就業規則違反者の処遇について
問題行為を起こしているアルバイト社員の処遇についてお伺いさせてください。
複数のアルバイト社員より、「Aさんから宗教の勧誘を受けて困っている」旨の相談を受けました。
当社の就業規則では会社の許可を得ずに、社内での政治・宗教・その他の勧誘活動を一切禁じております。
Aさんと面談して状況確認をしたところ、本人は当該行為を認めましたが、
「自分としては嘘偽りを言っているのではなく、本当に救われると思って皆に説いている。正しいことをしているので、これを止めるわけには行かない」と譲らないため、
「それでは当社で働いて頂くわけには行かない」として、面談終了をもって帰宅させ、そのまま出勤停止の処分を行ないました。
もちろん、このことだけを理由に懲戒解雇等はできないと思いますし、理由が理由だけに信教の自由等をたてにもめごとを起こされるのも得策で無いと判断し、
このまま出勤をさせないうえで、契約満了を持って(Aさんとは今月末までの契約)退職扱いにしようと考えております。
この場合、例え就業規則違反であっても、会社の命において出勤させなかった日数については、賃金の支払や何%かの休業補償を支払わなければならないでしょうか?
また、当該社員の契約更新を既に複数回行なっていた場合、今月末での契約満了となると、厳密にいえば30日前の通告ができていなかったことになりますが、この場合、更新期待権等を鑑みてやはりなんらかの保障をしなければならないでしょうか?
ご教示宜しくお願い致します。
投稿日:2008/02/13 16:22 ID:QA-0011357
- *****さん
- 東京都/その他業種(企業規模 3001~5000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
個人の信教の自由は確かに憲法で保障された権利ですが、社内で布教活動をすることで業務に支障が出る状況というのは本質的に別の問題ですので、就業規則に従い懲戒処分を行なうことに差し支えはないといえます。
そこで、出勤停止処分をされた場合ですが、本人に責任のある理由で勤務をさせていないわけですから、「ノーワーク・ノーペイ」の原則に従って当該期間につき無給としても問題はございません。
一方、契約終了につきましては、反復更新されている場合、明確な基準はないですが「期間の定めの無い契約」と同様にみなされるケースが多いので、その場合は解雇と同じルールが適用されます。
ご相談の件の場合ですと、既に出勤停止といった懲戒処分を下していますので、これに同じ事由をもって事実上の解雇処分を加えることはいわゆる二重制裁になり出来ません。
従いまして、この度の件で契約打ち切りとするのではなく、十分に反省を求めた上で、なおかつ同様の行為を社内で繰り返すようであればその際に解雇処分等につき改めて検討されることをお勧めいたします。
投稿日:2008/02/13 22:52 ID:QA-0011362
相談者より
ご回答ありがとうございました。
表現の仕方が悪かったのですが、今回の当該従業員については、シフト勤務となっており、“懲戒処分に基づく出勤停止”ではなく、一旦、シフト上の休日扱いとして休んでもらっています。
こういった扱い自体問題となりますでしょうか?
(業務の都合上シフト過多になってしまうような場合に、“本人の同意”を得てお休みしていただくことは日常的に発生しています)
投稿日:2008/02/14 23:47 ID:QA-0034566大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
政治・宗教勧誘する有期契約社員
■宗教活動に限らず、政治活動など、個人にとってそれなりの自由があるからと言って、企業の施設内で、労働時間内は勿論のこと、休憩時間内での活動を認めなければならない義務はありません。他の従業員の休息を妨げたり、労働能率を低下させたり、更には、職場秩序を乱すおそれのある場合には、懲戒処分事由とすこともできます。
■但し、懲戒事由としての就業規則の整備、懲戒処分に至るまでの警告などの措置、過程の記録など、一連の基本動作ができていないと、しっぺ返しに会う可能性があります。ご説明によりますと、「面談終了をもって帰宅させ、そのまま出勤停止の処分を行った」とありますが、「出勤停止」という懲戒処分は、就業規則に基づき、適切な手続きを経て行われて始めて合法的な措置となりますが、実態はいかがだったのでしょうか?
■他方、「当該社員の契約更新を既に複数回行なっていた場合」で、トータルでその期間が3年を超えると「期間の定めのない契約」と看做され、少なくとも30日前の雇止め予告が必要とされる「更新期待権」にとどまらず、雇止め自体が解雇と見做されますので、結果として解雇に至る手続き(譴責、減給、出勤停止といった懲戒処分の積み重ねと、会社の教育指導の実績などの有無)が争点とされるでしょう。
■結論として、休業補償(本人は本人の責任でノーワークの状態になったとは思っていないのが通常)や30日前の予告手当支給(期間の定めのない契約に基づく解雇との判断)など、若干額の金銭での解決提示は、想定を超えた方向に展開する可能性があります。服部様のご示唆の通り、一旦原点に戻した形で再検討されることが望ましいと思います。
投稿日:2008/02/14 09:40 ID:QA-0011364
相談者より
投稿日:2008/02/14 09:40 ID:QA-0034568大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
こちらこそご返事頂き有難うございます。
ご質問の件ですが、「シフト上の休日」ということですと、元々労働義務がないので、懲戒処分には当てはまりませんし「出勤停止」にもなりえません。
但し、そういった事情にもかかわらず「出勤停止」という表現を当人に対し万一使われているとすれば、制裁と誤解されトラブルを招きかねませんので、対応上の注意は必要です。
また契約打ち切りにつきましては、二重制裁にはなりませんが、解雇と同様の取り扱いになると考えて少なくとも就業規則上の解雇事由に基くことが求められます。勿論、日数不足分の解雇予告手当支給の措置も採られるべきです。
投稿日:2008/02/15 11:33 ID:QA-0011388
相談者より
ありがとうございました。
本人には「出勤停止」等の表現は用いず、あくまで「お休みとさせてください」と言うに留めています。
今のところ、合意退職の方向ですすみそうですが、扱いや言動には十分留意して臨みたいと思います。
投稿日:2008/02/16 03:19 ID:QA-0034575大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
こちらこそ重ねてのご返事頂き有難うございます。
ちなみに「シフト上の休日」と本人も了承していればよいのですが、本人が出勤予定の処を「お休みさせて下さい」と言われた場合、本人が納得していなければ会社都合の「休業」となってしまいます。そうした際は法律上休業手当の支給が必要になります。
今回のケースは、職場の慣行上からも恐らく問題にはならないでしょうが、当初出勤停止と言われた件も含め、曖昧な措置を即断で行なわないことが重要です。
投稿日:2008/02/16 11:25 ID:QA-0011397
プロフェッショナルからの回答
違った視点から
早速ですが、①当該行為が勤務中にではなく、休憩時間等においてなされている可能性が高い、②就業規則には政治宗教活動についての一方的な禁止規定が明記されている。
この場合は、当人を自宅待機処分にすることは法的に無理があると考えます。
他国では休憩時間中に宗教的行為を認めているのが少なくないと思量されます。
また外国人労働者を受け入れざるを得ない今日、国際的な視点から考えるべきではないでしょうか。
御社の場合、当人の行為が具体的な損失になるか否か不明瞭でありますし、そもそもどういう宗教活動かも不明瞭です。同僚の苦情があったから即自宅待機、更に解雇までとは到底納得が行きません。
弊社はこのような視点からアドバイスします。
投稿日:2008/02/19 09:16 ID:QA-0011424
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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