年次休暇中又はシフト外の日の会議出席について
当社にはシフト勤務制を運用している職種があります。その職種の従業員が、年次休暇又はシフト勤務日以外の日に会議に出席していた、そのことを上司に報告したり勤怠システムに記録をしていなかった、とその上司から報告がありました(つまりシステム上は年休・勤務日外になっているが、体は会議に出席していた)。上司はサービス残業の隠ぺいであると大変憤っており、また、該当する時間への超勤未払いが発生しているとの報告でしたが、その会議そのものが上司による命令があったのかどうか、絶対出席が義務付けられていたのかどうかの確認が必要ではないかと考えています。
その従業員は管理監督者ではありませんが、リーダーですので、リーダー会議に出席したようです。休暇休日中の会議出席について、上司及び部署自体の指示が不明瞭だったのではないかと考えています。
この従業員については、会議出席が命令に基づくものであったのかどうかを確認し、上司が休暇休日であれば出席は不要、と明確に指示していたのであれば労働時間に該当しないため、超勤にはならない、としようと思いますが、仮にその辺の指示が明確ではなかったもしくは何も指示していなかった場合、どのようにしたらよろしいでしょうか。
また、人事としては、年休又はシフト勤務日以外の会議出席については強制できない(してはならない)と考えますが、仮にどうしても出席が求められる場合は、超過勤務扱いとするか又は年休やシフトの見直しをするような対応でよろしいでしょうか。管理職にはこのあたりの労務知識に偏りがあるように思われ、この従業員のように、リーダー格で休暇休日中に数時間の会議やミーティングに出てしまっている者が他にもいるのではないかと危惧しています。そのため、人事として何らか明確に発出した方が良いように考えています。
投稿日:2025/06/02 13:01 ID:QA-0153377
- 花子さん
- 神奈川県/医療・福祉関連(企業規模 1001~3000人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.要点整理
観点→内容
従業員→シフト勤務者(非管理監督者)、リーダー職
事案→年休・休日に会議出席(勤務扱いとして報告せず)
問題点→上司の命令性が不明確/労働時間として未申告/超勤未払いリスクあり
上司の姿勢→サービス残業の隠ぺいと捉え、問題視している
懸念→同様事案が他にも存在する可能性あり
2.法的観点:休日・年休中の労働時間の取り扱い
(1)原則として…
「使用者の指揮命令に基づく業務」は労働時間に該当します。
明示的な命令でなくても、黙示の業務命令(出席を期待する雰囲気等)があれば該当。
リーダー職でも、管理監督者でない限り労働時間の原則は適用されます。
(2)休日・年休中でも…
「出席が事実上義務であった」のであれば、その時間は労働時間とされ、賃金(休日手当含む)支払義務が生じます。
仮に本人の自主的判断で出席していたとしても、「組織内の暗黙の圧力」があった場合は労働時間とみなされる余地があります。
3.従業員個別の対応方針(今回のケース)
(1)会議出席が「指示(黙示含む)」であったかどうかの事実確認
リーダー会議が「出席必須」との空気があったか、指示メール・口頭指示があったか等を確認。
ア.指示があった/黙示的に出席が求められていた場合→該当時間を労働時間として認定し、超過勤務手当を支払う対応が必要。
イ.明確に「出席は不要」と伝えられていた場合→自主参加であり、労働時間には該当しないと整理可能。
ウ.指示がなかった・曖昧だった場合→安全策として、該当時間を労働時間として扱う対応が望ましい。併せて、管理職の指示・確認体制の不備を改善点として文書化する。
4.人事対応の方向性(社内ルール整備)
(1)原則方針の整理(文書化推奨)
休日・年休中の業務参加は原則禁止
→ 出席が必要な場合は事前に労務部門と相談の上、シフト変更または超過勤務申請を行う。業務上の会議参加等を指示する場合は、必ず勤務扱いとし、勤怠登録を義務付ける
リーダー職・一般職とも、管理監督者でない限り「労働時間の原則」が適用される
管理職向けに、会議・研修等の実施指示と勤務管理の整合を徹底するよう教育を行う
5,対応施策の提案
(1)管理職向け文書の発出
【通知案・見出し】
「休日・年休中の業務出席に関する運用ルールの徹底について」
年次有給休暇または休日(シフト勤務日以外)に従業員が業務に従事する場合、事前に上司の承認および勤怠登録が必要です。会議や研修を含む業務出席は、使用者の指示がある限り労働時間と見なされ、賃金支払義務が発生します。
リーダー職や一般職に対して、「出席するのが当然」といった暗黙の指示・空気を与えた場合も、黙示の指揮命令と解される恐れがあります。
今後は、出席を求める場合は勤務日としてシフト調整するか、超過勤務の事前申請を行ってください。適正な勤怠申告を行わなかった場合、社員本人・上司双方に対する指導対象となる可能性があります。
(2) 勤怠システム運用見直し(任意)
休日・年休中の「出勤入力」がしやすくなるような備考欄・メモ欄の運用整備。
シフト外業務が入った場合の「申告漏れ防止リマインド」機能の追加。
6.まとめ
項目→方針
今回の個別対応→出席の「指示性」が不明確なら労働時間扱いが妥当。超勤未払いがあれば支給を検討。
人事全体の考え方→休暇・休日中の会議出席は原則NG。必要時は勤務変更 or 超勤扱いとするルールを周知。
管理職教育→「出席の強制」「勤務の黙示指示」などの労務リスクを含めた指導が必要。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/06/02 15:42 ID:QA-0153388
相談者より
丁寧におまとめいただきありがとうございました。整理ができました。本人聴取をしながら、さらに整理していきたいと思います。
投稿日:2025/06/03 15:16 ID:QA-0153491大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
なぜ、シフト勤務日以外の日に会議に出席していた、そのことを上司に報告したり勤怠システムに記録をしていなかったのか、
まずは、事実確認を徹底して行ってください。
次に問題点が何だったのかを列挙してください。
そうすれば、おのずと改善点が見えてきます。
リーダー会議のあり方も確認したうえで、全員がシフト内で行うのか、
あるいは、シフト外(時間外)でも行うことがありうるのか、
検討してください。
投稿日:2025/06/02 16:13 ID:QA-0153399
相談者より
ご回答ありがとうございました。本人聴取を進めたいと思います。
投稿日:2025/06/03 15:16 ID:QA-0153492大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答をいたします。
まず、対象社員の方が、何故、報告・勤怠記録を残さなかったのか、
理由は調査する必要があります。場合によっては、管理監督者の責任
問題に発展する場合もございます。
その上で、対象社員の方が、何を求めているのか・特段求めていることが
あるのか、ないのかも念の為、確認してください。
その上で、会議への参加については明確な指示がなくとも、黙示的な指示が
あれば、業務として認められますので、会社としては、業務指示をしていない
ことを立証できない限りは、揉めた場合は、賃金の支払い命令が下るものと、
お考えいただければと思います。傾向としては、労働者有利に判断されます。
以下は、Yesです。事実と勤怠記録は整合性がとれていなければいけません。
>仮にどうしても出席が求められる場合は、超過勤務扱いとするか又は
>年休やシフトの見直しをするような対応でよろしいでしょうか。
本事例のようなことは、社内でも再発がしやすいものとなります。
社内全体への周知徹底を改めて行うとともに、社員教育の徹底を
していただくことをお勧めいたします。
投稿日:2025/06/02 16:20 ID:QA-0153403
相談者より
丁寧にご回答いただきありがとうございました。本人聴取を進めたいと思います。管理職への教育も不十分だと感じています。
投稿日:2025/06/03 15:17 ID:QA-0153493大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、まずは当該従業員に直接詳細事情を確認される事が不可欠です。たとえ上司からの話であっても、伝聞のみの時点で判断される事は禁物です。
その上で、仮に当人が会社からの指示が無く自らの判断で参加された場合や会社から参加不要と言われていた場合であっても、現に参加された際に誰も注意をされずそのまま会議が行われたという状況でしたら、参加つまり業務への従事は黙認された事になりますので、労働時間扱いとされ時間分の賃金支払が必要といえます。
そして、今後の対応に関しましては、ご認識の通り労働義務の無い日に会議への参加を認める事は原則出来ない事、及びどうしても休日に参加をお願いしたい場合には当然に休日出勤扱いされる事、さらに年休取得日に参加させる事は事業運営に重大な支障が生じるような場合以外は認められない事について、社内で周知徹底される事が重要といえます。
投稿日:2025/06/02 16:31 ID:QA-0153405
相談者より
丁寧にご回答いただきありがとうございます。本人への事情聴取を進めたいと思います。社内のルールなども曖昧で、全体的に労務知識が不十分な管理職が多いと感じています。
投稿日:2025/06/03 15:18 ID:QA-0153494大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
おっしゃる通り、一番重要なのは業務指示ですので、上長からの指示=出勤であり、有休などは取り消しとなります。ただし有休を取り消せるのは本人だけですので、有休取得日の会議出席などはできないことも、合わせて社内、特に管理職間では徹底しておくべきでしょう。
自主出席はサービス残業と同じ意味ですので、貴社のコンプライアンス方針上、そのような行為も禁止であることをあらためて全社的に周知徹底が必要と思いました。
投稿日:2025/06/02 17:18 ID:QA-0153410
相談者より
ご回答いただきありがとうございます。リーダーも管理職も、社員全体的に労務に関する知識が不十分である気がしています。きちんと整理して周知していきたいと思います。
投稿日:2025/06/03 15:19 ID:QA-0153495大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ガイドライン
【御相談】
会議出席が命令に基づくものであったのかどうかを確認し、上司が休暇休日であれば出席は不要、と明確に指示していたのであれば労働時間に該当しないため、超勤にはならない、としようと思いますが、仮にその辺の指示が明確ではなかったもしくは何も指示していなかった場合、どのようにしたらよろしいでしょうか。
【回答】
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(厚生労働省)の以下の箇所に則り、御対応していただくことが考えられます。
● 労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、
使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時
間に当たる。
● 労働時間に該当するか否かは、労働契約、就業規則、労働協約等の定め
のいかんによらず、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと
評価することができるか否かにより客観的に定まるものであること。ま
た、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどう
かは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされ
ていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されるものであること。
【御相談】
仮にどうしても出席が求められる場合は、超過勤務扱いとするか又は年休やシフトの見直しをするような対応でよろしいでしょうか
【回答】
曖昧になりがちであり、可能な限り明示的な業務命令を発出すべきであると考えられます。なお、年次有給休暇に関しては時季変更権を行使することが考えられますが、既に時季変更権を行使しないとしていた場合には、あくまで依頼の形になろうかと思います。
投稿日:2025/06/02 19:34 ID:QA-0153418
相談者より
大変丁寧におまとめいただき、ありがとうございます。本人の聴取及び管理職への聴取も行う予定でおりますが、社として全体的に「労働時間とは」「労働とは」の理解が不十分であると考えています。ご回答を参考に、正しい知識付与に努めたいと思います。
投稿日:2025/06/03 15:21 ID:QA-0153496大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
まずは当該従業員に直接事実確認をする必要があります。
会社、上司による指示命令は一切なく、当該リーダーが自己の勝手な判断で会議に出席していたような場合は、それに費やされた時間は労働時間として取り扱う必要はなく、賃金も支払う必要はありません。
ただし、直接の指示命令はなくても、出席しているのを知りながら黙認していたような場合は、「黙示の指示」があったものとみなされ、その時間は労働時間として取り扱われ、賃金も支払う必要がある。というのが一般的な労働時間についての考え方になります。
年休日には、原則、出勤を命ずることはできませんが、労働者の同意により、あるいは緊急の必要により事実上労働者が出勤した場合は、その日は年次有給休暇を与えたことにはならず、別の日に改めて年次有給休暇を付与する必要があり、なおかつ、出勤した時間が1日のうち一部であっても、別日に1日(暦日)の年次有給休暇を与える必要があります。
今後の対応としましては、労働義務のない日(シフト勤務日以外の日)に会議への出席は認めないが、どうしても出席を求めざるを得ない場合には休日出勤扱いとして処理する、および、年休取得日の出席は認めない旨を社内に周知することで徹底すればよろしいでしょう。
投稿日:2025/06/03 08:13 ID:QA-0153445
相談者より
丁寧にご回答をいただき誠にありがとうございます。大変参考になりました。本人及び管理職へ詳細の確認を行いたいと思います。労働時間について理解があいまいな者が多いため、今後社全体へ正しい知識付与に努めたいと思います。
投稿日:2025/06/03 15:23 ID:QA-0153498大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
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社労士などの専門家がお答えします。