フレックス制での時間有給休暇取得について
	フレックス制を取り入れていますが、有給休暇の取得に疑問がありご相談です。
 
 勤怠管理システム上可能であったためか、通常の8時間勤務した職員が、4時間の有給休暇時間を上乗せして12時間にし、その日数が月に何日かありまた数ヶ月続いていたことが最近分かりました。
 想定していなかったのですが、上限を定めていないので、フレックスであれば時間有給休暇は何時間でも申請が可能なのでしょうか。
 
 有給休暇取得は基本推進していますし、しっかり休みを取って使用していただきたいと思っています。
 
 そこで、フレックス制の際、1日に時間有給休暇を使用できる時間数を設定しても良いのでしょうか。例えば労働時間数を含めて10時間までなど。
 またそのように定めることが可能であった場合、労使協定もしくは就業規則の制定などどのような流れで進めるべきものでしょうか。
 
 フレックス制を理解していない的外れな質問でしたらお恥ずかしい限りですが、何卒宜しくお願い致します。    
投稿日:2025/04/30 16:38 ID:QA-0151629
- 撫子さん
- 神奈川県/医療・福祉関連(企業規模 1001~3000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
労働基準法では、年次有給休暇を時間単位で取得することは可能です(年40時間まで、労使協定の締結が必要)。
フレックスタイム制においても、時間単位の有給取得は可能です。
ただし、通常は「勤務していない時間帯」に時間有給を充てるため、実労働時間とのバランスをとる必要があります。
                
                ご質問いただきまして、ありがとうございます。
 とても真摯で的確なご相談です。フレックスタイム制における有給休暇の取り扱いに関しては、法的なルールと実務上の取り扱いが絡み合うため、混乱しやすいポイントです。以下に整理してお答えいたします。
 
 1. 回答の要点
 (1) 時間単位の有給休暇とフレックスタイム制の関係
 労働基準法では、年次有給休暇を時間単位で取得することは可能です(年40時間まで、労使協定の締結が必要)。
 フレックスタイム制においても、時間単位の有給取得は可能です。
 ただし、通常は「勤務していない時間帯」に時間有給を充てるため、実労働時間とのバランスをとる必要があります。
 
 (2) 今回のような「8時間勤務+4時間有給=12時間」のケース
 これは「時間有給=休んだ時間」ではないため、有給の趣旨(労働からの解放)と合致しません。
 不自然な有給の使い方であり、制度趣旨から逸脱していると考えられます。
 
 2. 1日に取得できる時間有給休暇の「上限」を定めることは可能か?
 → 可能です。
 時間有給を導入する際には労使協定が必要で、その中に「1日当たりの上限時間」を定めることができます。
 例:1日あたり最大4時間まで/労働時間と合わせて10時間を超えない等。
 
 3.どのように進めるべきか(制度整備の流れ)
 ステップ1:労使協定の見直し/新規締結
 「時間単位の有給休暇」の運用には労使協定が必須です(就業規則だけでは不十分)。
 以下のような内容を協定で定める必要があります:
 対象者(全社員または一部)
 単位(1時間単位など)
 取得可能な上限時間(年40時間以内)
 1日あたりの取得上限(例:4時間までなど)
 
 ステップ2:就業規則や社内規程への明文化
 協定とあわせて、社員にも周知されるように就業規則または勤怠規程へ記載。
 例:
 「フレックスタイム制適用者であっても、時間単位有給休暇の取得は1日最大○時間までとする。なお、当日の実労働時間と合わせて○時間を超えないこと。」
 
 ステップ3:社員への周知と運用開始
 制度変更前に、説明会や通知文などで社員への周知を行います。
 
 4.制度として推奨される文言(例)
 「フレックスタイム制における時間単位の年次有給休暇の取得は、1日につき最大4時間までとし、かつ、実労働時間との合計が10時間を超えないこととする。」
 
 5.補足:なぜこのような取り扱いをするのか
 有給休暇の本来の趣旨は「労働からの解放による心身のリフレッシュ」です。
 実働8時間+有給4時間=12時間労働扱いとするのは、逆に長時間労働を助長する可能性があり、健康管理や労務リスクの観点からも望ましくありません。
 今後、他の社員にも影響する重要な労務ルールになると思いますが、制度整備の方針は非常に的を射ています。現在のフレックス制度の中で、どのような勤怠の柔軟性を認めたいかを明確にすることが、トラブル防止にもつながります。
 
 以上です。よろしくお願いいたします。                
投稿日:2025/04/30 18:15 ID:QA-0151633
相談者より
                迅速な回答ありがとうございました。
伺いたかった内容に関して大変分かりやすかっただけでなく、非常に配慮の行き届いた回答で朝から感嘆してしまいました。
初めてこちらのサイトを利用させていただきましたが、今後も課内で共有し利用したいと思います。誠にありがとうございました。                
投稿日:2025/05/01 09:38 ID:QA-0151644大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
                ご質問について、回答させていただきます。
 
 まず、1日に時間有給休暇を使用できる時間数を設定しても良いかについては、
 結論、可能でございます。
 
 実現する手法としては取得時間数に制限を設けることは法令的にもNG観点が
 ございます為、1日の実労働時間(実際に働いた時間)が、8時間を超える場合
 は使用できない等、実労働時間に対して制限を設ける手法が選択股となります。
 
 時間単位の有給休暇付与は、労使協定の締結が必要です。
 貴社でも締結をなさっているかと存じますので、現行の協定内容に、
 実労働時間が8時間を超える場合は使用できないと追加協定条文を入れれば
 良いかと存じます。
 
 なお、補足までに1日単位の年次有給休暇と、時間単位の年次有給休暇の制度は、
 法令上、時季変更権を行使しない限り、労働者の取得意思は優先しなければなら
 ない点があり、法令上の縛りが強い性質のものです。よって、取得時間数に制限
 を設けたり、取得できる時間帯に制限を設けることも一定の規制がございます。
 
 一方、半休制度は、法令上に定められているものではなく、会社独自のルールと
 してかなり汎用的に、ルール化することが可能でございますので、場合によって
 は、半休制度の導入(適用)もご検討ください。
 
 また、フレックスタイム制の場合、始業・終業の時間は社員が一定、
 コントロールできる制度の為、時間単位の有給休暇制度の適用はなじまず、
 フレックスタイム制の適用者は時間単位の有給休暇制度適用の対象者から
 除外をしているケースも多々ございます。
 
 改めて、フレックスタイム制の社員へ適用される有給休暇付与制度の種類
 を精査・ご検討されても良いかもしれません。                
投稿日:2025/05/01 07:56 ID:QA-0151639
相談者より
                時間単位の有給休暇制度適用の対象者から
除外をしているケースもあるとのこと、大変参考になりました。確かに予定の出勤時刻に5分遅れて、1時間の時間有給休暇を乱用しているケースもあり…なかなか対応に苦慮していたところです。
ありがとうございました。                
投稿日:2025/05/01 10:10 ID:QA-0151647大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
                有給は勤務を免じて給与を支払う制度なので、本件のような使い方は有給の趣旨にも反します。現在規定がないのであれば、1日の時間有給取得上限(「8時間を超えない」など)を設け、周知徹底の上で労使協定化されるべきでしょう。
 
 その際、ほかにも考えられる不適切な取得がないか、可能性がないかなど、しっかり調べて一気に制度化すると良いでしょう。                
投稿日:2025/05/01 09:45 ID:QA-0151646
相談者より
                確かに運用が始まり少し経ちましたので、色々精査した上で細かいところまでルール決めをした方が良いように思います。
ご回答ありがとうございました。                
投稿日:2025/05/01 10:12 ID:QA-0151648参考になった
    回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
    回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
    ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
    
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