出向先で役員就任後に支払われる賞与の労災保険料算定賃金
いつもお世話になっております。
A社からB社へと受け入れている出向者C【給与賞与支払は全額出向元のA社】に係るB社での労災保険料対象賃金算出について、以下1点おたずね致します。
出向者Cは7月1日にB社役員【非使用人兼務役員但し出向元A社としては従業員身分のまま】に就任しました。その後の11月、Cに賞与が出向元から支給される場合この賞与は労災保険料算出基礎賃金としましてはどのように計算するのが適正でしょうか?
◆5月支給賞与;自9月1日至2月28日在籍期間分に対応の賞与
◆11月支給賞与;自3月1日至8月31日在籍期間分に対応の賞与
投稿日:2014/07/03 13:21 ID:QA-0059448
- ムサシ330さん
- 神奈川県/その他業種(企業規模 1~5人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、労災保険は原則労働者のみ適用対象となりますので、役員部分の報酬に関しましては保険料徴収は行われません。
但し、文面事例の場合ですと、出向者Cは出向元A社の従業員身分のままですので、出向元A社から支給される賞与も特別な定めがない限り引き続き従業員身分としての賞与(賃金)になるものといえます。
従いまして、従来通り賞与全額が労災保険料の算定賃金になるというのが私共の見解になります。
投稿日:2014/07/03 18:49 ID:QA-0059450
相談者より
御回答有難うございます。
雇用保険であれば「全額」で正しいとは思います。しかし、一方、労災保険は適用となるのが出向先です。そして出向先では7月1日以降は労働者ではありません故7月分以降の給与、7月以降の期間に対応する賞与は労働保険の対象から外れるのではないのでしょうか、そのように考えていますがどうなのでしょう。
投稿日:2014/07/03 19:58 ID:QA-0059451あまり参考にならなかった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
ご返事下さいまして感謝しております。
原則として労災保険の適用が出向先となるのはご認識の通りです。従いまして通常であれば、出向先での役員には適用がなされません。
但し、当事案の場合ですと、出向元にて従業員身分が継続していますので、労働者である以上出向先で役員となっているとしましても何らかの形で労働者保護の観点から労災保険の適用がなされなければならないはずです。例えば、臨時に出向元で勤務するといった可能性もございます。そうしますと、そのような状況下で万一事故が発生した場合労災適用無で済ますというわけには行きませんので、保険適用の可能性がある以上出向元で支払った賞与は労災保険料の対象とならざるを得ないものと考えます。勿論、一種のレアケースにて異論の余地がないとは言い切れませんので、あくまで私見として参考にして頂ければ幸いです。
投稿日:2014/07/03 21:11 ID:QA-0059452
相談者より
懇切丁寧にありがとうございます。
ただ、たとえばの話ですが、上記のC(給与支払は全額A社)はB社で常務取締役だとします。他方、Cの出向先B社でB社から全額給与(報酬)が支払われている、別の常務取締役Dあるいは平(ひら)の取締役Eがいたとします。DとEは通常労災は適用にならないと思います。その場合、常務取締役が労災適用になるにもかかわらず別の常務取締役あるいは平(ひら)の取締役は労災適用にならないという事態もあり得る、のではないでしょうか。もちろん、労働者性について実態をみる云々というのは理解できます。
投稿日:2014/07/04 15:16 ID:QA-0059460あまり参考にならなかった
プロフェッショナルからの回答
- 大隅 隆行
- 株式会社ビジネスブレイン太田昭和 人事コンサルタント/社会保険労務士
お答えします
お問合せの件、出向元の労災保険の取扱いについて、お答えいたします。
大前提として、ご理解の通り、出向者の労災保険は、出向先の会社で適用されます。
出向元・出向先ともに従業員身分の場合、給与が出向元から支払われていれば、その給与額を出向先にお知らせし、出向先の労災保険対象賃金に含めます。
一方、出向先で役員となる場合、労働者ではないため、通常、出向先では労災保険の適用を受けることができません。この場合、該当出向者の給与額は、出向元の労災保険対象賃金からも除きますし、出向先の労災保険対象賃金にも含めません。ご質問のように、出向先で役員に就任した後に、出向元から支払われる賞与については、そのうち、出向元における労働者としての賃金に該当する部分については、出向元の労災保険対象賃金に含めるということになります。
なお、出向先・出向元の両方の仕事をすることが明らかで、2社の給与負担割合が明確に分かれている場合には、出向元が負担する給与額を、出向元の労災保険算出基礎額に含めることで、出向元での従業員としての業務中に起こった労災事故をカバーできる可能性はございます。
また、出向先で役員になる場合、上記の通り、通常は労災保険の適用を受けられませんが、会社の規模が比較的小さい場合などで、役員といっても労働者と同じように仕事をするケースがございます。この場合、「中小事業主の特別加入」という制度を利用することで、労災事故の一部をカバーできる可能性もございます。具体的なご相談は、顧問社労士、もしくは管轄の労働基準監督署にお問い合わせされるとよいかと思います。
以上
投稿日:2014/07/04 18:03 ID:QA-0059466
相談者より
ご回答どうもありがとうございました。
労働保険事務組合に委託する要件のある中小企業主の労災特別加入は存じています。給与負担割合が分かれているケースは特に求めている情報ではありません。
労基署には以前確認したことがありますが、杓子定規なことしかお答えにならなかったので相談させていただいた次第です。
投稿日:2014/07/04 21:16 ID:QA-0059467あまり参考にならなかった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
ご返事有難うございます。
文面の件ですが、当然そのようなケースもありえるでしょう。但し、労災適用については他の出向役員等と比べて考える性質のものではなく、あくまで各々の役員の事情によって決まるものです。従いまして、労働者性の観点からたまたま文面のような労災適用のなされる役員とそうでない役員が発生するとしましても、それ自体が直ちに法律上問題という事にはなりえないものと考えます。
尚、前回も申し上げました通り、これまでの回答は私見に過ぎませんので、異論があるのは承知しております。考え方そのものは自由ですし、ご納得されない以上さらなる回答は困難ですので、行政機関や他の専門家の意見等も参考にして頂き、ご自身で最終的な判断をして頂ければ幸いです。
投稿日:2014/07/04 22:49 ID:QA-0059468
相談者より
ご回答深謝いたします。
投稿日:2014/07/04 22:58 ID:QA-0059470参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
役員就任なら出向とはいえず、 出向元で労災保険にも加入し続けるべき
元のご質問とは少し離れますが、 出向先で役員となった出向者の出向元の労働者性の保護に直接言及した法文は見当たらず、 判例も目にしません。 過去のQ&Aを見ても、 スッキリしませんが、 現実には、 企業は何らかの対応している筈ですね。 大株主 ( 親会社 ) の命により、 殆ど個人の拒否権がないまま、 子会社に役員出向させられた親会社の労働者が、 子会社では株主 ( 実際は親会社での使用者 ) との委任契約による役員に就任した場合に、 労災適用がないのであれば、 この親会社の労働者は、 労働法上の災害保護はなく、 親会社が自己負担で民間損保会社との別途契約をしない限り、 リスクにたいして丸腰ということになりますね。 このような事例はゴマンとあります。 元々、 出向とは、 A社に雇用契約を継続しながら、 A社の命令によりB社とも 「 雇用契約 」 をし、 B社の従業員として就労することです。 従って、 A社・B社、 いずれにおいても本人は、 「 労働者 」 です。 A社での役員就任のケースの場合、 B社とは、 「 委任契約であり 」、 「 雇用契約ではありません 」 ので、 俗に言う出向ではなく、 労働者を対象とする労災成立の余地もない訳です。 回答者の知っている事例では、 出向元で雇用保険に加入し続けています。 これが、 A社における労働者の災害保護の唯一の方法です。 労働保険事務組合を含め、 保険関係成立が拒否されたことも耳にしません。 ビッグテーマではありませんが、長年、モヤモヤしていましたので、整理したみたわけです。
投稿日:2014/07/05 10:56 ID:QA-0059475
相談者より
川勝先生、懇切丁寧にどうも有り難うございます。
雇用保険は出向元Aから労働者として給与が支払われている限り加入し続けることについて判然としていると思います。他方、同じく公的保険である労働者災害補償保険に相当する民間の保険には取締役就任の際付保しているものとしまして、つまるところB社での労災保険料算出に係る基礎賃金は6月30日分までの給与賞与(賃金)を計上することで特段問題ないという認識でよいでしょうか。
投稿日:2014/07/05 13:35 ID:QA-0059478参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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