復職後の時短勤務を拒否された場合について
近々復職予定の休職中の従業員がいます。
弊社のルールでは休職者が復職する場合、最初の1ヶ月間は時短勤務をすることとなっています。
主治医の時短勤務の指示の有無に関係なく、産業医の指示で時短勤務するようになっております。
その場合時短勤務は早退扱いとなり、給与から減額されます。
そのため、その復職予定の従業員から時短勤務を拒否したいと相談を受けました。
就業規則には休職者が復職する場合最初は時短勤務となる旨の記載が一切ありません。
これまで休職者が復職する場合は、産業医との復職前面談で時短勤務になる旨を口頭で説明して了承いただいていたのみでした。
この場合、復職予定者から時短勤務を拒否されたとしても時短勤務を命ずることはできないのでしょうか?
投稿日:2025/07/16 10:44 ID:QA-0155512
- *****さん
- 埼玉県/商社(専門)(企業規模 101~300人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
就業規則等に根拠がないまま、一律に時短勤務を命じることはできません。
したがって、復職予定者から時短勤務を拒否された場合、会社はそれを強制することは困難です。
2.理由の詳細
(1)労働契約は原則として対等な合意が必要
労働契約で定められた労働時間(たとえば8:00〜17:00など)を会社が一方的に短縮して賃金を減額することは、本来の契約内容を変更するものであり、本人の同意が必要です。
とくに、復職時の「就労条件の変更(=時短勤務+減給)」は、本人の同意なく一方的に行うと無効となるおそれが高いです(労契法第8条、9条など)。
(2)就業規則に明記がなければ、労働条件とはならない
ご相談の会社では「復職者は原則1ヶ月時短勤務とする」というルールが就業規則に記載されていないとのことですが、これは会社の「慣例」に過ぎず、法的な拘束力はありません。
過去に同様の運用をしていたとしても、明文化されていない限り、就業規則等による包括的同意があるとは言えないと判断される可能性があります。
(3)産業医の「意見」には法的拘束力はない
産業医の指示や意見は、あくまで「医学的観点からの助言・指導」にすぎず、それだけを根拠に勤務条件を変更することはできません。
労働安全衛生法上、産業医の意見を聴取した上で措置を講じることは努力義務(または一部は義務)ですが、それにより労働者の契約条件を変えることは別問題です。
3.対応方針のご提案
(1)今回のケースの対応
従業員からの「時短勤務拒否」は法的に認められる余地があり、強制するのはリスクがあります。
したがって、「現状では強制できない」ことを踏まえ、本人の体調・業務負荷などを個別に確認し、合意ベースでの時短勤務提案を行う方向が現実的です。
(2)今後の予防措置(制度整備)
今後同様の対応を行うためには、就業規則または復職支援規程などに、以下の事項を明記することを強く推奨します。
【就業規則への記載例】
「休職からの復職に際しては、原則として復職後○週間は短時間勤務とし、労働者の心身の負担軽減を図る。短時間勤務の時間および勤務形態は産業医の意見を踏まえて会社が定める。」
※あわせて「短時間勤務に伴う賃金の取扱い」も明示すべきです。
4.補足:労働契約の成立における注意点
「慣例」だけでは契約条件にはなりません。
仮に過去全員が口頭で同意していても、「過去の個別同意」≠「全社員共通の就労条件」とはなりません。
復職支援の目的でも、減給が伴う措置は慎重な説明と合意が必須です。
5.まとめ
項目→法的評価→備考
復職時の時短勤務→原則同意が必要→強制は困難(就業規則に記載なしのため)
賃金減額→同様に同意が必要→産業医の意見だけでは足りない
将来に備えた就業規則整備→必須に近い→復職支援制度として明文化を推奨
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/16 11:04 ID:QA-0155513
相談者より
大変わかりやすくご説明いただき助かりました。
やはり現状では時短勤務をさせることは難しく、社内規程を整備する必要がありますよね…。
就業規則や諸規程の見直しをするよう上長に相談してみます。
ありがとうございました。
投稿日:2025/07/16 11:23 ID:QA-0155514大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、「就業規則には休職者が復職する場合最初は時短勤務となる旨の記載が一切ありません」という事であれば、時短勤務を命ずる制度上の根拠がございませんので、客観的に見てフルタイム勤務が可能な心身の状況でありかつ本人も希望されている場合にまで時短勤務を指示される事は不可といえます。
また、産業医につきましてもあくまでアドバイス等を行う役割に過ぎませんし、勤務内容に関しまして産業医の指示に従わなければならないといった法的義務はございません。
職場運営の観点からも、時短勤務ありきではなく、復職者の心身状況に応じて個別に判断し決定されるべきといえるでしょう。
投稿日:2025/07/16 12:51 ID:QA-0155519
相談者より
お礼が遅くなり申し訳ありません。
大変参考になりました。
今後同様のトラブルが生じないよう、就業規則の見直しを行います。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/07/26 14:21 ID:QA-0155833大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
復職時短勤務をルールとするのであれば、
就業規則に規定し、公正性、透明性を保つ必要があります。
就業規則に規定していないのであれば、
復職予定者から時短勤務を拒否されたとしても時短勤務を命ずる根拠がないということになります。
産業医の指示も一律指示では、意味がありません。
投稿日:2025/07/16 13:10 ID:QA-0155520
相談者より
お礼が遅くなり申し訳ありません。
大変参考になりました。
今後同様のトラブルが生じないよう、就業規則の見直しを行います。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/07/26 14:22 ID:QA-0155834大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
休職復職は会社が決めるもので、社員や主治医、産業医の意見を参考にするだけという関係です。それゆえ責任も会社が負うことになります。
ゆえに会社が規定で休職者の復職ルールを定めていれば、個人の希望は関係ないことになります。
しかしながら現状はそうした規定化がされておらず、慣習的運用であるのであれば、強要は無理でしょう。これを機に正式な規定化、就業規則化を図り、周知の上で運用となります。
一方、休職は発令より復職判定の方が難しいのが普通です。いつまでの休職か、何をもって復職を判断するか、復職後の業務担当・評価をどう行うかなど、すべて先んじて準備をしておかないと、管理部門の手間がどんどん増える恐れがあります。
投稿日:2025/07/16 13:42 ID:QA-0155521
相談者より
お礼が遅くなり申し訳ありません。
大変参考になりました。
今後同様のトラブルが生じないよう、就業規則の見直しを行います。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/07/26 14:22 ID:QA-0155835大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご相談内容について回答いたします
今回のケースでは、復職予定者から時短勤務を拒否されたとしても、従業員の方に時短勤務を命ずることはできません。
就業規則にその旨の定めがない場合、一方的に従業員に時短勤務を強制することはできません。
また産業医の意見書については法的強制力はなく、そのことを根拠に従業員に時短勤務を強制することはできません。
ただし、産業医の意見書があって、会社として何ら措置を講ずることなく、万が一従業員の方に健康被害が生じた場合には、会社側に安全配慮義務違反が問われることとなります。
「最初の1ヶ月は時短勤務をすること」は、復職者の体調面を考慮しての復職支援プログラムと考える場合に、その必要性、重要性について、あらためて従業員の方に説明を行い理解を求める必要があります。
長期に休業していることから、従業員の経済的な面への配慮も必要と考えますので、時短勤務中の給与減額を補うため、何らかの「手当」を検討することも推奨されます。
なお今後は早急に休職及び復職に関する規定を策定し就業規則に規定されることを強く推奨いたします。
投稿日:2025/07/16 15:51 ID:QA-0155531
相談者より
お礼が遅くなり申し訳ありません。
大変参考になりました。
今後同様のトラブルが生じないよう、就業規則の見直しを行います。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/07/26 14:23 ID:QA-0155836大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
|弊社のルールでは休職者が復職する場合、最初の1ヶ月間は時短勤務を
|することとなっています。
上記を強制的に行えるか否かは、就業規則上において、定めがあれば可、
定めが無ければ不可(強制する根拠がない為)となります。
つまり、復職予定者から時短勤務が拒否された場合は、命じることはできません。
復職直後に時短勤務を一律命じる場合は、その旨の、規定追加を行ってください。
投稿日:2025/07/16 16:07 ID:QA-0155532
相談者より
お礼が遅くなり申し訳ありません。
大変参考になりました。
今後同様のトラブルが生じないよう、就業規則の見直しを行います。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/07/26 14:23 ID:QA-0155837大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
できません。
時短勤務は早退扱いとなり給与も減額となるのであれば時短勤務は拒否したいというのは極めて普通の発想であって、本人にとっては不利益でしかなく、本人が同意しない限り、時短勤務をさせることはできません。
産業医の意見はあくまで参考意見、アドバイスでしかなく、従業員には法律上産業医の指示に従う義務はありません。
したがって、産業医との復職前面談で時短勤務になる旨を口頭で説明するのはまだ良いとして、それを受入れるか否かはあくまで本人の自由、本人が拒否すれば会社は強制できませんので、そこは注意が必要です。
就業規則に休職者が復職する場合最初は時短勤務となる旨の記載がないとのことですが、時短勤務をするか否かは本人の自由ですから、就業規則で強制することもできません。
注意してください。
投稿日:2025/07/17 07:35 ID:QA-0155566
相談者より
お礼が遅くなり申し訳ありません。
大変参考になりました。
今後同様のトラブルが生じないよう、就業規則の見直しを行います。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/07/26 14:24 ID:QA-0155838大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
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