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外国人労働者が関係する労組トラブル対応最前線

弁護士 向井 蘭(杜若経営法律事務所)
弁護士 友永 隆太(杜若経営法律事務所)

1.外国人労働者が関係する 労使トラブルの特徴

(1)失踪後の組合加入通知と団体交渉の申入れ

外国人労働者の労使トラブルにみられる類型として、労働者の失踪の問題が挙げられます。特に注目すべきは、外国人技能実習生として日本で就労する者の失踪です。外国人技能実習生の失踪人数は年々増加傾向にあり、法務省技能実習制度の運用に関するプロジェクトチーム発表「調査・検討結果報告書」(平成31年3月28日)によると、平成30年に失踪した外国人技能実習生の人数は9,052人(技能実習生全体の人数の2.1%)となっています。

外国人技能実習生が失踪してから数カ月経過後、外部の労働組合から、失踪した外国人技能実習生の組合加入通知と団体交渉の申入れがなされるという形で紛争につながるケースが頻発しています。「失踪して時間も経っているのだから、うちとは関係ない」、「外部の労働組合からの団体交渉だから応じなくてよい」、「技能実習生に関する事項なので、監理団体だけが対応すればよい」といった誤解から使用者が組合からの申入れを放置してしまうと、紛争が泥沼化してしまう場合があり得ますので、留意が必要です(この点については2で詳説します)。

(2)長時間労働・過重労働が団体交渉のメインテーマとなることが多い

工場で働く外国人労働者

外国人労働者の中には、「できるだけ多く稼ぎたいから、休みでも構わずシフトを入れてほしい」などとして、できるだけ多くの勤務を望む者が見受けられます(特に、工場・作業場等での現場作業やドライバー等の職種にみられる)。使用者の中には、労働者からのこのような申出をそのまま鵜呑みにし(場合によっては「やる気に応えてあげよう」という一種の「親切心」から)、外国人労働者を際限なく働かせてしまうというケースがあります。このような実態がある場合、団体交渉の中では、「長時間労働」に起因する問題(残業代請求、労災等)が主たる要求事項となります。

「長時間労働・過重労働」は、残業代請求リスクや労災リスクを高めるものであり、使用者にとって決して好ましいものではありません。労働時間を管理・把握する義務は使用者にあるとされているため、実際に残業代請求や労災発生事案になった際、「労働者の求めに応じて働かせてあげただけだ」という使用者からの反論は、法的には通用しません。

(3)社会保険未加入等の指摘を受けるケースが多い

外国人労働者が労働組合に加入した際に、労働組合から主たる要求事項とセットで掲げられる問題として、社会保険未加入問題があります。加入要件に該当する外国人労働者の社会保険加入の手続きを怠っていたとして、使用者に責任追及を求めるケースがままあります。外国人労働者の中には、社会保険制度への理解が不十分なまま、「社会保険はいらないから手取り額を増やしてほしい」と使用者に求める者がいます。しかしながら、外国人労働者であっても、当該外国人が加入要件に該当している以上、社会保険に加入しなければなりません(なお、当該外国人労働者の母国が日本との間で社会保障協定を結んでおり、かつ当該外国人労働者が母国にて社会保障制度に加入していれば、日本の社会保険に加入しなくてもよい場合があります)。

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