日本採用の外国籍社員の手当・補助について
当社は、服飾資材の専門商社で、海外に子会社を持つ従業員500名程度の会社です。
ご相談ですが、日本で採用した中国籍の社員が出向で現在、上海の子会社にて勤務しております。
その社員は、もちろん母国は中国で、活動拠点として100%上海、生活の基盤も同じく上海にあります。
カタチ上は、出向という形式をとっておりますが、現実的には、当社本体にもどってくることは、まず無いと考えられます。
このような条件の下で、当社の就業規則では、特に外国籍の社員について別定義をしているわけではないので、通常の出向社員と同様に家賃補助・海外勤務手当を支給しております。
人事としては、なんとかこの手当を廃止の方向でもっていきたいのですが・・・
就業規則で外国籍社員についての新しい規定をつくることで手当を廃止(もしくは減額)することは問題が無いのでしょうか。
子会社へ転籍ということになれば、全てが解決するのですが、現地社員との賃金格差がものすごくあり、その点で転籍は、難しい状況です。(本体の採用なので賃金形態が違うということで現在は、運用しておりますが、転籍すれば他の現地社員に格差の説明がつかなくなる)
ご回答の程、よろしくお願い致します。
投稿日:2011/04/02 11:11 ID:QA-0043310
- BAMBOOさん
- 大阪府/繊維製品・アパレル・服飾(企業規模 501~1000人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
御相談の件ですが、やはり外国人社員に関する処遇を考慮し制度面を整えられた上で採用し雇用契約を締結するべきだったといえます。確かに文面の出向に関わる手当支給が現実にそぐわないというのは明らかですが、御社規定に基き既に支給されていますので、これを廃止するのは労働条件の不利益変更となります。事後となっては変更は容易ではない場合も考えられます。
とはいえ、この度の件は当人にも比較的理解しやすい事情ではありますので、対応としましては、本人に事情を十分説明し今すぐでなくとも数年かけて段階的に廃止へと持っていく方向で同意を得るよう尽力されるとよいでしょう。あと当然ですが、今後の為にも外国人社員にのみ適用する規定整備を行うことも重要です。
投稿日:2011/04/02 11:30 ID:QA-0043311
相談者より
ご回答いただき大変参考になりました。有難うございます。
投稿日:2011/04/04 15:13 ID:QA-0043328大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
相応の一時的経済的負担を覚悟の上で、転籍打診を
|※| 「生活の基盤が上海にある」、「 日本の本社に戻る可能性はない 」 というのであれば、海外給与の継続支給は不合理だと思いいますが、現行規則の想定外の事態なので、解決には、相応の経済的負担も覚悟しなければなりません。安くて済むか、高くつくか、結果論です。 .
|※| 第一の問題は、「転籍」という雇用関係の異動です。一般的には、本社社員から、子会社としての海外法人への移籍には、雇用保障の観点から、本人は、漠然とした不安感をもつことになるでしょう。次の問題は、当然、給与格差です。かなり大きいようですので、本人が、漠然とした不安ではなく、具体的な不満を持つことは明らかです。 .
|※| 会社としては、一定期間 ( ケースによりますが、2~3年間 ) の給与差額に加え、転籍一時金を一括支払いする位の心積もり ( 最初に申し上げた 「 相応の経済的負担 」 ) で、移籍打診されては如何がですか ? 一寸、「 ギョ ! 」 とされるかも知れませんが、この種の問題解決までに、長期間かけるのは、色々な意味でお勧め致しません。すべて一時払いが賢明です .
|※| なお、給与差額や一時金には、税法上の問題も絡んできます。給与所得、退職所得、一時所得などでインパクトは大きく変わります。税理士さんの意見をお聴き下さい。今後に向けては、この問題の解決具合を参考に、必要な規則改訂を検討されるのがよいと思います。
投稿日:2011/04/02 13:12 ID:QA-0043312
相談者より
ご回答いただき大変参考になりました。有難うございます。
投稿日:2011/04/04 15:13 ID:QA-0043327大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
家賃補助と海外勤務手当
■家賃補助と海外勤務手当
1・変更する場合は、以下のようなケースを整理して、支給しないということでしょう。
母国は中国で、活動拠点として100%上海、生活の基盤も同じく上海にあります。
カタチ上は、出向という形式をとっておりますが、現実的には、当社本体にもどってくることはまずない。
2.中国籍の方は、日本人以上に権利意識が強い方が少なくありませんので、きちんとした説明、個別同意が必要です。
■海外出向制度
・海外出向ということで、新しい規程・制度を作成することの検討もお勧めします。
この場合、上記のような一定要件の場合には家賃補助、海外勤務手当は出ませんが、
(あるいは、廃止)、基本給等は現地採用に比べて本体扱いであれば、外国籍の方にも多少、説明しやすいかもしれません。
・いずれにしても既存社員にとっては、不利益変更となりえますので、簡単にはいかないかもしれませんが、このまま手当を残すことも会社にとってはマイナスでしょう。ある程度のリスクを覚悟して制度を変更することも時として必要です。
投稿日:2011/04/04 06:56 ID:QA-0043324
相談者より
ご回答いただき大変参考になりました。有難うございます。
投稿日:2011/04/04 15:12 ID:QA-0043325大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
「日本採用の外国籍社員の手当・補助について」へのご回答
現在の規定を廃止することはとても大変なので、その前に、まず昇給率を小さくするなどして賃金の上昇をおさえたほうがいいでしょう。また、現実的に日本の御社に戻ることは無いとのことですが、一度日本勤務にして、今後の勤務地について話しあってみてはいかがでしょうか。本人が会社の指示に従わず中国での勤務を希望し続けるのであれば、転籍といった措置をし、賃金に関しては数年といった長期にかけて段階的にある程度下げていくという方法もあります。現在支払っている家賃補助・海外勤務手当について廃止するにあたっては本人の同意が必要となりますが、かなり難しいかもしれません。本人の同意を得るには時間をかけて、説得力のある説明が必要でしょう。例えば、家賃補助や海外勤務手当の目的の説明と、その外国籍社員に家賃補助や海外勤務手当を支払うことは、それらの手当の本来の目的にそぐわないといった説明が必要です。家賃補助は一生涯住む予定のない母国でない国においてマイホームの購入ができないことなどの不都合を考慮して出している、とか、海外勤務手当は、母国でない国においては生活習慣の違い等で精神的な負担があるということに対して出している、ということであれば、母国で勤務していて日本で勤務する予定のない社員に対して手当を出す意味はあまりないということになります。ただ、今までずっと支払ってきた手当を突然廃止するのは不利益変更ではありますので、金銭的なことを含め、お互いに話し合って妥協点を見つけるといったことになると思います。
これから外国籍の社員を採用する前に、規定の整備をされることをおすすめします。
投稿日:2011/04/07 17:15 ID:QA-0043343
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回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
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