人材確保のために他社より高い採用時の賃金設定はどこまで有効か?
小野山哲朗(おのやまてつろう)
パート・アルバイトの人件費は増えたか?
平成24年版『パ-トタイマ-白書』で、企業に対し、「パ-ト・アルバイトの人件費について、以前と比べどのようになった」かを聞いたところ、以下の結果になりました。
「割高になった」4.1% 「どちらかと言えば割高になった」23.7%「どちらとも言えない」58.4%「どちらかと言えば割安になった」12.1% 「割安になった」1.7%
■パート・アルバイトの人件費
「割高になった」「どちらかと言えば割高になった」が合わせて27.8%と約3割。「どちらとも言えない」が58.4%となっています。さらに、「割高になった」「どちらかと言えば割高になった」と回答した企業に、そのように感じる要因を聞いたところ、最も多かったのは「最低賃金の上昇」62.0%、次いで「人材確保を容易にするための他社よりも高い賃金設定」42.0%、「パ-ト労働法改正による均衡処遇等の実施」40.0%を挙げています。
■パート・アルバイトの人件費が「割高になった」と感じる理由〈複数回答〉
ここで注目したいのは、42.0%の企業が割高の要因にあげている「人材確保を容易にするための他社よりも高い賃金設定」。要するに、人が採用できないた めに募集時賃金を上げたことによる人件費の上昇です。これは企業にとって、果たして有益と言えるでしょうか。平成23年版『パ-トタイマ-白書』で以下の ような調査結果があります。
賃金以外に自身の働きぶりに反映されているものは?
パ-ト・アルバイトに、現在の勤務先において、「賃金」以外に自身の働きぶりによって変化するものはあるかと聞いたところ、「ねぎらいや励ましの声かけ」23.4%、「担当業務の範囲」20.0%、「契約更新の有無」15.0%という回答がある一方、「変化するものはない」が47.1%と、自身の働きぶりが何にも反映されていないとする回答が半数近くに上っています。
■基本賃金・賞与以外に、自身の働きぶりで変化するもの〈複数回答〉
人事の専門メディアやシンクタンクが発表した調査・研究の中から、いま人事として知っておきたい情報をピックアップしました。