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『ビジネスガイド』提携

生活型、付合い型、独りよがり型、抱え込み型…etc
“タイプ別”残業時間削減のテクニックとその進め方 (3/5ページ)

日本能率協会総合研究所 広田 薫

2013/11/18
【2】むしろ一生懸命頑張っているように見えてしまう残業

残業は上記のようにわかりやすいもの、誰もが削減しなければと納得できるものばかりではありません。むしろ一生懸命頑張っているように見えてしまう残業もあるので注意が必要です。

「むしろ一生懸命頑張っているように見えてしまう残業」には、「自己満足残業」「独りよがり残業」「抱え込み残業」の3タイプがあります。

(1)自己満足残業

毎晩遅くまで真面目に仕事をしており、それなりの評価を得てはいるものの、いま一歩伸び悩んでいる。時間をかけ、一見立派な資料を作って本人は満足しているが、上司やクライアントは必ずしもその内容に満足していない。仕事ができないわけではないのに、残業や休日出勤ばかりが多い。こうした社員は“自己満足残業”を疑ってみましょう。

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仕事には、重要な部分と必ずしもそうではない部分があります。必ずしも重要ではない部分にいくら時間をかけたとしても、それにより重要な部分の質が向上しなければ意味がありません。評価されるのは仕事のアウトプットの質であり、それを高めるためには、重要な部分にどのくらいの時間をかけられるかによって決まってくるのです。アウトプットに関係のない作業に何時間かけても、意味がありません。

例えば、「ある課題の解決策の提案」というアウトプットを求められた場合を考えてみましょう。仕事の流れとしては、まずは現状を把握して問題・課題を抽出し、そのうえで解決策を提案、最後に実現化に向けてスケジュールと予算を提示する、といったプロセスになるでしょう。このプロセスの中で重要なのは、当然のことながら解決策の提案です。解決策を提案するために、現状を分析し、問題・課題を抽出するのです。

にもかかわらず、ある人は、現状の把握や分析にやたらに時間をかけてしまい、肝心の提案部分を考える時間が取れなくなってしまったと嘆いている。別の人は、情報収集に力を入れすぎるのが癖になってしまい、常に提案書が事例集のようになってしまっている。こうした人が、あなたの周りにもいないでしょうか? このように仕事の配分や時間配分に問題がありアウトプットの質が上がらないのであれば、早急に仕事の仕方を正していかなければならないのです。

しかし、アウトプット自体の質はそれほど問題がないとしても、ありとあらゆる情報を収集しなければ気が済まず、情報の山に埋もれながら残業や休日出勤を繰り返してやっと解決策まで持っていくような仕事をしている人が少なくありません。こうした人のほうが、毎回、それなりのアウトプットを出している分、問題が表に出てきません。だからこそ逆に問題の根が深いのです。

こういう人は、仕事の重要な部分とそうでない部分の見極めがつかず、すべての作業を120%の力でこなさないと気が済まないのです。すべての仕事に関わる部分を完璧に仕上げようとするあまり、やたらと時間がかかってしまうのです。こうした働き方をしている限り、いつまで経っても残業と休日出勤の罠から抜け出すことはできません。そもそも発注者の求めている成果と本人の達成感とは別のものです。仕事を発注した上司やクライアントとしても、あまり重要でない箇所にやたらに力が入っている資料を読むと、「この仕事のことを本当に理解しているのだろうか?」と不安に思ってしまいます。そうではなく、わかりやすいアウトプットとそのアウトプットを導くために必要となる説明が簡潔にまとめられた資料の場合は、読みやすいだけでなく、読み手に対して「この仕事の重要な部分をしっかりと理解したうえで仕事をしてくれている」という安心感を与えるのです。

要は、120%の力を出して仕事をこなしたという達成感に満足してしまうのではなく、アウトプットの質の向上のために必要なことは何か、例えば、「この情報は本当に必要なのか、この作業は本当に必要なのか」を常に考えながら仕事を進めていかなければならないのです。枝葉は気にせず、まずは幹を太くすることに全力を挙げるような仕事のスタイルを身に付けなければなりません。“自己満足残業”が癖になっている社員に対しては、仕事の重要なポイントを見抜き、重要な部分のみ120%の力を発揮してアウトプットを導き出すことが質の高い成果につながること、これが「プロの仕事」、「お金をもらってする仕事」であることを理解させなければなりません。

(2)独りよがり残業

最近の若手社員は優秀であると言われます。不景気の中で就職活動をしてきたせいか、自己主張がうまく、実際に仕事もできる人が多いようです。ただし、その分、自信過剰な人も多く、それが仕事にマイナスに働いてしまっているという人事担当者からの嘆きの声を聞くことも少なくありません。

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要は、自分一人の思い込みで仕事をしてしまうのです。仕事の目的や内容を、上司やクライアントなどの発注者とよく確認し擦り合わせるという工程を経ないまま、自分なりの解釈で最後まで進めてしまい、締切り間際に出てきたものが発注者の意向に沿わないので、残業や休日出勤をしてやり直しせざるを得ないのです。本人は良いものができたと意気揚々なのに、発注者からダメ出しされて不満顔でやり直していたり、中には、クライアントに対してこちらのほうが良いと意見する者もいたりして、上司がお詫びに伺わなければならないケースに発展することもあるのです。

こうした“独りよがり残業”を繰り返す社員に対しては、第一に、「仕事は趣味とは違って発注者の意向に沿わなければならない」という当たり前のことをかみ砕いて説明することから始めなければなりません。そのうえで、仕事を請けた段階で仕事のゴールとアウトプットのイメージや方向性、押さえるべきポイントを発注者と擦り合わせたうえで、仕事に取りかからせるのです。その際、ゴールやアウトプットに至るまでの道筋、中間報告の日程を組み込んだ「段取り」も併せて描き、この道筋に沿って仕事を進めていく習慣を身に付けさせるのです。

“独りよがり残業”を繰り返す社員というのは、元々は優秀な社員が多いのです。だからこそ、「優秀な社員は発注者を不安にさせない」「様々な段階で発注者の狙い通りの報告をしてイニシアティブを握ることが自身の価値を高めることにつながる」という意識を持たせることで、こうした社員の誇りをくすぐりましょう。それができれば、“独りよがり残業”は自ずとなくなっていくものです。


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*****さんがその他の感想でオススメしました
2013/11/19

以前日経新聞に残業の分類は出ていましたが、より詳細で
大変参考になりました。

*****さんがその他の感想でオススメしました
2013/11/19

当社で労務関係の仕事に従事していまして、残業削減は命題です。36協定の関係もあり苦慮しています。『意識改革』の一環として活用させていただきます。

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