人事白書 2016
95.2%の企業が「戦略人事は重要である」と感じているのに、戦略人事として活動できている企業はわずか25.8%
戦略人事の重要性の認識と現実が大きく乖離
最近、経営戦略と人事部門が連動する「戦略人事」の重要性が叫ばれている。その実態について調査した。「戦略人事は重要である」と感じている割合は、「強く感じる」(63.7%)「感じる」(31.5%)を合わせて95.2%。「人事部門が『戦略人事』として活動できている」と感じている割合は、「強く感じる」(5.2%)「感じる」(20.6%)を合わせて25.8%。戦略人事の重要性の認識と現実との乖離がみられた。
人事部門の痛烈な叫び・嘆きの声
「経営戦略と人事戦略のリンクの阻害要因」を自由記述形式で聞いたところ、「経営者が打ち出している戦略が不明確」「人事部門長に戦略の意識がない」「経営陣と人事部との対話不足」「人事部が戦略パートナーとしてみなされていない」「人事部スタッフの能力不足」などさまざまな声が挙げられ、戦略人事が実現できていない現状を具体的に示す結果となった。人事部門の痛烈な叫び・嘆きの声の数々が以下の通り。
- 経営者と人事部との対話不足
- 人事が構築する正論と、経営者が目指したいこととの相違
- 経営陣と人事部門のトップが情報共有できていない
- 社長の独占が強い会社である
- 兼任業務が多く、経営戦略に注力できない
- ルーティン・管理業務負荷が重いこと
- 組織の縦割り構造
- 各部署が、部分最適で物事を考えること
- 古い体質
- 組織の縦割りによる情報の部門間共有の欠如、および人事部員の意識の欠如(目先の実務に終始する風土)
- トップ、ミドル、ボトムの意志疎通
- 人事部が戦略パートナーとみなされていない
- 人事メンバーのプロフェッショナル性の欠如。確かに管理業務は多いが、運用面と併せて経営視点の視座が必要だが、この視座が持てる人事プロフェッショナルがマーケットに少ないこと(だから採用が苦しい)
- リーダーシップの欠如、人事部員のスキル・経験・能力不足によりオペレーションの精度が低く、通常運用業務の品質が低いままでより上位の業務をこなせない
- 人事部スタッフの能力不足
- 人事が別物、別格として扱われていた古き慣習。人事畑出身者の影響力の弱さ
- 人事部門長に戦略の意識がない
- CHROが勉強していない
- 経営層・人事部が必要性を認識していない
- トップメッセージがない
- 経営陣が人事戦略の重要性を理解していない
- 経営陣の間の事業方針の相違
- コーポレートストラテジー、コーポレートビジョンが不明瞭で、求める人財像、育てるべき人財像、キャリアモデル、育成計画に結び付けることが難しい
- 経営戦略が不明確
- 経営戦略の質が低いことが要因かと思う。経営戦略を質高く描ければ、自然と人事戦略と紐付く。ひもづいていないのならば、経営戦略を描けていないに等しい
- 人事の軽視と営業への偏重
- 人がもたらす組織への貢献度合いが定量的に可視化しづらいこと
- 戦略人事という概念をわかっている人間がいない。人事は業務をこなすこと、間違いなく行うことだと思っている人事担当者が多い
※自由記述回答より一部抜粋
【本調査結果の二次利用について】- 引用する場合は、出典を明記してください。
<表記例> 出典:『日本の人事部 人事白書2016』 - 転載する場合は、必ず当社までお問い合わせください。
実施時期 | 2016年3月10日~3月23日 |
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調査対象 | 『日本の人事部』会員 |
調査方法 | インターネット調査 |
回答数 | のべ4,036社 4,130人 |
回答者属性 | 企業の人事・経営者 (管理職(経営者・役員含む) 81.4%、非管理職 18.6%) |
質問数 | 164問 |
質問項目 | 1. 戦略人事 /2. 採用(新卒) /3. 採用(中途) /4. 育成(新入社員) /5. 育成(中堅・ミドルマネジャー) /6. 育成(経営人材) /7. 制度・評価・賃金 /8. 法改正 /9. ダイバーシティ /10. ワークスタイル・働き方 /11. テクノロジー活用 /12. 人事のキャリアと学び |
出典:「日本の人事部 人事白書2016」
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