や配置転換等により解雇を極力避けるようにしなければ解雇権の濫用と判断されてしまいます。「いきなりの解雇(予告)」は、まず出来ないものと考えて慎重に対処する事が不可欠です。
投稿日:2006/04/14 21:31 ID:QA-0004382
相談者より
投稿日:2006/04/14 21:31 ID:QA-0031803大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
降給・解雇
■事業縮小に伴う整理解雇の有効性については労働法には記載はなく、判例の積み重ねとして次の4要件を満たすこととされています。
① 人員削減の必要性 ⇒ 企業が厳しい経営危機に陥っていて人員整理の必要性があること
② 人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性 ⇒ 解雇を回避するために相当な措置を講ずる努力をしたにもかかわらず解雇をする必要性があること
③ 解雇対象者の選定の妥当性 ⇒ 解雇される者の選定基準が客観的かつ合理的なものであって、その具体的適用も公平であること
④ 解雇手続の妥当性 ⇒ 解雇に至る過程において労働者または労働組合と十分な協議が尽くされていること
■「整理解雇の4要件」については、4つの要件を一つでも満たさなければ合理的理由が認められず解雇無効となるという「4要件論」と、4要件の各要素を総合的に評価して判断すべきであるという「判断要素論」があります。裁判例では「4要件論」が優勢ですが、「判断要素論」をとるものもありますが、いずれの場合でも、この4つの指標が解雇の有効、無効を判断する基準となっています。実際に、これらが争点となるのは、訴訟の段階ですが、そこまで行かなくても、これらを、整理解雇を実行する際の着眼点としてして、情報を整理し、対処することが肝要です。
■次に、降格、減給問題ですが、基本的には、整理解雇と通じる部分があります。就業規則に明記されている「会社の業績が著しく悪い場合」の立証、「本人の勤務状態・成績、職務遂行能力(の劣悪な評価)」の基準、手順、実績記録などの整備が重要です。「管理能力も無く、貢献度もほとんどない」ことの客観的立証は、普段の考課段階で心掛けていないと、急拵えというわけに行きませんが、この点はいかがでしょうか?
投稿日:2006/04/14 23:15 ID:QA-0004383
相談者より
投稿日:2006/04/14 23:15 ID:QA-0031804大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
降給・解雇について
昇給を行わないことと降給、降給と解雇、及びそれらの対象が一部の社員だけにとどまる問題なのか、全社員にまで渡るものなのかによって大きな違いがあります。一般的には業績悪化に伴う対応策としては、解雇は他に手段がない場合の究極の選択であり、このような段階であっても、何とか希望退職に持っていくべきということになるかと思います。
まず賃金からすれば、賞与・一時金の厳格化→昇給見送り→降給という順番で検討されるべきです。
このうちで、能力や個別の業績を反映したうえでの降給にあたっては、場合によって以下の要件も問われることになります。
①賃金の要素のなかに業績を反映させる(アップダウン)部分が明確にあること
②その運用基準が合理的で一般通念上の範囲内であること
③これに伴う評価が適正に行われていること
④①~③について、事前に組合または本人が理解していること
いずれにしても会社経営からの緊急性を要するべき問題なのか、それとも個人の業績(評価)からの問題なのか整理をする必要があるかと思います。また、過去の判例も参考にはなりますが、それぞれに置かれた経営状況や個々の企業の特性・社員の意識・労使慣行など実情が大きく異なるため、注意が必要です。
投稿日:2006/04/15 13:41 ID:QA-0004385
相談者より
投稿日:2006/04/15 13:41 ID:QA-0031806大変参考になった
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