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人事部だけでなく社員全員が参加して現状を変えていく
働き方改革を自分ごと化するオカムラの「WiL-BE」

株式会社オカムラ 執行役員 コーポレート担当 CHRO(人事部・人財開発部・お客様相談室・サステナビリティ推進部)

佐藤喜一さん

重要なのは制度を改定することではなく、社員に制度を活用してもらうこと

コロナ以前から、貴社では制度の見直しや新設を積極的に行われてきたかと思います。迅速かつ柔軟に対応できる秘訣はどこにあるのでしょうか。

おっしゃる通り、オカムラではここ数年、制度改定を急ピッチで進めてきました。特に子育てや介護をする社員のための両立支援制度が充実しました。在宅勤務は、育児や介護など時間に制約のある社員が「週1回まで」の制限がある限定的な内容となっていましたが、回数制限を緩和、営業などが客先へ直行あるいは客先から直帰する場合に在宅勤務が利用できるようにしました。現在はウィズコロナですので、販売・本社部門は週3回まで在宅勤務を活用しています。また、フレックスタイム制度もコアタイムを設定しないスーパーフレックス制度へ変えました。

こうした制度改定は毎日のように行われています。もちろん人事部だけで進められることではありませんので、労使間の話し合いを頻繁に行って常に協議しています。日頃から意見を交換し、社員の本質的なニーズをつかんでいることが、柔軟な対応につながっているのではないかと思います。

また、重要なのは制度を改定することではなく、社員に制度を活用してもらうことです。そのために社内への発信も積極的に行っています。例えば「育児休暇を取得した男性社員の事例を紹介する」といったものですね。結果、3年ほど前までは皆無だった男性の育休取得が、ここ2年で次々と活用されるようになってきました。

佐藤喜一さん(株式会社オカムラ 執行役員 コーポレート担当 CHRO(人事部・人財開発部・お客様相談室・サステナビリティ推進部))

佐藤さんは、これまでの取り組み状況をどのように評価されていますか。

特に効果を検証する指標を持っているわけではありませんが、さまざまな面で効果が現れていると感じます。昨年は、結果として残業時間が前年比で約10%減りました。有給休暇取得率も従来の50%台から昨年は70%を超えるところまで伸びました。一方で会社の業績は、オカムラとして史上最高の売上高と利益を達成しました。多忙な中で残業が減り有給休暇取得が増えた事実は、評価できると考えています。

働き方改革というとどうしても業績への影響を気にしてしまいがちです。オカムラの働き方改革「WiL-BE」は生産性の向上を図る活動であり、経営トップが委員長として旗振り役を担い、経営政策として「社員の働きがいが高まれば業績も上がる」という認識を全員が共有しているため、役員も積極的に推進しています。連休となる夏季休暇も率先して取っています。

全社員一律ではなく「できるところからやっていく」

お話をうかがって、「Human Development」「Work Rule」「Work Smart」「Work Place」の四つの観点から、人事部だけではなくさまざまな部署が連携して取り組みを進められていることがよくわかりました。働き方改革に部署横断で取り組むことの意義や、そうした体制の中で人事担当者が意識すべきことをうかがえますか。

当社でも以前は、「制度改定など働き方を変えるのは人事部の役割」という考えもあったと思います。部署横断で働き方改革に取り組む風土へと変化したのは、「オカムラは働き方改革を提案する企業だ」という共通認識が広がっていったからです。労働力不足の中、商環境事業でも物流システム事業でも省人化と働く人の労働環境を改善することが急務となっています。私たち自身が働き方改革を進めるのは、それがビジネスの根幹になっているからです。

人事部はともすれば、「良い制度を作ったから使ってね」という押し付けの姿勢になりがちです。でも本来は、社員みんなにとって役に立つ制度を作り、運用していくことがミッションであるはず。制度の定着を図っていく際にも、社員の間で「人事が勝手に作った制度でしょ」という認識が広がっていては、なかなかうまくいきませんよね。

WiL-BE活動を展開するにあたり、当社の働き方コンサルティング事業部が全体統括とプロモーションを担当、各アクションについては、人財開発部・人事部・業務改革部・ワークデザイン研究所・スペースデザイン部のそれぞれの部門が旗振り役となっています。各部門が意見を出し合い、協力して進めてきましたが、やはり鍵となったのは自分ごととした取り組みを全員参加型にして進めてきたことです。各職場で展開する「カエル!プロジェクト」を通じて、全員が「自分の職場を変えるんだ」という意識になってきたと感じています。働き方改革は特定の部門の誰かが進めるのではなく、全員で取り組んでいくもの、という認識を広げていくことが大切なのでしょう。

最後に、ウィズコロナからアフターコロナへの局面を見据えて、今後御社で検討されている取り組みがあればぜひ教えてください。

多くの企業で在宅勤務が進められ、「もうオフィスはいらない」とオフィス不要論を言う方もいるようですが、これからも社員が集うセンターオフィスが不要になるとは考えていません。執務をするオフィスのあり方は変わっていくのでしょうが、人が集まり、会話し、イノベーションを生む場は益々必要になってくるはずです。新たな働き方、オフィスのあり方(ニューノーマル)を私たちは提案していきたいと考えています。

同時に考えていくべきテーマは「時間で働く」という、これまでの日本企業的な概念が通用しなくなっている事実でしょう。従来はオフィスにみんなが集まり、一定の時間は一緒に仕事をして、管理職は自分の目に見える範囲で評価をしてきました。しかし、さまざまな場所で社員が働くようになれば、評価のあり方も変わっていかなければなりません。

当社ではジョブ型雇用の導入に向けて研究を始めたところですが、一口にジョブ型といっても、最初からすべての職種を対象にするのは無理があると思っています。私たちの基本方針は「できるところからやっていく」。全社員一律にやろうとするのではなく、特定の職種や役割に絞った部分からでも、着実に変革していきたいですね。

こうした変化をもたらすためには、社員との1on1がより重要になってくるはずです。個人の業務プロセスが見えづらくなる中で、どのようにコミュニケーションを図っていくか。これは今後の人事の大きなテーマとなっていくのではないでしょうか。

佐藤喜一さん(株式会社オカムラ 執行役員 コーポレート担当 CHRO(人事部・人財開発部・お客様相談室・サステナビリティ推進部))

(取材は2020年7月2日、東京・千代田区のオカムラ ガーデンコートショールームにて)

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