所定労働時間を超えた場合に時間外労働手当を支給しない規則
当社は従業員7人のイベント会社です。
仕事は不定期に入ってくるため
営業職の所定労働時間は6時間、週休2日制
事務職の所定労働時間は7時間、完全週休2日制
乗務職の所定労働時間は週36時間で1日上限8時間、1ヶ月5日の週休
という3パターンの勤務形態です。
仕事が不定期のため仕事が無い日には社命にて自宅待機としています。
仕事が入った際、たまに所定労働時間を超えますが、法定労働時間を超える事はありません。
所定労働時間を超えても時間外労働手当を支給していませんが、
就業規則にもそうした定めが無いことから、改めて法定労働時間を超えた場合のみ時間外手当を支給する旨の記載をするには、どのように記載すれば良いでしょうか?
なお、従業員数が少ないため、就業規則など労働基準監督署への届けてはしておりませんし、
労使協定締結のしておりません。
投稿日:2025/08/05 12:02 ID:QA-0156364
- 本部長さんさん
- 岩手県/その他業種(企業規模 6~10人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
従業員7名の規模で、不定期業務を前提とした複数の勤務形態がある会社において、「法定労働時間を超えた場合にのみ時間外手当を支給する」旨を就業規則等に明記したいとのことですね。
以下に、就業規則または就業条件明示書に記載できる適切な文例と、法的な留意点をご案内します。
1.記載文例
就業規則や賃金規程、雇用契約書の「時間外労働・割増賃金」の項目に以下のように記載します。
<就業規則または雇用契約書の記載例>
(時間外労働および割増賃金)
第○条
従業員が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて労働した場合は、労働基準法に基づき、所定の割増率による時間外労働手当を支給する。
所定労働時間を超えて労働した場合であっても、法定労働時間を超えていない場合には、時間外手当は支給しないものとする。
深夜労働(午後10時〜午前5時)または法定休日に労働した場合については、法令に定める割増賃金を支給する。
2.補足:各職種の勤務時間と法定労働時間の整理
職種→所定労働時間→法定労働時間との関係
営業職→1日6時間×週5日=30時間→法定(週40時間)未満
事務職→1日7時間×週5日=35時間→法定(週40時間)未満
乗務職→週36時間・1日最大8時間→法定(週40時間)未満
したがって、現在の所定労働時間内であれば割増は不要ですし、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた場合のみ割増を支払うのは適法です。
3.労使協定(36協定)について
現在、時間外労働が「法定内」におさまっているとのことなので、36協定(時間外・休日労働に関する協定)を締結・届出する義務は原則ありません。
ただし、将来「法定労働時間を超える時間外労働」が発生する見込みがある場合には、以下の対応が必要です:
36協定を締結(労働者の過半数代表者と)
監督署に届出(常時10人未満の事業場でも法定時間外労働をするなら必要)
4.その他の注意点
就業規則の届出義務は常時10人以上の従業員を使用している場合に限られます。
現時点で届け出義務はないものの、社内の明文化ルールとして就業規則を整備しておくのは有効です。
所定労働時間を超えて働いた分の賃金が不払い(タダ働き)にならないように注意が必要です。
たとえば、「1日7時間が所定で、8時間働いたが週40時間未満」だった場合、その1時間分の労働時間は割増なしの通常賃金で支払う義務があることに注意してください。
5.まとめ
所定労働時間を超えても、法定労働時間内であれば通常賃金(×1.0)支給でOK
法定労働時間を超えたら、割増賃金(×1.25以上)支給が必要
この旨を就業規則や雇用契約書に、上記のような文面で明記すれば適法
将来、法定時間外労働や法定休日労働が恒常化しそうなら36協定の締結と届出も検討を
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/07 09:57 ID:QA-0156499
相談者より
とても懇切丁寧にご返信いただき誠にありがとうございました。
投稿日:2025/08/07 18:18 ID:QA-0156545大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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