36協定の従業員代表が役員になった場合
	相談させてください。
 特別条項を含めた36協定で従業員代表となっていた者がこの度役員となりました。
 その場合の手続きについて教えてください。
 従業員代表を変更し、36協定の再提出するのには期限があるのでしょうか?
 健康経営優良法人の申請をしようとしていて気付いた次第です。
 知識がなくお恥ずかしいですが、よろしくお願いいたします。    
投稿日:2025/09/23 11:07 ID:QA-0158566
- 転職組さん
 - 静岡県/建築・土木・設計(企業規模 11~30人)
 
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
                ご質問いただきまして、ありがとうございます。
 次の通り、ご回答申し上げます。
 1. 従業員代表が役員になった場合の取扱い
 労基法36条協定の「労働者代表」は、あくまで「労働者」の中から選出されなければなりません(労基法施行規則第6条の2)。
 役員(取締役や執行役員など、会社の経営に関与する立場)となった場合、原則として 労働者には該当しない とされるため、もはや「労働者代表」としての適格性を失います。
  ※雇用契約関係が残る「使用人兼務役員」の場合はグレーゾーンですが、労基署・認証申請等の実務では代表性に疑義が出るため避けるのが安全です。
 → よって、新たに従業員代表を選出し直し、改めて36協定を締結・届出する必要があります。
 
 2. 再提出の期限
 法令上、「従業員代表が不適格になった場合に直ちに再提出をしなければならない」という明確な期限は定められていません。
 しかし、実務的には「従業員代表の資格を喪失した時点で、既存の協定の有効性に疑義が生じる」ため、 できるだけ速やかに(判明後直ちに)新代表での協定を締結・再提出すべきとされます。
 → 健康経営優良法人の申請でも、36協定の適正性はチェックポイントですので、早めに整備するのが望ましいです。
 
 3. 実務対応の流れ
 新しい従業員代表を公正な手続きで選出(挙手・投票など)。
 特別条項を含めた36協定を新代表と再締結。
 所轄労基署に再度協定届を提出。
 届出書には「新代表選出に伴い再締結した旨」を備考に簡単に記載しておくと安心。
 
 4. ポイント
 再提出に遅延があった場合、形式的には「有効な協定がない状態」と見られるリスクがあります。
 ただし過去に遡って無効とされることは稀で、発覚後すぐに対応すれば大きな問題には発展しにくいです。
 健康経営優良法人の申請書類としても、整合性の取れた協定を準備すれば足ります。
 
 5. 結論
 従業員代表が役員になった時点で代表資格を失うため、新代表を選出し、36協定を再締結・届出する必要がある。
 法定の期限はないが、判明後は速やかに対応すべき。
 健康経営優良法人の申請前に修正できれば、実務上の支障は回避できる。
 以上です。よろしくお願いいたします。                
投稿日:2025/09/24 18:47 ID:QA-0158619
相談者より
                ご返信ありがとうございます。
従業員代表が退職することは珍しくないと思うのですが、従業員代表が途中で役員になるパターンは初めて経験したため質問させていただきました。
健康経営の申請期限も迫っており焦っていたところでしたので、非常に詳しくご丁寧に教えていただき参考になりました。ありがとうございました。                
投稿日:2025/09/29 15:37 ID:QA-0158866大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
                ご質問について、回答いたします。
 
 現在の36協定は、従業員代表の適格性を欠いた状態になっているため、
 新たに従業員代表を選出し直し、協定を締結し直す必要があります。
 
 その際は、通常通り「過半数代表者の適正な選出 → 36協定の再締結 → 
 労基署へ届出」となります。
 
 法令上、明確な期限規定はありませんが、従業員代表の適格性を欠いたまま
 の36協定は無効とみなされるリスクがあります。
 早急に、再締結・再提出をなさって下さい。                
投稿日:2025/09/25 08:01 ID:QA-0158622
相談者より
                ご返信ありがとうございます。
簡潔にまとめていただき非常に参考になりました。
やはり速やかに再締結・再提出が必要なのですね。
ありがとうございました。                
投稿日:2025/09/29 15:39 ID:QA-0158867参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
                ご利用頂き有難うございます。
 
 ご相談の件ですが、従業員代表の身分変更があっても、従業員代表の時に締結された労使協定に関しましては変わらず有効とされます。
 
 但し、今後の手続に関しましては当然ながら新たな代表者との交渉・締結が必要ですので、特に定まった期限等はございませんが、従業員側にて速やかに選出をされておかれる事が必要になります。                
投稿日:2025/09/25 15:35 ID:QA-0158672
相談者より
                ご回答ありがとうございます。
やはり速やかな対応が必要なのだと理解できましたので、
早速再締結をいたしました。
この度はありがとうございました。                
投稿日:2025/09/29 15:41 ID:QA-0158868参考になった
プロフェッショナルからの回答
要件を満たさなくなった場合の効力
                 以下、回答いたします。
 
 (1)労働基準法第36条に関して、『協定締結後、労働者側の協定当事者が法定の要件を満たさなくなった場合の効力』については次のように解されています。 [『労働基準法 上』」(厚生労働省労働基準局編)]
  『労働者側の時間外・休日労働協定の締結当時者は、協定の締結時の「労働者の過半数で組織する労働組合」又は「労働者の過半数を代表する者」であればよく、協定の有効期間中「過半数で組織する」、「過半数を代表する」等協定の当事者としての要件を保持し続けなければならないものではない。労働者側の締結当事者が、協定締結後に当事者としての要件を満たさなくなったり、組合が解散したり代表者が死亡したような場合であっても、時間外・休日労働協定の効力は失われない。』
 
 (2)以上を踏まえれば、本件の場合、現協定の現行効力に限れば特段の対応を要しないと認識されます。                
投稿日:2025/09/26 00:05 ID:QA-0158689
相談者より
                ご回答ありがとうございます。
現在従業員代表が不在の状態ですので、効力が失われないとこのこと、安心いたしました。
ご丁寧にありがとうございました。                
投稿日:2025/09/29 15:43 ID:QA-0158869参考になった
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