退職時の降格人事について
いつも参考にさせていただきております。
先日、新年度に向けた組織改編を人事担当者が行っているところ、ある社員が退職の意向をその人事担当者に伝えました。
退職を希望する社員はある事業所の責任者で、自分の退職によって組織改編の全体が左右されることに引け目を感じ、自分の責任者の役職をいいように動かしてもらって構わない、という旨の意思を人事担当者に示したそうです。
就業規則には、役職者の退職時に役職を外すなどの記載は一切なく、役職の任免については「業務上必要のある場合に」としか定めていません。
降格に関しての記載は懲戒の項にあり、懲戒処分の段階としては6段階あるうちの4段階目の方法です。
上記のように、退職を希望するものと人事担当者の間で合意はあるとはいえ、退職が理由であること以外に就業規則に定める懲戒事由に当てはまる事柄は一切ありません。
果たしてこれは「業務上必要のある場合」と言えるのでしょうか?
この降格人事は有効なのでしょうか?
ご指導よろしくお願いします。
投稿日:2016/02/09 11:21 ID:QA-0065120
- じんじぶちょうさん
- 兵庫県/ゲーム・アミューズメント・スポーツ施設(企業規模 101~300人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
降格について
ご質問の内容は、狭義では降格というよりは降職ということになります。
文面からは、懲戒としての降格ではなく、
人事裁量権としての、降格(降職)ということになります。
人事は将来に向かってのものですし、本人の意向を会社が了承するのであれば、
業務上必要と判断して、役職を外しても問題はありません。
投稿日:2016/02/09 12:09 ID:QA-0065121
相談者より
早速ご回答ありがとうございました。
降職との認識も勉強になりました。
ご指摘のようにこの降職が人事裁量権の範疇により有効とすれば、役職手当の不支給はもちろんのこと、基本給も降給となります。
そうなれば退職金(基本給が算定基準)も変わってくるので、当職としてはできれば現役職のままの退職まで勤めてもらいたいと思っております。
このような場合でも「合意があれば」有効ということでしょうか。
ちなみに降職による基本給の降給に関しては就業規則では定められておらず、別途規程の賃金表に基づくと事実、降給となります。
投稿日:2016/02/09 14:24 ID:QA-0065125参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
本人が希望された上での降格であれば就業規則に記載が無くとも可能となります。それが減給を伴う場合であっても、事前にその旨を説明し同意の上での降格でしたら差し支えございません。また、制裁による降格ではございませんので、制裁処分を科す事は出来ません。
但し、この場合の降格等への同意はあくまで自発的な意思によるものが必要です。今回の事案は組織改編といった問題が絡んでいますし、後になって真意でない等と翻意されない為にも降格に関わる同意書を取っておかれる事が不可欠といえます。
投稿日:2016/02/09 23:19 ID:QA-0065132
相談者より
ご回答ありがとうございます。
減給を伴う場合でも同意があれば差し支えないとの点、理解いたしました。
ただ、今回は年度初めの組織改編が発端で、当該社員が退職を希望しているのは今回の改編の半年ほど後の年度途中です。
自身の年度途中の退職希望によって年度初めの組織改編を憂慮したもので、本心は「今のままの役職で退職させてもらえるならありがたい」と当職は直接聞いており、自発的とは言い難く、会社の決定なら甘受する、というニュアンスです。
また、当職としては、降職の理由が「退職を希望」していること以外に合理的理由がなく、本人が希望(及び同意)しない場合でも人事裁量権として認められるのかが疑問でした。
重ねての質問で恐縮ですが、上記ご教示いただければ幸いです。
投稿日:2016/02/10 10:43 ID:QA-0065135大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
本人の申出への配慮は不要
▼ 自主退職意向を固めている社員の申出の気持ちは解らない訳ではありませんが、決めるのは会社です。然し、ルールに基づき処理するにも、想定外の申出なので、対応すべき指針がありません。勿論、「業務上必要のある場合」にも該当しません。
▼ 将 来にのトラブルを回避するため、降格などの合理的事由はないので、本人の申出、会社の承認によって、確定した自主退職日時点における本人のステータスと役職に応じた退職金を支給すればよいと思います。本人の申出への配慮は不要だと考えます。
投稿日:2016/02/10 00:17 ID:QA-0065134
相談者より
ご回答ありがとうございます。
「業務上必要のある場合」に該当しない
「合意的事由はない」との事、非常に参考になりました。
法的解釈からすれば、各先生方からのご教示で本人の同意があれば措置としては有効との事は理解いたしました。
が、もし同意が無ければこの降職人事は有効なのかが当職としては非常に疑問に感じましたのでご質問させていただきました。
もし同意がない場合に有効か無効かのご見解を再度ご教示いただけるとありがたく存じます。
投稿日:2016/02/10 10:49 ID:QA-0065136大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
ご返事下さいまして有難うございます。
「(本心は)今のままの役職で退職させてもらえるならありがたい」という事でしたら、降格希望は自発的とは言い難く、後に会社の事情で渋々降格させられたと言われトラブルの原因となりかねません。
そうした当人の真意を聴かれている以上、降格は避けるのが妥当といえます。当人に対しても、組織改編を考慮しての申し出に謝意を伝える一方、そうした事情で不本意な降格をさせる事は出来ない旨を説明し、現状の役職維持を伝えておかれるとよいでしょう。
投稿日:2016/02/10 11:17 ID:QA-0065138
相談者より
再度のご回答誠にありがとうございました。
自分自身の抱える疑問点に対して理解と納得のいく満額回答で憂慮が晴れました。
ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いしたします。
投稿日:2016/02/10 13:58 ID:QA-0065144大変参考になった
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